Q. 「貧血はがんの可能性がある」って本当ですか?
2025年4月16日(水)20時45分 All About
【医師が解説】「がん? 会社の健康診断でがん疑いとは言われなかったから大丈夫だよ」と思っている方はいませんか? 健康診断はがん検査とは別物のため、検診や人間ドックの結果だけで安心するのは危険です。貧血の診断を受けた場合について、がんとの関係性を解説します。
Q. 健康診断で貧血でした。がんの可能性があると聞いたのですが本当でしょうか?
Q. 「健康診断で『貧血』と言われました。特に自覚症状はないのですが、同僚から『がんの可能性があるから放置しない方がいい』と言われて、不安です。実際に、貧血の原因ががんということはよくあるのでしょうか? 今すぐ精密検査を受けるべきか、迷っています」A. 過度の心配は不要ですが、進行性の貧血の場合は注意が必要です
貧血の原因はさまざまですので、必ずしも「がんが原因」とは言えません。しかし、自覚症状がないからと言って、安心もできません。実際に、健康診断で貧血が見つかり、がんが原因だったということもあるからです。特に、胃がん・大腸がん・子宮がんなどによる微量の出血がある場合、「徐々に進行する貧血」が見られることがあります。一般の健康診断の主な目的は、「生活習慣病の予防」です。しかし、がんの兆候が見つかることもあります。がんによる出血が少量かつ継続的に続くと、身体が順応してしまい、自覚症状が現れにくくなります。ご質問の内容からは貧血の程度や状況がよく分かりませんが、もし進行性の貧血が見つかった場合は、精密検査を受けた方がよいでしょう。
まずは、貧血が一時的なものか継続的なものかを確認してください。その上で、必要に応じて消化管や婦人科の検査を受けることが大切です。健康診断で大きな異常がなかった場合でも、もし不安な症状が出てきた場合は、医療機関で一度相談することをおすすめします。
狭間 研至プロフィール
大阪大学医学部卒。日本外科学会 認定登録医。大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院などで外科・呼吸器外科診療に従事した後、現在は地域医療の現場で医師として診療を行う。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長。医療法人嘉健会思温病院理事長。外科医、地域医療、薬局運営の豊富な経験から、医療と患者さんの橋渡しとなる分かりやすい医学情報発信を行っている。(文:狭間 研至(医師))