受験競争が厳しい地域では8、9割の子供が大人になるまでに<近視>に。眼科医「特にアジア圏で急増。明確な理由はないが、おそらく…」

2025年2月23日(日)6時30分 婦人公論.jp


(写真:stock.adobe.com)

私達は日常生活で得られる情報の8割を<視覚>から得ているそう。しかし、さまざまなデジタル機器を駆使しなければならない昨今、目にまつわるトラブルは増加傾向に…。「人生100年時代と言われる今、ずっと目が見える生活を送っていくなら、早めの検査、早めの生活改善、早めの治療が大事」だと主張するのが真鍋眼科の真鍋佑介先生です。今回は先生の著書『一生目が見える人のすごい習慣』の一部引用、再編集してお届けします。

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子供たちの「目」が危機に


今、子供たちの「目」が、かつてない危機に瀕しています。

現在、世界的に近視人口が増加していますが、これはもちろん小児の近視が増加しているからです。

特にアジア圏で増加しており、アジア圏全体では80%の人々が近視だと言われています。受験競争が厳しい地域では、実に8〜9割の子供が大人になるまでに近視になると言われています。

日本でも近い結果が出ています。

2022年の文部科学省学校保健統計調査によれば、裸眼視力が1・0未満の子供の割合は、小学生で37・9%、中学生で61・2%、高校生で71・6%となっています。

アジア圏で近視人口が増えているワケ


ではなぜアジア圏内でこれほど近視人口が増えているのか?

明確な理由はないのですが、近年の環境の変化や生活スタイルの変化が言われています。

少し前までは、子供といえば、外で元気に走り回る姿が当たり前でした。

しかし、現代の子供たちの遊び場は、屋外から屋内へ、そして現実の世界からデジタルの世界へと移行しつつあります。

スマートフォンやタブレット、ゲーム機などのデジタルデバイスは、今の子供たちにとっては、最も身近な「おもちゃ」の1つです。

簡単に言うと“外で遊ぶ時間が減った”——これが今の近視人口の増加につながっているのです。

国家対策として治療に取り組む国も


シンガポールや中国などは国家対策として近視の治療に取り組んでいます。

対策の一例として、金銭的補助や屋外活動の啓蒙を行ってきました。

1日2時間以上の屋外活動を通達したり、机にバーを設置して近くで教科書を見すぎないようにするという、やや強引な方法も取られています。

しかしそうして国が先導して近視抑制に取り組んだ結果、徐々に子供の近視の割合も減らすことができているようです。

近視の進行を食い止めるには


子供の近視は適切な処置をすれば進行を食い止められます。

1つの対処法として、低濃度アトロピン点眼薬を用いる方法があります。通常アトロピンは瞳孔を長時間広げる効果がありますが、低濃度であるため瞳孔を広げる作用を回避しつつ副作用もほぼありません。毎日就寝前に1滴、点眼するだけで、近視の進行を平均30%程度軽減させることが期待されています。

オルソケラトロジーという近視抑制の特殊なコンタクトレンズも近視をコントロールする手段として有効です。

夜に装着するハードレンズが角膜を圧迫して、形状を矯正し、裸眼視力を一時的に回復させるものです。子供の場合、眼球の伸長を抑制できる効果が期待できます。

近視の進行を抑えるためには、近くでものを見続けないように意識し、屋外活動を増やすことが大切です。もともと太陽の光を浴びるという行為のメリットは眼だけにとどまらず、心身共に良い影響があるはずです。

できるだけ外に出て、元気に遊ぶことを意識するのが良いのではないでしょうか。

※本稿は、『一生目が見える人のすごい習慣』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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