熱中症リスクはいつから高まる? 今からできる暑さ対策【医師監修】

2025年5月21日(水)17時3分 マイナビニュース


すでに関東以西では最高気温が30℃に迫る日があり、屋外では熱中症対策が必要となっ
ています。熱中症や体調不良を防ぐためには、事前の対策が不可欠。今回は、夏本番に向けて今からできる対策について、愛晋会中江病院の中路幸之助先生にお伺いしました。
○■熱中症や夏バテの予防は、早めの対策を
——暑さ対策の重要性と夏本番前に準備しておいた方がいい理由を教えてください。
暑さ対策は、熱中症や夏バテを予防するために重要です。夏本番前に準備する理由は、体がまだ暑さに慣れていない状態にあると、急な気温上昇に体温調節機能が追いつかず、熱中症や夏バテのリスクが高まるからです。そのため、体を徐々に暑さに慣れさせることで、汗をかくことで、熱を体から効率よく逃がせることが出来るようになります。したがって、梅雨の時期やその前から、早めに対策をすることが重要です。
——熱中症はいつ頃から発生するのでしょうか?
熱中症は真夏に多い印象がありますが、最近は地球温暖化の影響もあり、5月のゴールデンウィーク前後から発生しています。特に、梅雨の時期の晴れた日などは急激に気温が上昇するため要注意です。気温変動が大きい春先から初夏にかけては、体が暑さに慣れていないため発症しやすく、6月下旬から8月にかけては発生件数が著増します。
○■今からできる暑さ対策
——日常の中で、今からできる暑さ対策を教えてください。
「室内環境の整備」では、窓を開けて通気を良くすることや、エアコンや扇風機を活用し、室温や湿度を適切に保ちましょう。遮光カーテンなどで日差しを遮り、観葉植物を置いて自然な冷却効果と湿度調整を図ることもよいでしょう。
また、栄養バランスを考えつつ、水分・塩分をこまめに補給するなど「食事の工夫」も大切です。食品としては、梅干し(クエン酸)、うなぎ(ビタミンB)、トマト(ビタミンC)、きゅうりやスイカ(水分とカリウム)などの食材を取り入れると良いでしょう(心臓病や腎臓病などがある方はかかりつけ医にご相談ください)。そのほか、十分な睡眠をとるなどして、免疫力を整えましょう。
——「暑熱順化」も注目されていますが、具体的にどうすればよいのでしょうか。
「暑熱順化」とは、体が暑さに慣れること、すなわち暑い環境に適応するための生理的な変化を示します。「暑熱順化」が進むことで、暑さに強くなり、熱中症や夏バテのリスクが低下します。
暑熱順化の方法として、軽い運動や入浴で汗をかくことが有効です。具体的には、ウォーキングなら1回30分を週5回程度、ジョギングなら1回15分を週5回程度、サイクリングなら1回30分を週3回程度。ラジオ体操やストレッチは、室内でも少し汗をかく程度に30分以内を目安にしてください(心臓病のある人などはかかりつけ医に相談してください)。シャワーだけでなく、湯船につかる入浴を2日に1回程度してみるのもよいでしょう。ぬるめのお風呂から徐々に熱いお風呂に慣れていくのも効果的と言われています。
これに対して「暑熱馴化」とは、実際の屋外や日常生活の中での自然環境下において徐々に暑さに慣れていくことを示します。暑熱順化(人工的な環境での暑さへの適応)と暑熱馴化(自然環境での暑さへの適応)は、どちらも熱中症や夏バテの予防に有効ですが、効果の本質に大差はありません。どちらの方法でも、体は発汗や血流調節などの暑さへの適応反応を獲得し、熱中症や夏バテのリスクを下げることができます。
熱中症・夏バテ予防の観点では、計画的な「暑熱順化」のほうが短期間で確実に効果を得やすいといえますが、最終的な適応レベルはどちらの方法でも大差はありません。日常生活の中で無理なく続けるなら「暑熱馴化」を、短期間でしっかり備えたい場合は「暑熱順化」がおすすめです。「暑熱順化」が完了したと感じられるまでの期間は、一般的に1〜2週間程度とされています。3日後くらいから徐々に効果が現れ、1週間程度でほとんど順化された状態になると言われています。ただし、個人差があり、運動の種類などによっても多少前後します。暑熱順化中は無理をせず、体調の変化に注意しながら出来る範囲で実施してください。
——夏を快適に過ごすためのポイントを教えてください。
体を冷やす工夫として、保冷剤や冷感タオルで首やわきの下、手首、こめかみなどを冷やすと体温を下げやすいでしょう。お風呂上がりに足を冷水につけることで汗を引かせることが出来ますし、夏用の入浴剤を入れた風呂に入るなど、メントール系の冷感効果を利用するのもよいでしょう。
室内で涼しく過ごす方法としては、扇風機を使って風通しを良くし、エアコンと併用して冷気を循環させましょう。扇風機はエアコンの風下に向けて首を天井に向けると効果的。遮光カーテンやすだれ、緑色のカーテンを使い、直射日光を遮って室温の上昇を防ぎましょう。室外機の周りは風通しを良くし、日よけパネルで熱を遮断することによりエアコンの効果を上げられます。また、青色系のインテリアを取り入れることで視覚的に涼感をアップできます。
そのほか、生活習慣では、朝夕の涼しい時間帯に打ち水をして、蒸発熱で周囲の温度を下げること、暑さに慣れるために、5〜6月から少しずつ汗をかく習慣をつけて暑熱順化を促しましょう。食事面では、夏野菜や果物(パイナップル、メロン、バナナなど)を積極的に摂ることで、体の中から体温調節を助けることができます。
外出時の対策としては、直射日光を避けるために日傘、帽子、サングラスなどを使い、日陰の方を歩く、冷たい飲み物を持ち歩き、こまめに水分補給を心がけることも大切です。
これらの方法を組み合わせることで、体や環境にも優しい快適な夏を過ごせるでしょう。
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