冬の絶景!「わたらせ渓谷鐵道」各駅イルミネーション 2024年1月7日(日)11時0分 ソトコト 冬の風物詩といえばイルミネーション。群馬県内でもさまざまな場所でイルミネーションに彩られたイベントが開催されますが、その一つに「わたらせ渓谷鐵道各駅イルミネーション」があります。沿線すべての駅にイルミネーションが施され、車窓から楽しめるとあって人気です。今回は「わたらせ渓谷鐵道」の魅力や歴史、沿線の見所、「わたらせ渓谷鐵道各駅イルミネーション」の美しさを紹介します。群馬県桐生市と栃木県日光市足尾町をつなぐ人気のローカル線風光明媚な渡良瀬川沿いを走る「わたらせ渓谷鐵道」は、群馬県桐生市の桐生駅から栃木県日光市の間藤駅まで、44.1キロメートルの区間を走るローカル線です。桐生市を起点に街中から風光明媚な渡良瀬川を遡っていきます。四季折々の自然が織りなす渓谷美が人気です。17駅のうち桐生、相老、大間々、通洞、足尾の5駅が有人駅で、他は無人駅。レトロな駅舎が多く、有形文化財へも登録され、映画やドラマなどのロケ地としても利用されています。「わ鐵」とも呼ばれ、通勤通学の足として地域を支える一方で、観光客や鉄道ファンにも人気があり、休日にはトロッコ列車も運行する、群馬を誇るローカル線です。足尾銅山とわたらせ渓谷鐵道の歴史産業遺産の一つ硫酸タンク跡。わたらせ渓谷鐵道は、江戸時代から栄えた栃木県日光市の足尾銅山と深いかかわりがあります。足尾銅山は備前の国(現在の岡山県)からやってきた治部(じぶ)と内蔵(くら)という二人の農民によって、1610年(慶長15年)に発見されたことが始まりです。これをきっかけに銅鉱石が大量に採掘され、貨幣の材料や城、寺社の設えに使われました。そのため一時期、銅は取れなくなってしまいました。明治時代に入り古河財閥の創始者「古河市兵衛」が足尾銅山を買い取り、最新の技術で銅山は大きな発展を遂げました。国内の銅の半分を製造するほどに成長したというから驚きです。当時は馬車鉄道で銅を運搬し、銅の生産が増えるにつれ間に合わなくなったので、1912年(大正元年)に桐生駅と足尾駅をつなぐ「足尾鉄道」が開通しました。これが「わたらせ渓谷鐵道」の前身で、1918年(大正7年)には国に買い上げられ鉄道院管轄の「足尾線」となりました。その後、国鉄のものとなり車両は気動車やディーゼル機関車へと近代化され、足尾銅山が閉山する1973年まで日本の銅産業を支える足として運行しました。足尾銅山の閉山後、貨物や旅客の運搬が減ったことで1984年に足尾線は廃止対象の第2次特定地方交通に指定されてしまいます。しかし「足尾線を残したい!」という地元住民の強い思いから、1989年まで「JR東日本足尾線」として運行した後、第三セクターである「わたらせ渓谷鐵道」が引き継いで現在に至ります。貨物から旅客輸送へと変貌を遂げたわたらせ渓谷鐵道は、地域の方の通勤通学の足そして、沿線の自然や観光を楽しむ人を乗せて今も走り続けています。参考:わたらせ渓谷鐵道HP「わたらせ渓谷鐵道」と沿線の魅力レトロで可愛い普通列車やトロッコ列車「わたらせ渓谷鐵道」では情緒溢れる普通列車と、休日には観光用のトロッコ列車が運行しています。二色の普通列車。普通列車には「わ89形」と呼ばれる1990年代初頭に作られた銅色の車両と、「WKT-500・510・520形」と呼ばれる銅色/クリームの新型車両が採用されています。トロッコわっしー号。観光用のトロッコ列車には、1998年から運行の「トロッコわたらせ渓谷号」と2012年から運行の「トロッコわっしー号」があります。わ鐵の「わっしー」は「わたらせ渓谷鐵道」のオリジナルキャラクターで、行楽気分を盛り上げてくれるかわいいデザインが人気です。沿線では四季折々の自然が楽しめる花桃の中を走る列車。「わたらせ渓谷鐵道沿線」は、春になると桜や花桃(はなもも)が美しく、駅周辺や車窓からの風景は春のお花見スポットとして人気があります。神戸駅の近くには2キロメートルにわたる「小夜戸(さやど)・大畑(おおはた)花桃街道」もあり、4月中旬から下旬にかけて1,500本もの花桃が咲き誇ります。初夏には紫陽花が美しく、名所として知られる沢入駅は名所では6月下旬から7月中旬にかけて列車と紫陽花が並ぶ光景を見ることができます。紫陽花の名所沢入駅。また夏には新緑、秋には紅葉も美しいエリアで、大間々駅近くにある高津戸峡は名所として有名です。列車の中からも渡良瀬川沿いの渓谷美を堪能できますよ。そして冬はイルミネーション。有人駅・無人駅ともに全ての駅が煌びやかな光に包まれ、幻想的な風景が見られます。