見聞きする機会が増えた<アイフレイル>を眼科専門医が解説「60代で70%以上が経験。加齢とともにすべての人に発症する病気も…」

2025年2月22日(土)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

スマートフォンやパソコン、テレビなど、さまざまなデジタル機器を日常的に使用する現代社会で年々高まっているのが<目の病気の発症リスク>です。眼科専門医・下内昭人先生によると「失明リスクが最も高い緑内障は、失明寸前まで進行しても自覚症状が現れにくい」とのこと。そこで今回は、下内先生が目の病気のメカニズムや対策を解説した著書『目の健康寿命 40代からはじめる後悔しないための生活習慣』より一部引用、再編集してお届けします。

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目の老化とうまく付き合っていくために


アイフレイルは、「フレイル」という言葉が由来となって生まれました。フレイルは2014年に日本老年医学会が提唱し、英語では「Frailty(虚弱)」を表します。

病気ではありませんが、加齢に伴う身体機能の低下により、要介護状態になるリスクが高まった状態を指します。

つまりフレイルとは「健康な状態」と「要介護状態」の中間に位置している概念です。

厚生労働省も健康寿命延伸に向けたフレイル対策を重視しており、2020年からは後期高齢者を対象とした「フレイル健診」も全国で開始されました。

「アイフレイル」とは


この概念を目に適用したものが、「アイフレイル」です。

アイフレイルは、「加齢による目の衰えにさまざまな外的ストレスが加わることで生じる目の機能低下、またはそのリスクが高い状態」を指します。

私たちの体は加齢とともに衰えますが、目も例外ではありません。そこにさまざまな外的要因や内的要因が複雑に関わり合い、目の病気を発症したり、予備軍の状態になったりして、「アイフレイル」と判断されます。

・主な外的要因(生活習慣、喫煙、紫外線など)
・主な内的要因(強い近視、糖尿病や高血圧などの全身疾患、遺伝など)

加齢とともにすべての人が発症する「白内障」


とくに「白内障」は、加齢とともにすべての人が発症する病気です。白内障は目の中にある「水晶体」が濁って起こります。

この水晶体は、目の中にある直径9mm、厚さ4mmほどの透明なレンズです。虹彩のすぐ後ろに位置し、水晶体嚢(すいしょうたいのう)という透明な袋に包まれ、チン小帯という糸状の組織で目の中に固定されています。これはまんじゅうのような構造で、水晶体が中身の“あんこ”の部分で、水晶体嚢が周りの“皮”の部分にたとえられます。


(写真提供:Photo AC)

水晶体の主な役割は、カメラのレンズのように光を屈折させ、網膜に焦点を結ぶことです。

人の水晶体は生まれた瞬間は無色透明ですが、年齢とともに徐々に濁り始めます。この濁りが進行し、目の中に光が十分に届かなくなった状態が、白内障なのです。

白内障の最も多い原因


白内障の最も多い原因は加齢で、60代で70%以上、80代ではほぼ100%の人が視力低下を経験します。多くの人は「老人性白内障」を発症しますが、先天性、外傷、糖尿病などの全身疾患、目の炎症、アトピー性皮膚炎、紫外線や放射線の影響、ステロイドなどの薬の副作用などで発症することもあります。

しかし白内障は数十年かけて徐々に進行するため、見えづらい症状が出たときにはすでに進行していることが多いのが特徴です。

この白内障のように、生きている限り目の病気は誰でも発症します。だからこそ、自分の目の状態を段階的に知ろうとすることが大切なのです。

そして少しでも見えづらいと感じたり、生活に支障が出たりした段階で早めに手術を検討しましょう。白内障はもちろん、ほかの病気も早期発見であるほど目に負担が少なく、より安全な手術を行える可能性があります。

※本稿は、『目の健康寿命 40代からはじめる後悔しないための生活習慣』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

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