高円寺の昼飲みならココしかない!焼鳥の名店『大将』が愛され続ける理由【中央線一人飲み】
2025年3月1日(土)18時0分 食楽web
高円寺の名酒場『大将』
●東京生まれ東京育ち。中央線の飲み屋をこよなく愛するライター・松田義人による中央線一人飲み案内。高円寺で愛され続ける名店『大将』で一人飲み!
中央線沿線の各駅には、一人飲みできる酒場が複数ありますが、もちろんエリアごと、各店ごとにその様相は異なります。中でも、特に古くから街の文化に溶け込み、地元酒場として古くから定着しているのが、高円寺の『大将』です。
JR高円寺駅の南口。目の前のバスロータリーの先に『大将』本店があります
JR高円寺駅前の『大将 本店』を筆頭に、南側の線路沿いの飲み屋街にある2号店、北口エリアにある3号店と、計3店舗を展開する焼鳥店で、各店ともに微妙に営業時間や定休日が異なるものの、おおむね明るい時間帯から酒を飲めます。もちろん一人飲みもOK。今回は14時オープンの『大将』本店へ一人飲みしに行くことにしました。
高円寺なら昼からの女性一人飲みも大丈夫
14時半にしてすでに一人で飲んでいる女性客が
JR高円寺駅の南口を出て、バスロータリーの向こうに見える赤いオーニングの店、それが『大将』本店です。店内だけでなく、店外にもビールケースを積んだテーブルと椅子が置かれ、外でも一杯やれる仕組み。
筆者が訪れた14時半には、すでに女性の一人飲み客が外で焼鳥をおつまみにビールを飲んでいました。
ビールケースの穴を活用した箸立てと、ウェットおしぼり立て[食楽web]
いかにも高円寺的な光景で、これをとがめたり白い目で見る人がいないのは高円寺という街の懐の大きさでしょう。
瓶ビールはやっぱり赤星です
さて、筆者も先客の女性にならい、瓶ビール(赤星・580円)と焼鳥おまかせ(タレ・3本400円)をオーダー。まずは ビールをグラスに注いで一人で乾杯。
行き来する総武線を見ながらいただくビールがうまい
テーブルの向こうには総武線が見え、さらにその手前の道路は、学校帰りの小学生、サラリーマン、夕飯の食材を買いに来たとおぼしき女性まで様々な人が行き交います。
店先に積み上げられた無数の焼鳥がどんどん焼き上げられていく
そんな中、“昼間から呑気に酒を飲む”というこの背徳感は、筆者個人的に最高のおつまみ。よく言う「昼から飲むと酒がうまい」という説に異論をはさむ余地はまったくありません。
アッサリめのタレが『大将』流。素材の味を存分に引き上げる
焼鳥おまかせ(タレ・3本400円)
さて、肝心の焼鳥は比較的大ぶり。『大将』のタレはサラッとしていて、しつこくないのが特徴。素材の味を存分に楽しめる味わいで、焦げも少なく焼き手のスタッフの丁寧な仕事が垣間見れます。
かつて存在した『大将』の「バンドマンお断り」ルール
あっさりとしたタレが『大将』の特徴。素材そのものの味わいを存分に楽しめます
ところで筆者は30年以上前の学生時代、高円寺には週に何度も足を運んでいました。高円寺のライブハウスで毎月筆者主宰のパンクバンドのイベントを開催していた時期があり、友人たちのバンドが別のライブハウスで演奏することがあれば、それを観に行くことが多かったからです。
そして、ライブの前後は友人らと居酒屋で宴会!
……となるわけですが、当時の『大将』は「バンドマンお断り」を死守しており、楽器を持っていたり、髪を染めている客は帰らされました。当時はバンドブーム、中には酒に酔って大暴れする血気盛んなパンクロッカーもおり、こういったトラブルの繰り返しで「バンドマンお断り」に至ったのでしょう。
筆者は、楽器も持たず髪も染めておらず、一見バンドマンには見えない風貌だったためライブ前などに『大将』に一人で通い、そんな一人飲みの楽しみを覚えたのも、ここ『大将』が初めての体験でした。
ユルくて懐のデカい「高円寺ならではの空気」
時間が経つにつれ、若者が続々と『大将』にやってきました
今も高円寺界隈にはライブハウスがありますが、粗暴なバンドマンが減ったことで、一時期から『大将』の「バンドマンお断り」は解禁。今では若者と年配客が共存して飲める店となりました。
そして、筆者が飲んでいたこの日も、高円寺の古着屋スタッフ風、大学生風の若者が続々とやってきて、のんびりと昼飲みを楽しんでいました。こんなユルくて懐のデカい“高円寺ならではの空気”を作れるのは、やっぱり『大将』ならでは。向こうに見える総武線を眺めながらの一人飲み&昼飲み。この至福の時間は高円寺、そして『大将』でしか感じることができないものでしょう。
(取材・文◎松田義人(deco))
●SHOP INFO
大将 本店
住:東京都杉並区高円寺南4-27-9
TEL:03-3312-1047
営: 14:00〜0:00(23:00LO)
休:水