「わたらせ渓谷鐵道」は豊かな自然や四季折々の絶景を楽しめることもあり、子どもから大人まで人気のローカル線として親しまれています。歴史と風情溢れ、レストランもある駅舎登録有形文化財に指定される数々の駅舎やプラットホーム観光客や鉄道ファンにも人気の上神梅駅。「わたらせ渓谷鐵道」は登録有形文化財の宝庫。大間々駅舎・上下線プラットホーム、上神梅駅舎や沢入駅上下線プラットホーム・待合所、神戸駅・上下線プラットホーム・危険品倉庫など、歴史的に貴重な建造物がたくさんあります。トンネルや架樋、橋梁など路線上にも文化財があり、列車から見ることもできますよ。引退した車両を使った「列車のレストラン清流」で食事もできる神戸駅の上りホームにはかつて東武日光線で運行していた特急列車「けごん」を使った「列車のレストラン清流」。まるで食堂車のようなロケーションで食事を楽しめます。特急列車「けごん」の車両。車内には座席とテーブルがあり、まるで食堂車で旅をしているかのよう。レストランの車窓から列車が走る様子も見られますよ。メニューは、地元の食材を使ったうどんやそば、ソースかつ重などバリエーション豊富。ほかにも、「わたらせ渓谷鐵道」ならではの駅弁「トロッコ弁当」や「やまと豚弁当」は電話で予約できます。神戸駅到着時間を伝えれば、乗っている列車までお弁当を届けてくれるんです。「やまと豚弁当」1,100円+ お茶100円(税込)。こちらは「やまと豚弁当」。赤城山麓でのびのび育ったやまと豚を使用しています。ご飯の上にしょうゆたれがかかったやまと豚のスライスが乗っています。身が引き締まっているのに柔らかいやまと豚はクセがなく濃厚な味。ご飯にたっぷりたれが染み込んで美味。付け合せのさつまいもの煮付けはホッコリした味わいです。オリジナルの手拭いもついてくるのが嬉しいですね。店内ではテイクアウト用のお弁当には、懐かしいプラスチックの容器に入ったお茶を別料金で付けることもできます。ノスタルジックな雰囲気の中、のんびりおいしい食事を楽しめます。営業時間:11:00〜16:00電話:0277-97-36814月〜11月:毎日営業12月〜3月:月曜定休(ただし月曜日が休日の場合は翌日)ロケ地としても注目される駅舎や施設上神梅駅。「わたらせ渓谷鐵道」の駅舎や施設列車は大切に維持され、ノスタルジックな情緒があふれることから、ロケ地として数々の映画やドラマなどにも登場しています。花輪駅は和風の造りで日本庭園・灯篭もあり、かつての銅街道宿場町の風情が残されています。近くにある旧花輪小学校の卒業生で作詞家の石原和三郎にちなんで、「うさぎとかめ」の石像も駅のプラットホームにあります。『ドラマ鉄道捜査官10』などのロケ地として使用されました。大正元年(1912年)に竣工された上神梅駅は旧足尾鉄道開業当初からあり、「わたらせ渓谷鐵道」で最初に登録有形文化財に指定された駅舎です。木製の改札も当時のまま残されており、鉄道ファンにも圧倒的な人気を誇ります。有名女性ファッション誌のロケ地にも使われています。神戸駅も上神梅駅と同じく大正元年(1912年)の開業当初からあり、広い構内では蒸気機関車C12型の連結や切り離しが行われていました。テレビドラマ『ナツコイ』で主人公・佐々木浩介と佐々木和真が桐生を出て行ったシーンや、映画『天使の恋』では雨の中ラストシーンの撮影に、駐車場はテレビドラマ『相棒』にも登場しています。沢入駅は待合所とプラットホームが登録文化財に指定されているレトロ情緒溢れる駅。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の主人公・鈴愛(すずめ)と律(りつ)が5年ぶりに再会するというシーンで登場しました。レトロな駅舎の風情が心に染みました。足尾駅は銅製品や原材料などの積み下ろしのため、何本もの線路が敷かれていた広い構内を持つ駅で、駅舎とプラットフォームが登録有形文化財になっています。ここでは、ベストセラーコミックが映画化され、カンヌ映画祭の出品作品の『海街diary』の撮影が行われました。主人公の4姉妹が父親の葬儀に行くというシーンで登場しました。魅力いっぱい! すべての駅がイルミネーションの光に包まれる「わたらせ渓谷鐵道」では例年、冬が訪れるとすべての駅にイルミネーションが施されます。今回、すべてではありませんが、一部の駅の様子ををご覧ください。大間々駅大間々駅舎。「わたらせ渓谷鐵道」オリジナルグッズや鉄印なども取り扱っている有人駅。駅窓口で鉄購入できる。ホームに施される駅名のイルミネーション。