【香山リカ】医師同士の遠距離恋愛の結末...フラれても「負け」じゃない
2025年4月21日(月)15時0分 大手小町(読売新聞)
7年間、つき合った男性から「結婚は考えられないから別れてほしい」と告げられた女性。ふたりとも研修医で大学の同級生。卒業後は遠距離恋愛だったようだ。
彼が語る「別れの理由」は、「進路に迷いがある」「将来、強い言葉を出されたら耐えられない」「徐々に気持ちが薄れていった」などちょっとボンヤリしている。要は「あなたも忙しいでしょうし、そっちでひとりでがんばって」ということなのではないか。

「今までの日々の全てがなくなってしまうよう」とつらい気持ちを訴える女性の言葉を見て、私も胸がつまった。まだ若かった頃、同世代の医師と遠距離交際をし、相手の仕事に関して批判めいた言葉を口にしたのがきっかけでフラれたことを思い出したからだ。そのあとその人は、とても穏やかな年下女性と結婚したという
もちろん、パートナーと対等な関係を築いている男性は少なくないが、残念ながら若い世代にさえ、「妻になる女性にはやさしく支えてほしい」と願う人はまだいる。
レスには「仕事しましょう。打ち込みましょう」「マッハで切り替えて、次!」と女性の背中を押すような意見も多く、同業の先輩からの「よい相手を見つけて幸せになっている女性医師は、仕事もちゃんと誠実に向き合い、医療スタッフからも患者からも信頼される仕事ぶりです」という励ましもあった。
「仕事をしているあなたをリスペクトしている」という男性もきっといるはずだし、もしシングルですごすことになっても、それは「負け」や「失敗」ではない。まずはひとりでしっかり、そして楽しく生きられるのが基本コース。恋愛や結婚はオプションくらいに思って、前を向いて歩んでいってほしい。(精神科医 香山リカ)
【紹介したトピ】▽7年付き合った研修医の彼に結婚はかんがえられないと言われた