<夫のお金は妻のお金>は大いなる勘違い?ファイナンシャルプランナー「夫が稼いだお金はあくまでも夫のもの。妻にとっていちばん心強い助けになるのは…」

2025年3月27日(木)13時14分 婦人公論.jp


<漫画:ゆむい/『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』より>

所得税の課税が生じる年収水準を表す<103万円の壁>を引き上げる改正案が議論されています。税金や年金など、お金に関するさまざまな制度が変わりつつある今、あらためてお金の勉強をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんがお金の新しいルールを解説した著書『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』から、一部を抜粋してお届けします。

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妻の気持ちQ.夫のお金は私のお金でもありますよね?


先生の答え A.いいえ、あなたのお金じゃありません

家のお金は誰のものか、考えてみたことはありますか?

「夫婦ふたりの財産なんだから、少なくとも半分は私のものでしょ」と思う人もいるかもしれませんね。とくに夫の扶養に入っている人なら、家族の生活費や貯金を夫の収入のなかからやりくりすることが当たり前になっているので、そのように“勘違い”しがちではないでしょうか。

そう、残念ながらそれは勘違いなのです。夫が稼いだお金は、あくまでも夫のものでしかありません。

家計の銀行口座の名義は誰になっているでしょうか。日本の銀行では、共同名義の口座は開けないので、夫婦共有の口座として管理する場合でも、夫名義になっている世帯が多いはずです。妻も家族カードなどのキャッシュカードを持って家計の管理を任されていたとしても、夫名義の口座である以上、そのお金は夫のお金なのです。

家のお金と個人のお金とは別もの


「夫の給料の一部を、私の口座に移して貯めています」という人。それは、法的には贈与にあたるので(年間110万円を超える場合)、勝手にやってはいけないことです。

家族の生活費や教育費であれば110万円を超えても課税対象にはなりませんが、それ以外の目的で、夫の口座のお金を妻の口座に移すのはNG。家族間であっても贈与となり、税金を払わなければいけないことを知っておきましょう。


『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(著:井戸美枝/講談社)

家のお金と個人のお金とは別もの。となると、妻のお金はどこにあるのでしょう? 自分名義の口座を持っていれば、その残高が妻のお金のすべてです。独身時代の貯金がそのまま残っている場合もあるでしょう。

もしも、自分名義の口座がない、もしくはその口座に残高がないなら、妻のお金は1円もないということになります。そう考えると、ちょっと怖くなってきませんか。

妻の気持ちQ.今は夫の給料でどうにか足りてるけど……


先生の答え A.夫の収入がなくなることだってあり得ます

妻が専業主婦で収入がまったくない世帯でも、夫がすでに高収入で年収が上がり続ける見込みがあれば、一見、お金で苦労することはなさそうです。

けれど、そんな家庭はごく少数ですよね。「今のところは夫の収入だけで、なんとか赤字にならず暮らせています」という場合、なにかあったときの心配は尽きません。

実際、どんなときに困るのでしょうか。

まず考えられるのは夫が亡くなってしまったときですが、この場合にはいろいろと入ってくるお金があります。

(1)夫の勤め先の死亡退職金。

(2)遺族年金。18歳未満の子供がいるなら遺族基礎年金と遺族厚生年金が出ますし、子供がいなくても遺族厚生年金はもらえます。

(3)民間の生命保険。結婚したとき、子供が生まれたときなどに生命保険に加入していて、まとまった金額が給付される人もいるでしょう。

いちばん心強い助けは妻の収入


一方、病気や鬱(うつ)などの精神疾患、ケガなどで働けなくなった場合、健康保険から傷病手当金が最長1年6ヵ月分まで出ますが、療養がそれ以上の長きにわたると収入が完全に途絶えてしまいます(障害と認定されると、障害年金を受け取れます)。

また今の時代、会社が倒産したり、リストラにあったりするのも珍しくないことです。もしものとき、いちばん心強い助けになるのは、貯蓄でも保険でもなく、妻の収入です。長く働けて安定した収入を得られる自分になっておくことが得策(ある日突然、高収入の仕事に就きたいと思っても、それまでのキャリアがなければ無理ですよね)。

あなたが得たお金で、夫や家族を支えることもできるのです。

★鬱など心の病気は、復職までの期間が長くかかる傾向があります。健康保険に加入していれば復職したあと再び休職しても手当が出ることも。

※本稿は、『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)の一部を再編集したものです。

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