やばい、南極の地下に巨大空洞! 予想より早く“大量の氷”が溶けて消失→爆速温暖化滅亡へ!?

2019年2月7日(木)16時0分 tocana

 上空から眺めればいつもと同じように見える南極大陸だが、氷の下の地面に大きな“空洞”がポッカリと開いていることが最新の研究で報告されている。この空洞は、大量の氷が溶け海に流出してできた空洞であるという。南極大陸に今、何が起こっているのか。


■スウェイツ氷河の地下で140億トンもの氷塊が消失


 巨大な海氷である北極と違い、南極には地面がある。極寒の南極ゆえに、分厚い氷の層は地面にガッチリとへばりついているイメージもあるが、意外や氷の下では想像を超えた動きが起こっているようだ。南極大陸のくぼ地にあった氷が溶け出して海に流れ出ているというのだ。


 NASA・ジェット推進研究所をはじめとする国際的な研究チームが先ごろ、科学誌「Science Advances」で発表した研究では南極西部のスウェイツ氷河(Thwaites Glacier)で氷河の融解と海岸線の後退が予想を超えるスピードで進んでいることを報告している。


 1992年から2017年にかけてスウェイツ氷河上で収集された観測衛星のデータと、氷を透過するレーダーを装備した航空機によって、南極および北極を観測したNASAのプロジェクト「Operation IceBridge」で収集されたデータを分析した研究チームは、ここ3年間でスウェイツ氷河の地下で140億トンもの体積の氷が消失していることを突き止めた。面積にして米ニューヨーク・マンハッタン島の3分の2で、高さは300メートルにも達する巨大な氷の塊がなくなってしまったのだ。


 地下の氷の融解だけではない、スウェイツ氷河の海岸線は1992年から2011年までは毎年400メートルだったが、それ以降毎年800メートルずつ削られて後退しており、周囲の浮遊した氷塊は年200メートル削られ、一方で周辺以外の氷塊も年300メートル後退していて、南極大陸全体では年に2520億トンの氷が失われているということだ。


「私たちは何年もの間、スウェイツ氷河はその下の岩盤にしっかりと固定されていないのではと疑っていました。新世代の観測衛星のおかげで、ようやく南極の詳細を知ることができました」とNASA・ジェット推進研究所の科学者で、米・カリフォルニア大学アーバイン校教授のエリック・リグノット氏は語る。つまり南極大陸の地面と氷河層の間は一部シャーベット状になっていて比較的容易に海水に侵食されているのである。そしてこれが南極大陸内奥部の氷塊の溶解・流失をも招いているのだ。


■スウェイツ氷河完全消滅で海水面は推定65センチ上昇


 今回の調査で明るみになった、これまでの氷床や海洋の動態モデルには当てはまらない新しい測定値が示す複雑なパターンは、寒くてかつ“暖かい”南極環境で水と氷がどのように相互作用するかについて、我々がもっと謙虚に学ぶ必要があることを示唆している。


「私たちはこの南極の海岸線の“後退”のさまざまなメカニズムを発見しています。氷河の下の“空洞”の大きさは、南極の氷塊の融解を理解するのに重要な役割を果たします。より多くの熱と水が氷河と地面の間に入るにつれて氷はより速く溶けます」とNASA・ジェット推進研究所のレーダー科学者ピエトロ・ミリロ氏は解説している。


 スウェイツ氷河の氷が溶ける複雑なメカニズムについて、研究者たちは新たな事実を学ぶことになったのだが、一方でその“残酷”な事実は、スウェイツ氷河が融解すれば世界の約4%の海面上昇につながるということだ。さらにもしスウェイツ氷河が完全に消滅すれば、世界の海水面は推定65センチまで上昇することが見込まれているのだ。


 だがそれは最悪のシナリオでさえない。スウェイツ氷河は、実際にはさらに内陸に隣接する氷河と氷塊が存在する。もし内奥部の氷塊にまで侵食が及べば、65センチの海面上昇では済まない帰結を迎えることは火を見るよりも明らかである。


「次の世紀の世界的な海面上昇を語ることは、すなわちこのスウェイツ氷河のストーリーを語ることになるのです」と、米・ニューヨーク大学の地球科学者、デビッド・ホランド氏は昨年「Washington Post」紙に語っている。つまりスウェイツ氷河の融解は、南極大陸の氷河の今後の未来を物語っているということである。


 着実に進行していると思われる地球温暖化は、ついに南極や北極へその魔の手を伸ばしはじめたということになる。今後3年でさらにどれほどの氷が失われるのか。また上昇した海水面が世界各地にどのような災厄を招くのか。しかも、トカナが報じているように、氷河期の危機も同時に訪れている。いずれにしても地球環境の大変動まで、時間はあまり残されてはいないことは明白だ。
(文=仲田しんじ)

tocana

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