国内では年間1千件超発生。航空会社がおこなっているバードストライク対策の実例を紹介
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航空機と鳥が衝突する「バードストライク」。運航予定に影響が出るだけでなく、重大な事故やトラブルを引き起こす可能性もあります。そんなバードストライクの発生を防ぐため、空港では意外な方法で対策が講じられているのをご存知でしょうか。今回は、知られざる航空会社のバードストライク対策についてご紹介します。
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猛禽類や犬が空を守る!動物を活用したバードストライク対策
関西空港では、渡り鳥の飛来を防ぐために猛禽類や猟犬を活用した取り組みを実施。同空港では、毎年春になると繁殖のためにやってくるコアジサシとの衝突によるバードストライクが多発していました。
そこで、タカやハヤブサ、ビーグル犬などを巡回させて警告することで、鳥たちの空港への侵入を抑制することに。この取り組みにより、バードストライクの件数が激減するという大きな成果を上げたそうです。
海外でも同様の対策が導入されています。イタリアのベネチア・マルコ・ポーロ空港では、滑走路に押し寄せたカモメの大群を撃退するため、常駐しているハヤブサが活躍。鷹匠によって放たれたハヤブサたちは、200羽以上のカモメを空港の外へと追いやることに成功しました。
また、カナダのエドモントン国際空港ではハヤブサ型ドローンを導入。飛行パターンまでハヤブサに似せたドローンは、カモメやカモ、ガンなどを効果的に追い払うことが可能です。
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音で鳥を追い払う最新技術!バードソニックの導入で成果
日本国内でも新たな技術を駆使した対策が進んでいます。鳥取空港では、2024年から「バードソニック」と呼ばれる装置を導入。この装置は、鳥が嫌う高周波音を発することで、滑走路への侵入を防ぐ仕組みです。
日本海に面した鳥取空港は渡り鳥の飛来ルートにあたり、長年バードストライクに悩まされてきました。しかしバードソニック導入によって、以前は年間20件以上発生していたバードストライクを、年間10件程度にまで減少させることに成功しています。
さらに、バードソニックは鳥の種類に合わせてより効果的な周波数に調整することも可能。鳥取空港以外にも全国8か所の空港に導入され、安全な空の旅の実現をサポートしています。
偶然の事故と思われがちな「バードストライク」。しかし空港側では、その発生を未然に防ぐため、動物たちや最新技術を駆使して多様な対策を講じています。今後もこれらの対策が進化し、空の旅がより安全となることを期待したいですね。