オリジナルキャラクターわ鐵わっしーのフォトスポットとツリーのイルミネーションが光り輝いています。上神梅駅わたらせ渓谷鐵道の施設で初めて登録有形文化財に指定された上神梅駅舎。ホームから上り方面の眺め。木製の改札がノスタルジックな雰囲気を醸し出します。歴史あふれる駅舎が煌めき、ほっこりした気持ちになります。クリスマスツリーとサンタクロースのイルミネーションが、クリスマスが近いことを教えてくれるかのように光り輝いています。水沼駅関東の駅百選にも選定されている水沼駅。ホームに日帰温泉施設がある珍しい駅です。(現在は休業中)上り下りのプラットホームをつなぐ跨線橋からは、近くの街並みや自然を一望できます。イルミネーションで幻想的な光を放つ水沼駅。花輪駅宿場町と江戸時代のような雰囲気が漂う花輪駅。プラットホームには童謡の父「石原和三郎」にちなんでうさぎとかめの石像が設置されています。駅名が記された灯篭とイルミネーションが美しい。駅舎には駅名やうさぎとかめのイルミネーションも施されています。神戸駅登録有形文化財に指定され、花桃や桜の名所として知られる神戸駅。プラットホームにもノスタルジックな雰囲気が漂います。写真は下り方面の跨線橋。光に包まれる神戸駅舎。列車のレストラン清流にもイルミネーションが施されています。沢入駅沿線の中でも屈指のノスタルジックさを誇る沢入駅、紫陽花と紅葉の名所として有名です。プラットホームにある待合室からも風情が溢れます。下りホームからの眺め、駅舎が煌めきます。駅名もイルミネーションで灯ります。足尾駅トロッコわたらせ渓谷号の終着・始発の足尾駅。広い構内にはかつて使用されていた気動車や建物があり見応えがあります。写真は国鉄足尾時代の気動車。家族の帰りを待っているかのような優しい雰囲気で煌めく駅舎。プラットホームからもイルミネーションに包まれた気動車の姿を見られます。間藤駅わたらせ渓谷鐵道の終着点間藤駅です。屋根は時計台のような雰囲気を醸し出します。駅舎の隣には広場と展望台があり、周辺の景色を一望できます。駅舎と展望台を繋ぐようにイルミネーションが煌めきます。展望台も煌びやかな光に包まれます。わたらせ渓谷鐵道各駅イルミネーション開催情報開催期間:2023年12月3日(日)〜2024年2月29日(木)点灯時間:17時00分〜各駅最終列車通過まで観覧料金:無料、乗車の際は通常運賃が必要イルミネーション号運行:毎日運転の普通列車にイルミネーションを施して運行。開催期間の毎日、全ての駅に停車。時刻表下り(桐生から間藤駅)イルミネーション1号:桐生16:46発・相老16:55発・大間々17:08発→間藤18:16着イルミネーション3号:桐生18:08発・相老18:14発・大間々18:24発→間藤19:30着イルミネーション5号:桐生19:56発・相老20:03発・大間々20:13発→間藤21:21着時刻表上り(間藤駅から桐生駅)イルミネーション2号:間藤16:41発→大間々17:42着・相老17:52着・桐生18:01着イルミネーション4号:間藤18:26発→大間々19:29着・相老19:38着・桐生19:47着イルミネーション6号:間藤19:46発→大間々20:47着・相老20:55着・桐生21:02着また、金・土・休日には、イルミネーションの旅も実施しています。事前予約制で往復運賃・お弁当がセットのお得なツアーです。HPと電話から申し込みが可能です。代金大人:2,800円(往復運賃・弁当・お茶を含む)小学生:2,300円(往復運賃・弁当・ジュース・わっしークリアファイル・わっしーステッカー2枚を含む)未就学児:1,200円(弁当・ジュース・わっしークリアファイル・わっしーステッカー2枚を含む)その他詳細などについては、わたらせ渓谷鐵道へお問い合わせください。問い合わせ先:わたらせ渓谷鐵道株式会社住所:群馬県みどり市大間々町大間々1603-1電話:0277−73−2110営業時間:平日9:00〜17:00わたらせ渓谷鐡道HP文・写真:Nico※内容は取材時点の情報です。 関連記事(外部サイト) 1/8(月・祝)みんなでわいわい年初め!SANCHA HAVE A GOOOD MARKET!!! 【11月26日まで】「福島の文化財『お宝』ふれあい体験キャンペーン」実施中! 【開催】国立公園周辺産地より 規格外野菜があつまるマルシェ 【開催】「YOKOHAMAうみそらJazz LIVE Vol.2」 写真作家・寺田健人「想像上の妻と娘にケーキを買って帰る」。『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO』で展示中