高齢者が狙われる特殊詐欺の約9割は<電話>がキッカケ。元警部補「つまり、電話にだまされなければほとんどの特殊詐欺を防げるということだから…」

2025年4月12日(土)6時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

警察庁が公表した「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によると、2023年の侵入強盗の発生件数は414件で、前年と比べて約1.5倍に増加したそう。闇バイト強盗をはじめ、新手の犯罪が増えているなか、元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課警部補の佐々木成三さんは、現在メディアに多く出演し、防犯について発信しています。今回は、佐々木さんが最新の防犯対策について解説した著書『闇バイト強盗、特殊詐欺、盗難から身を守る いますぐ防犯』より、一部引用・再編集しお届けします。

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電話でだまされない最善策は「会話しないこと」


高齢者がだまされる特殊詐欺で使われる最初のツールは、約9割が電話です。その多くは固定電話から始まると言われています。携帯電話がひとり1台と言われる時代ですが、まだまだ固定電話を設置している家庭は多くあります。

つまり、固定電話にかかってきた詐欺グループからの電話にだまされなければ、特殊詐欺の約9割は防げるということです。

電話が入り口なら、いますぐにできる絶対にだまされない対策もあります。

それは、相手と会話しないことです。

当たり前ですが、会話しなければだまされないだけでなく、詐欺グループにあなたの個人情報を盗まれることもありません。

だませる可能性がある家には……


【質問】犯人と会話しない方法をいくつか考えてみてください。

●登録していない番号の電話は出ない
●ひとりでいるときは電話に出ない(配偶者や家族と住んでいる場合)
●一日中、留守電にしておく……

どれも相手と会話せずに済むため、だまされることはないでしょう。

ただし、この対策では、詐欺グループがあなたをターゲットから外してくれることもありません。詐欺グループからすると、たまたま電話がつながらなかっただけで、「この人はだませない」とは思っていないからです。

ターゲットから外されないと、またしばらくして、詐欺グループから電話がかかってきます。もしかすると、あなたの知らない新しい手口で電話をかけてきて、つい会話してしまうことがあるかもしれません。だませる可能性がある家には何度もトライしてくるのが、詐欺グループなのです。

怪しいと思ったら即ガチャ切り


私が特殊詐欺対策として居留守や留守電をあまりおすすめしないのは、電話がかかってくると、つい出てしまうのが固定電話のある家庭だからです。特に、高齢者の中には、かかってきた電話を無視することに罪悪感を覚える人もいると思います。

あなたも、電話が鳴ったら、ついつい受話器を取っていませんか。


(写真提供:Photo AC)

「それなら、固定電話を解約したらどうでしょうか」と言う人もいます。実際、子どもに解約をすすめられたという人もいます。

しかし、固定電話に電話をかけてくる知り合いや友人もいますし、高齢者にとっての固定電話は社会とつながる大切なコミュニケーションツールです。

それをなくすのは、極端な話をすると、社会とのつながりを断ち切るようなものです。

友だちや古い知り合い、親族などとの電話での会話を楽しみにしている人はたくさんいます。

「攻めの防犯」


受話器を取ってからどうするか。

これが、これからの固定電話での特殊詐欺対策です。私はこのスタイルを、「攻めの防犯」と呼んでいます。

面識のない相手からの電話に対して、いますぐできるのが、会話をしていてお金を要求されたり、教わった詐欺の手口の会話であることがわかったら、“ガチャ切り”することです。

「あれっ?」と思ったら何も言わずにガチャ切りしてください。「相手に失礼かな……」なんて考える必要はありません。失礼なことをしているのは、詐欺グループの可能性がある相手のほうです。

会話ができなくなれば、相手はもう何もできません。それどころか、「詐欺だとバレている」と思って、二度と電話をかけてこなくなります。

「詐欺じゃない電話をガチャ切りしてしまうかも」と心配かもしれませんが、もし詐欺でないのであれば、電話が切れたらもう一度かけ直してくるので心配いりません。

ガチャ切りは、「詐欺だと気づいていますよ」と相手を威嚇するようなもの。防犯対策がしっかりしている家だとアピールすることができます。

※本稿は、『闇バイト強盗、特殊詐欺、盗難から身を守る いますぐ防犯』(アスコム)の一部を再編集したものです。

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