熱中症予防策として有効な暑熱順化とは?「夏が来てからでは手遅れ」と識者
2025年4月21日(月)13時49分 マイナビニュース
日本赤十字社は4月15日、「熱中症に関する意識調査(2025年)」に関する調査結果を発表した。同調査は3月、全国の10代〜60代以上の男女1,200名を対象に、インターネットで実施した。
近年は日本の年間平均気温が上昇していることに伴い、熱中症による救急搬送件数も増加傾向がみられる。特に高齢者や子どもを中心に重症化のリスクが高まっており、個人の対策だけでなく社会全体での予防啓発が急務となっているが、熱中症に危機意識はどれぐらい浸透しているのかなどを紹介していく。
熱中症になった場合の症状のイメージについて尋ねたところ、86.6%が「危険だと思う」と回答した。13.4%は「危険だと思わない」と答えている。
熱中症を意識し始める時期を聞くと、最も多い回答は「7月」(34.7%)だった。次いで、「6月」(25.1%)、「5月」(17.8%)、「8月」(9.7%)となっている。
年代別で見ると、「5月」と回答した人は、40〜60代以上は2割を超えているが、10〜30代は1割台にとどまった。若年層は「7月」という回答が突出しており、年齢が高いほど、熱中症を意識し始めるのは早い傾向にある。
過去に「熱中症への予防や対策を行ったことがある」と回答した人に、その時期を尋ねると、「7月」(45.0%)が最も多かった。以下、「6月」(25.2%)、「5月」(15.7%)、「8月」(11.2%)という順になっている。熱中症を意識し始める時期と、実際に対策を行う時期は、同じような傾向にあることがわかった。
徐々に暑さに体を慣らしていく「暑熱順化」について知っているか尋ねると、88.0%は「聞いたことはあるが、意味までは知らない」「聞いたことはなく、意味も知らない」と答えている。
日本赤十字社 事業局 救護・福祉部健康安全課長の齊藤紀彦氏は「熱中症は夏だけではなく、1年を通じて予防することも大切。夏が来てからでは手遅れの予防策も。暑くなったときに体温調節ができる身体をつくっておく暑熱順化もその一つで、普段からやや暑いと感じる気温のもとで軽く汗ばむ程度の運動を日常から行うことが暑熱順化には有効」と語っている。
【解説MEMO】
熱中症は、正しい知識と備えがあれば未然に防げる疾患である。今後は医療機関や自治体による啓発活動に加え、学校や企業などあらゆる場面での対策強化が求められる。気候変動と共存する社会において、熱中症対策は今後ますます重要性を増すであろう。