「みんな同じだよ」と言う人は嫌われる。頭のいい人はどう話している?
2025年4月28日(月)7時45分 ダイヤモンドオンライン
「みんな同じだよ」と言う人は嫌われる。頭のいい人はどう話している?
「いつも浅い話ばかりで、深い会話ができない」「踏み込んだ質問は避けて、当たり障りのない話ばかりしてしまう」上司や部下・同僚、取引先・お客さん、家族・友人との人間関係がうまくいかず「このままでいいのか」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?世界16カ国で続々刊行され、累計26万部を超えるベストセラーとなった『QUEST「質問」の哲学——「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす』から「人生が変わるコミュニケーションの技術と考え方」を本記事で紹介します。
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表面的な言葉でごまかしてはいけない
人生の大きな疑問の多くには、羞恥心や罪悪感が関わっている。
だから、それを避けてワインを飲んだり、ネットフリックスを見たり、何も考えずにフェイスブックの画面をスクロールしたりして気を紛らわしたくなる。
しかし、アンリエットは勇気を出してこの疑問に向き合おうとしていた。
私の役割は、彼女の同伴者であり、ガイドであることだった。
「自分が人種差別主義者かもしれないと思うのは、例えばどんな考えを抱いているからなのか、具体的に教えてくれませんか?」と尋ねると、アンリエットは恥ずかしくてたまらないという反応をした。
「それを口にすることにはためらいがあります。怖いんです。私は学校で倫理学と宗教学を教えています。模範を示すべき者であり、そのようなことを考えるのは間違っていると思うからです」
そこで、私たちは彼女の仕事について話すことから始めた。
彼女の答えから、「倫理学や宗教学を教える者は、人として正しい振る舞いをすべきであり、間違った種類の考えを抱いてはならない」という強い価値観をもっていることが明らかになった。
しかし彼女はすぐに、自分が完璧で道徳的なスーパーヒーローだと信じていない限り、そのような信念は成り立たないことを受け入れるようになった。
しばらく話し合った後、彼女はついに勇気を出して、自らの内にある人種差別的な考えを述べた。
「時々、黒人は白人よりも賢くないと思うことがあるんです」。
そう言った直後、彼女は真っ赤になり、口ごもって謝罪した。
「本当にごめんなさい。でも、それが私の考えていることなんです。こんな考えはよくありません。そんなふうに考えてはいけないのはわかっているのですが」
このような場合、私たちは「他の人ほど悪くない」とか「周りには言わないだけで、誰だって同じような考えをもっているはず」といったその場しのぎの言いわけをしてごまかそうとする。
もし私が共感的に反応していたら、彼女の気分を良くしようとしただろう。
だが、それは彼女のためにならない。
哲学的な対話は、偽の言葉で心を落ち着かせたり、事実を覆い隠したりするためのものではない。
それは、探求心と適切な質問によって、無意識の思考や判断、思い込みや前提を問いなおすためのものである。
(本記事は『QUEST「質問」の哲学——「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす』の一部を抜粋・編集したものです)