エイリアンを検知できる“確実な方法”が発見される! 誤検出もなし、国際宇宙ステーションにも機材搭載か!?

2019年3月5日(火)14時0分 tocana

画像は「Wikipedia」より引用

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 はるか数キロ先の植物の存在を検知できる技術が、将来の宇宙探査で重要な役割を果たすかもしれないと期待が寄せられている。この新技術が、地球外生命の捜索にきわめて有効であるというのだ。


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■植物が放つ円偏光を検知できる偏光計を開発


 我々の身体はおおむね左右対称だが、左右両方の手を(手のひらを合わせるのではなく)上下に重ねてみてもピッタリ重なり合うわけではない。この性質はキラリティー (chirality)と呼ばれている。


 さらには、ペンを持って字を書いたり、ボールを投げたりするなどの動作は利き手に大きく偏っている。先天性右手欠損のメジャーリーガー、ジム・アボット投手が見事な活躍を見せた例もある。


 このように本来は対になっているものが、どちらかしかない状態や、一方に大きく偏っている性質をホモキラリティー(homochirality)と呼ぶ。そして、こうしたキラリティーとホモキラリティーは地球上の生命体の特徴であると考えられているのだ。


 こうした性質は、植物においては円を描いて進む反射光を生じさせる。具体的には植物の葉に当たった太陽光が反射すると、その光は伸ばしたコイルのような円を描きながら進むのである。この光は円偏光(circularly polarized light)と呼ばれている。


 この円偏光をキャッチできれば、その発信源に植物があるということになるのだが、これまでは実験室の中でしか円偏光を検知することはできなかった。


 しかし今回、オランダのアムステルダム自由大学のルーカス・パティ氏は博士論文研究の過程で「TreePol spectropolarimeter 」という偏光計を開発し、自然環境の中でも植物が放つ円偏光を検知できる技術を実現させたのだ。


 特別なレンズを備えたカメラと、植物が放つ円偏光を検知できる受容器を組み合わせたこの「TreePol」を今回、パティ氏は初めて屋外へと持ち出し、研究施設の屋上に設置した。


 遠くに見えるサッカースタジアムのグラウンドに「TreePol」を向けてみたところ、まったく円偏光を検知できなかったことから、この試みは失敗かに思われたのだが、実はこのグラウンドの芝は人工芝であることが判明して思わず苦笑したそうだ。


 気を取り直してパティ氏は付近の木立と、数キロ先の木々に「TreePol」を向けたところ、どちらも木の葉が反射する円偏光を検知できたのである。数キロも先の植物の存在を検知できることから、将来的には航空機に搭載して上空から植物分布の状況を把握する用途にも活用することが見込まれているという。


■地球外生命探査に応用


 こうして「TreePol」の最初の屋外での使用は成功を収めたのだが、この研究は別の意外な分野からの注目も集めているという。それは宇宙探査の分野である。


 共同研究者で天文学者でもある同国ライデン大学のフランス・スニク氏は「私たちは国際宇宙ステーションか月面探査機に搭載することができる仕様の『TreePol』の開発にも取り組んでいます」と語る。


 オランダ科学研究機構(NWO)の惑星および太陽系外惑星研究プログラム「PEPSci」は、天文学者のほかにも地質学者、生物学者、化学者といったさまざまな分野の専門家が参加して宇宙探査における可能性を探っているのだが、この「TreePol」にも強い関心が寄せられているという。


「この研究結果は、まったく異なる分野で働いている科学者間での共同研究の成果に匹敵します。現在、オランダ国家研究アジェンダの一部として、この一連の研究を進めていきます」とプロジェクトに参加している宇宙生物学者のインヘ・ローズ・テン・ケイト氏は語る。


 これまでに4千もの数の太陽系外惑星が発見され、それらの惑星に生命が存在するのかどうかが探求されているのだが、その手始めとなるのが水や酸素、二酸化炭素の存在を確かめることだ。


 しかし「TreePol」の技術をもってすれば、そのような遠回りをせずとも、円偏光を検知することでその惑星の植物の存在を確かめられる。しかも、この手法であれば誤検出(false-positive)を防ぐこともできるのだ。ちなみに誤検出とは、本当は誤りであるのに誤りではないと下される判定のことである。


 この「TreePol」をいったん宇宙空間に配置できれば、きわめて広範囲の生命探査が可能になる。将来「TreePol」が地球外の円偏光を検出した時、それはおそらく地球外生命体の存在を示すものになる。意外な分野から現れた新たな宇宙探査技術に今後も注目していきたい。


(文=仲田しんじ)


※画像は「Wikipedia」より引用

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