『ザ・ブザー』40年以上続くロシアの謎の短波放送「UVB-76」の謎

2024年4月13日(土)12時0分 tocana

 ブザー音が延々と流れ続ける謎のラジオ放送がロシア国内で40年前から継続してオンエアされている。“ザ・ブザー”とも呼ばれているこの放送がどんな理由で続けられているのか、未だ謎のままだ——。


■40年以上オンエアされている謎のブザー音


 ロシアの短波放送「UVB-76」は謎のブザー音を1982年から延々と40年以上流し続けている。


 ラジオの周波数を4625kHzに合わせるだけで、24時間年中無休のこの奇妙なブザー音を世界中の誰もが聴くことができる。数カ月ごとに暗号化されたメッセージと思われる音声によってブザー音が中断されることがあるが、ブザー音についてもそのメッセージについても何もわかっていない。


 この放送は1982年という米ソ冷戦時代の終盤に始まっている。したがって軍事的戦略に関係したものであると考えるのは自然なことだろう。


 そこでこのブザー音が「死の手(Dead Hand)」の信号として機能しているという指摘もある。「死の手」とは当時のソ連が核攻撃を受けた場合、指揮系統が完全に破壊されていたとしても自動的に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を敵国へ向けて発射させることができる軍事的報復システムである。もしこれが本当ならきわめて物騒な放送ということになる。


“ザ・ブザー”の放送は途絶えることなく続いているが、2010年9月1日に一定時間放送が停止されたことがある。多くの陰謀論者はこれが世界の終わりだと思ったが、もちろんその後に全面核戦争が起こることはなかった。


 また2014年3月18日のロシアによるクリミアの併合が行われて24時間も経たないうちに、「UVB-76」で次のようなアナウンスが読み上げられている。


「ミハイル・ディミトリ・ジェーニャ・ボリス(放送局のコールサイン)。ミハイル・ドミトリ・ジェーニャ・ボリス。8126 T-E-R-R-A-K-O-T-A」


 これが何を意味しているのかは不明だ。


 クリミア併合に先立つ2014年2月12日、放送ではどこからともなく現れた女性の声が響いた。


 何らかの混信事故と考えられるのだが、彼女は「こんにちは、バルカン」とあいさつをしてマーシャという人物と会話をしており「わかりました、マーシャ、私はしばらくここで待機しています。バルカン分類におけるそのチャンネル番号は何ですか?」とロシア語で話したのだった。


 もちろんこの一件についてもよくわかっていない。


■むしろ深まる“ザ・ブザー”の謎


 放送局は当初、モスクワに近いポヴァロヴォ近辺にあることが示唆されていたが、2010年以降、“ザ・ブザー”は2つのまったく異なる場所から放送しているといわれている。


 ブログ投稿によると、これら2つの場所をグーグルマップで表示することも可能だ。


 その1つは、座標「60°18’40.1″N 30°16’40.5″E」で、サンクトペテルブルクから約30マイル離れたレニングラード州地区に位置し、西部軍管区にサービスを提供する第60通信ハブの一部であると報告されている。


 もう1つの放送場所は「55°25’35″N 36°42’33″E」で、モスクワから70km南西に位置するナロ=フォミンスクの69番目のコミュニケーションハブとしてグーグルマップ上で特定され、オンラインの写真には複合施設の電波塔とアンテナが示されている。


 ロンドン市立大学の信号インテリジェンスの専門家であるデイビッド・スタップルズ教授は「この信号に関する情報はまったくありません」と述べている。


 一方でウェブサイト「Numbers Oddities」を運営するオランダ出身のラジオモニター、アリー・ボンダー氏は英紙「Daily Mail」に次のように語っている。


「これはUFOのホーミングビーコン(電波標識)だとか、ロシア人が人の心をプログラムできるマインドコントロール装置だと言う人もいます」(ボンダー氏)


 またXユーザーの「Creepy Knowledge」氏は最近の投稿で次のように語っている。


「それはとても謎めいていて、あたかも陰謀論者を念頭に置いて設計されているかのようです。現在、この放送局のオンラインフォロワー数は数万人に上ります。…(中略)…彼らは自ら認めているように、自分たちが何を聴いているのかまったくわかっていません」


 ソ連時代からの短波放送「UVB-76」、“ザ・ブザー”の謎は時の経過と共にむしろ深まるばかりのようである。


参考:「Daily Star」ほか

tocana

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