ドローン技術の進化が“UFO探求の壁”に? 専門家が鳴らす警鐘

2025年4月5日(土)9時0分 tocana


 地球外生命体の存在を探る試みは、人類の長年のロマンであり続けている。しかし、その探求が思わぬ壁にぶつかっているかもしれない。急速に進化するドローン技術が、UFO(未確認飛行物体)、あるいは近年使われる「UAP(未確認異常現象)」の特定を困難にし、真実の発見を妨げている可能性があるというのだ。


 この警鐘を鳴らすのは、かつて米国防総省でUAPの調査を行う「先端航空宇宙脅威特定計画(AATIP)」の責任者を務めたルイス・エリゾンド氏だ。彼は、現代のドローン(無人航空機)があまりにも高性能化し、軍関係者でさえUFO/UAPと見間違えるほどになっていると指摘する。この混乱は、二つの大きな問題を生む可能性がある。


 一つは、もし本物の地球外からの飛来物があったとしても、それを高性能なドローンと誤認してしまうリスク。もう一つは、逆に敵対国や組織による攻撃用ドローンを、比較的無害なUAPとして見過ごしてしまう危険性だ。


見分けがつかない? ドローンとUAPの境界線

 エリゾンド氏は、議会との非公開会合でもドローンの能力について説明し、その識別がいかに難しくなっているかを訴えている。「典型的な、あるいは古典的なUAPタイプの侵入や特徴と、ドローンのそれとを区別するのは、ますます困難になっている」と彼は語る。その背景には、ドローン技術の驚異的な進歩がある。


 かつては夢物語だった長時間の飛行は、最先端のバッテリー技術によって可能になった。炭素繊維(カーボンファイバー)のような軽量素材は、以前より手に入りやすく安価になった。モーター技術の革新はシステムの消耗を減らし、より高性能な機体開発を後押ししている。


「2017年には夢でしかなかったことが、今やドローンで可能になっている」とエリゾンド氏は指摘する。ウクライナの戦場ではドローンによる死傷者が砲撃による死傷者を上回るほど、その脅威は現実のものとなっている。「これは戦争のあり方を変えている。9.11以降、我々が学んでいないことがあるとすれば、それはこれらの新興技術を真剣に受け止めていないことだ」と彼は警告する。


ドローンは「UAP問題」の一部 – 真実はどこに?

 では、UFO/UAPとドローンをどう見分けるのか? エリゾンド氏によれば、その違いは「操縦者(または所有者)」が特定できるかどうかにあるという。「ドローンであれば、X国、Y国、XYZ社、あるいは特定の反政府勢力や非国家主体(テロ組織など)に帰属するものだと期待される。しかし、UAPは少し違う。どちらも非常にユニークな特徴(飛行特性など)を持つ場合もあれば、全く特徴がない場合もある」と彼は説明する。


 結局のところ、「何が分からないのかすら分からない」のが現状だという。目撃されているUAPの一部は、実際には未知の新型ドローンや、敵対勢力の未確認技術である可能性も否定できない。しかし、エリゾンド氏は疑問も呈する。もし最近米軍基地周辺で目撃されている謎の飛行物体が、政府が示唆するように単なるドローンだとしたら、「なぜその出所や操縦者が一人も見つからないのか?」と。


「未確認のドローンについて語ることは、UAPについて語ること抜きにはできない」とエリゾンド氏は強調する。「UAP問題という大きな傘があり、その下にドローンという小さな傘があると考えなければならない。ドローンは、より大きな問題の一部なのだ」。


 ドローン技術の進化は、私たちの生活を便利にする一方で、安全保障上の新たな脅威を生み出し、さらには宇宙の謎を探る上での思わぬ障害にすらなっているのかもしれない。


 現代の技術進化がもたらした“錯覚”が、地球外生命体の存在を見極める妨げになる日が来るとは……。果たして人類は本物のUFOを見極めることができるのだろうか。


参考:Daily Star、ほか

tocana

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