ヴェルサイユ宮殿で“タイムスリップ”した2人はマリー・アントワネットに出会ったのか

2024年4月6日(土)12時0分 tocana

 フランスの観光名所、ヴェルサイユ宮殿で“タイムスリップ”が起きていたのか——。共に教育者である女性2人がヴェルサイユ宮殿で過去にタイムスリップして生前のマリー・アントワネットを目撃したというのだ。


■ヴェルサイユ宮殿でタイムスリップ現象


 その多くは観光スポットとなっている歴史的建造物や史跡などでは、その場所の代名詞である歴史上の人物が幽霊として現れるという話がよく伝えられている。フランスの観光名所であるヴェルサイユ宮殿でもマリー・アントワネットなどの幽霊が現れることが一部で噂されているのである。


 オックスフォード大学の女子校であるセントヒューズカレッジの学長、シャルロット・モーバリーと、その秘書のエレノア・ジョルダンはフランス旅行中の1901年8月10日、ヴェルサイユ宮殿を観光目的で訪れた。


 彼女たちは宮殿を見学した後、庭園へ向かったのだが、思いのほか広い園内で迷ってしまった。


 施設内であることから不安になることもなく歩き続けていた2人だったが、この時にモーバリーは、女性が建物の窓から白い布を振っているのに気づき、一方のジョルダンは、古い荒れ果てた農家の家屋の外に古い鋤があった光景を憶えている。


 この時点で2人は、圧迫感と憂うつ感に襲われていて、その憂鬱な雰囲気を「夢のような霞」、「不気味で不快」と後に表現している。


 重苦しい気分で歩き続けていると「灰緑色の長いコートを着て、小さな三角帽子をかぶった二人の男」を目撃し、その男たちからそのまま真っ直ぐ進むよう助言されたのだった。


 庭の売店の横にはマントを羽織った大きな帽子をかぶった男がいた。モーバリーはその男について「その顔は最も不快で、その表情は忌まわしいものだった。彼の顔色はとても暗く、荒れていました」と記している。


 道なりに進んで橋を渡ると女性の姿があった。女性はキャンバスに向かって風景画を描いていたのだった。


「女性が座っていました。彼女はスケッチをしているに違いありませんでした。彼女は振り返って私たちを見つめました。彼女のドレスは時代遅れで、かなり珍しいものでした」(モーバリー)


■女性はマリー・アントワネットだった


 やがて彼らは庭園から抜け出す道を見つけ、今通ってきた道で見たものをどう理解すればよいのか戸惑いながらも帰路に就いたのだった。


 初めて訪れたヴェルサイユ宮殿での不思議な印象が残る体験が頭を離れない2人は、フランス滞在中にもう一度宮殿を訪れて庭園の道を歩いてみた。


 しかし先日に見た光景とは全く異なっていた。異なる建物が立っており、売店はなく、橋もなかった。スケッチをしていた女性にも、マントを羽織った男性にも誰一人再び出会うことはなかった。そしてそもそも庭園内は観光客で溢れていたのだ。


 あの日の体験はやはり超常現象だったことが確認できた2人は、旅から戻ってからもこの件について熱心に情報収集と検証を積み重ねた。


 彼女たちの研究の結果、あの日に自分たちはどういうわけか18世紀後半に“タイムスリップ”し、橋を渡ったところで出会った絵を描いていた女性は時の王妃、マリー・アントワネットであったことを確信したのだ。


 さらに売店の横にいた顔の皮膚が荒れた男性は“あばた面”で知られていたヴォードルイユ男爵であるに違いないとも結論づけた。


 こうした研究結果をまとめて書き上げた2人の共著書『An Adventure』(1991年刊)は出版されるやセンセーションを巻き起こし、版を重ねて当時のベストセラーになった。


 はたしてモーバリーとジョルダンの2人はその日、ヴェルサイユ宮殿でタイムスリップをし、マリー・アントワネットに出会ったのだろうか。この話を耳目にした以上、フランスを旅した際にはヴェルサイユ宮殿は外せないスポットになりそうだ。



参考:「Atlas Obscura」、「Wikipedia」ほか

tocana

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