「介護離職」団塊世代が75歳以上になり深刻化 - 介護休暇が発生した企業の割合は?

2025年4月28日(月)10時46分 マイナビニュース


東京商工リサーチは4月21日、「介護離職に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は4月1日〜8日、大企業(資本金1億円以上)および中小企業(資本金1億円未満)5,570社のデータを集計・分析した。
団塊世代が75歳以上になり、介護離職問題の深刻さが増している。ことし4月、改正育児・介護休業法が施行されたが、事業規模で意識の違いが大きいことがわかった。
調査によると、過去1年間(2024年4月〜2025年3月)に「育児休暇が発生した」割合は大企業で55.6%、中小企業は21.4%。同様に、「育児休業」は大企業46.2%、中小企業20.4%(1,050社)。また、「介護休暇」については大企業26.1%、中小企業8.7%、「介護休業」は大企業13.6%、中小企業3.6%と、育児面・介護面ともに企業規模による格差が大きいことが明らかに。
また、「国が定める育児休業とは別に、従業員の育児支援のための休暇制度(育児休暇)がある」という企業は、大企業が52.7%だったのに対し、中小企業は32.2%と、追加支援にも企業規模で大きな開きがみられた。
次に、「過去1年間(2024年4月〜2025年3月)における介護離職者の発生率」を調べたところ、全体では7.3%という結果に。企業規模別では、大企業12.0%、中小企業7.0%で発生しており、特に、「宿泊業」(23.07%)や「飲食業」(18.18%)で高いことが明らかに。具体的な人数としては「1名」(74.1%)が圧倒的に多く、男女別では、「男性の方が多い」が46.7%で、「女性の方が多い」(39.5%)を7.2ポイント上回った。
一方、介護離職者のうち、「介護休業・介護休暇のいずれかを利用していた」人の割合を聞くと、54.7%が「いない」と回答。親などの高齢化が進む中、制度の認識不足や制度利用が難しいケースも多いよう。
また、「仕事と介護の両立に十分に取り組んでいる」という企業は19.8%。両立支援への取り組みや整備した制度を教えてもらったところ、「就業規則やマニュアル化で明文化」が最多となったが、大企業で73.4%と導入が進む一方、中小企業では48.2%と半数に満たない結果に。
他方、両立支援への取り組みが「十分とは思わない」企業は38.7%。理由を聞くと、「代替要員を確保しにくい」(62.6%)、「自社に前例が少ない」(49.5%)、「介護休業制度が社員に浸透していない」(25.5%)が上位に。また、企業別で差が出たのは「職場の雰囲気」(大企業18.8%、中小企業6.4%)による難しさや、「自社に前例が少ない」(同36.4%、50.5%)で目立った。
次に、「介護休業は、対象1人あたり通算93日まで取得が可能です。93日という期間についてどう思われますか?」と質問したところ、93日間が「長い」と回答したのは、大企業が16.0%、中小企業が35.0%と温度差が大きいよう。
一方「短い」と回答した人にその理由を尋ねたところ、「介護の終わりの予測が難しいため」(92.6%)が最も多く、次いで、「施設の空きが少なく、復職までに時間を要する可能性があるため」(49.3%)、「共働き世帯が増えているため」(32.7%)と続いた。
介護や育児による離職は、企業にはマイナスの影響が大きい。特に、介護は時期や期間も想定が難しく、企業の支援が重要になる。改正した育児・介護休業法の周知徹底や、相談窓口の開設など、中小企業への支援拡充を中心に、企業や社員相互の意識改革が必要になっている。

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