できるリーダーが「1人のとき」にやっていること 第1回 部下の変化に気づけてる? 優秀なリーダーの「観察力」とは

2025年4月7日(月)8時10分 マイナビニュース


日経BPは、このほど『できるリーダーが「1人のとき」にやっていること マネジメントの結果は「部下と接する前」に決まっている』(1,980円/大野栄一著)を発売した。本書は、優秀なリーダーが持つ力についてひも解き、リーダーシップの質を高める「1人の時間」の重要性や過ごし方のヒントについて解説した一冊である。
フラットに見る「観察力」を身につける
○■部下やものごとを○か×かで判断せずに「フラットに見る」ということ
自由な思考の前提となるのは、「ものごとをフラットに観察する力」です。
フラットにものごとを見ることができれば、
「問題の本質を見極める」
「組織の状況や市場の変化を迅速に察知できる」
ため、適切な対応策を講じることができます。
同様に、部下をよく観察することで、彼らの強みや可能性を発見できます。人は自分の能力や特性をすべて把握しているわけではなく、心理学でいう「ジョハリの窓」の「盲点」や「未知」の部分が多く存在します。リーダーは、部下自身が気づいていない強みや可能性を見つけ、それを引き出す役割です。
この点で、フラットにものごとを見る力というのは、組織のマネジメントの必須能力といえるでしょう。
○◼︎優秀なリーダーは、「部下のグラデーション」を見逃さない
ただし、フラットに見るというのは、言葉でいうほど簡単なことではありません。あなたのチームのメンバーの人を、今ちょっと頭に思い浮かべてください。そしてその人に、あなたがどういう印象を持っているかも、考えてみてください。
もしあなたがこのときに、その部下を「できる/できない」「しっかりしている/問題が多い」などといった二元的な評価(2つの明確な基準に分けて判断すること)で捉えているとしたら、あなたはその部下をフラットに見ているとは言えません。
たとえ「できない」部下でも、その多くは「できつつある」「成長しつつある」といったグラデーション(中間)の中に位置しています。人は一歩ずつ成長するものです。それをリーダーが、
「いつまでも頼りないヤツだ」
など、決めつけて認識していたら、本当は日々の言動や態度にあらわれているはずの「成長の兆し」が見過ごされていることに他なりません。リーダーがフラットに見ていないことによって、部下への適切なサポートの芽が摘み取られ、部下のさらなる成長のチャンスが失われることになるのです。
部下が新しいスキルを試していたりしませんか? いつもより積極的に意見を述べていないでしょうか? こうした些細な変化も見逃さない観察力が求められるのです。
○見過ごしてはいけない変化の兆候
● 部下が自分で工夫を始めた
自分で方法を考えたり、既存のプロセスに改善を加えようとしたりしている。
● 成果はまだ見えていないが、試行錯誤している
新しいアプローチを試し、失敗を繰り返しながらも学ぼうとしている。
● 周囲の意見を積極的に取り入れ始めた
他のメンバーの意見を積極的に聞き、取り入れる姿勢が見られる。
● 質問の質が向上している
表面的な質問ではなく、本質を理解しようとする深い質問をするようになった。
● 自らタスクを提案する
指示を待つのではなく、自分からやるべきことや改善案を提案し始めた
● 他者をサポートし始めた
自分の仕事だけでなく、チームの他のメンバーの作業を手助けしようとする姿勢が見られる。
● スキルアップの努力をしている
自主的に学習を始めたり、スキルを向上させるためのトレーニングや本を読んだりしている。
● 責任感が増している
タスクを完遂しようとする意識が高まり、締め切りを守る行動が見られる。
優れたリーダーは、結果だけに焦点を当てるのではなく、プロセスや変化の兆しを重視する姿勢を持っています。この視点が部下の意欲を高め、組織全体の成長を加速させます。
リーダーに求められているのは、「できている」「できていない」をジャッジすることではなく、「できつつある」「変わりつつある」を見逃さないことです。
○◼︎生活リズムの変化を見逃さない
部下をフラットな目で観察しようとしていると、生活習慣や行動パターンの変化にも気づくでしょう。こうした変化は、彼らの心理状態や意欲の変化を示す重要なサインです。
○見過ごしてはいけない日常の変化
● 出勤時間が遅くなったり早くなったりしている。
● 食事や休憩時間のパターンが変わった。
● 睡眠不足が続いている兆候がある。
● 周囲とのコミュニケーションの頻度が減った。
● 身だしなみや服装が乱れている。
● 突発的な休暇や早退が増えた
こうした変化を早期に察知することで、部下が抱えるストレスや課題を把握し、早めにサポートできます。相談の場を設けたり、業務量の調整を検討したりすることで、部下の成長を支えられるでしょう。
リーダーに求められるのは、部下や組織全体の「変化の兆し」や「成長のグラデーション」を見逃さない観察力です。部下が自覚していない強みや可能性を引き出すことで、組織の成果を最大化することができます。
○書籍『できるリーダーが「1人のとき」にやっていること マネジメントの結果は「部下と接する前」に決まっている』(1,980円/大野栄一著)
本書では、ここで紹介したほかにも、部下の主体性を引き出す力や、チームのエネルギーを高めるリーダーのマインドについて紹介している。部下のサポートについて悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてほしい。
イラスト: 村林タカノブ

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