火星で“正方形の構造物”発見!?イーロン・マスクも注目!その正体とは
2025年2月3日(月)16時0分 tocana
NASAの探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)」が撮影した火星の画像が、SNS上で大きな議論を巻き起こしている。話題となっているのは、火星の表面に「完璧な正方形の構造物」のように見える地形が写っていることだ。
SNSで拡散、イーロン・マスクも反応
この画像は、Redditで拡散されたのをきっかけに注目を集めた。さらに、起業家のマリオ・ナウファル氏が、X(旧Twitter)でクリス・ラムゼイ(@chrisramsay52)氏の投稿を共有し、次のように言及した。
「これは火星の謎めいた正方形の構造物だ。本当に存在するもので、NASAのマーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)のオービターカメラ(MOC)によって撮影された。オリジナルの画像はアリゾナ州立大学のマーズ・イメージ・エクスプローラーで確認できる」
この投稿に対し、スペースXのCEOであるイーロン・マスク氏が即座に反応。
「火星に宇宙飛行士を送り込んで調査すべきだ!」と強調した。
マスク氏はこれまでも火星探査や植民計画を強く推進しており、新たな「火星の謎」が登場したことで、改めて自身のプロジェクトの重要性を強調する形となった。
「猫の箱」現象—正方形の謎の正体
しかし、この画像の驚きはすぐに冷静な視点によって打ち消された。
別のユーザー、ジェイ・ドゥークがアリゾナ州立大学の公式データベースからオリジナルの未加工画像を共有し、以下のように説明した。
「これが公式画像のリンクだ。この画像の幅は約3kmあることを忘れないでほしい」
比較すると、拡散された画像はコントラストや彩度が調整されており、あたかも人工的な構造物のように見えるよう加工されていたことが明らかになった。この現象は10年以上前から「猫の箱(Cat Box)」と呼ばれており、火星の地形に対する誤解の一例として知られている。
科学者たちは、こうした錯覚の原因として「パレイドリア(Pareidolia)」という心理現象を挙げている。これは、人間がランダムな形状の中に既知のパターン(顔や建物など)を見出してしまう現象である。
この例として有名なのが、1976年にNASAのバイキング1号が撮影した「火星の顔(Face on Mars)」である。最初は人の顔のように見えたものの、後の高解像度画像では単なる風化した岩山であることが判明した。
火星探査と植民計画—スペースXの挑戦
火星における「人工的な構造物」の発見は科学的に否定されたものの、火星探査の夢は今も続いている。
スペースXは、今後20年以内に火星に自給自足の都市を建設する計画を掲げている。しかし、マスク氏自身も認めるように、最初の有人探査ミッションは極めて危険なものとなる。
火星植民計画のカギを握るのが、スペースXが開発する「スターシップ」だ。この完全再利用型の超大型ロケットが成功すれば、2026年に無人探査機を火星に送り、2028年には人類初の有人火星ミッションを実施する可能性があるという。
火星の「謎」はこれからも続く
火星探査が進むたびに、新たな「謎の構造物」や「生命の痕跡」が話題に上がる。だが、科学的分析を重ねることで、その多くが自然現象によるものであることが判明してきた。
かつて「火星の顔」が科学的に否定されたように、今回の「正方形の構造物」も、誇張された画像編集による錯覚にすぎなかったようだ。しかし、人類の想像力が火星の未来を切り開くのも事実である。
スペースXの火星植民計画が実現すれば、「火星の謎」に実際に足を運んで答えを出す日が来るかもしれない。
参考:Portal Vigília、ほか