子連れ旅行・外食どうする? 「世の中は4人家族前提」SNSの声に見る“3人目の壁”のリアル
2025年5月1日(木)21時5分 All About
子どもが多いほどにぎやかで楽しそう。しかし世間では、「3人目の壁」が囁かれていることをご存じでしょうか。今回は実際に子どもが3人以上いる人が感じた声を紹介します。
理想の子ども人数は「3人以上」が約3割
「出生動向基本調査」(2021年)によると、夫婦が理想とする子ども人数は「2人」が過半数を占めますが、「3人以上」を希望する夫婦も約3割いることが分かっています。その割合は1977年と比べて減少しているものの、決して少なくはありません。【理想の子ども人数(2021年)】
いらない…4.3%(1977年は0.3%)1人…5.2%(1977年は2.7%)
2人…53.3%(1977年は41.5%)
3人以上…33.8%(1977年は50.4%)
しかし、「実際に予定している子ども人数」について尋ねると、「3人以上」と回答する人が約10%減少します。
【予定している子どもの人数(2021年)】
いらない…5.7%(1977年は2.2%)1人…15.0%(1977年は10.6%)
2人…51.9%(1977年は53.3%)
3人以上…24.0%(1977年は26.6%)
理想の子ども人数を実際に目指さない理由として、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(52.6%)という回答が最も多く、妻が35歳以上の夫婦では「高年齢で生むのはいやだから」「ほしいけれどできないから」といった理由も目立ちます。
ネットでは「世の中は4人家族前提で回ってる」という指摘も
実際に3人以上の子どもを育てる人たちは、どんな悩みに直面するのでしょう。SNSでは、「子どもが3人に増えると子育てのシーンが変わる」「世間は4人家族を前提に回っている」という意見が見られ、「3人目の壁」を指摘する声が上がっています。例えば、旅行先で泊まるホテル。消防法によりホテルや旅館は部屋ごとに定員数が決まっており、添い寝する赤ちゃんも人数としてカウントされます。そうすると子どもが2人だった頃は利用できた宿泊先が定員オーバーとなり、選択できなくなることがあるそう。SNSでは、「子どもが3人以上の場合、宿泊先は定員数が守れる広い部屋か、2部屋に分かれて泊まる」という声が見られました。
また、外食する際も子どもが小さい時は補助いすなどで4人席にプラスして座ることができますが、ある程度大きくなったら6人席が空くのを待つしかありません。場合によっては3人席と2人席に分かれて座ることも。SNSでは、「順番待ちをしていると、後から来た人がどんどん呼ばれて憂鬱(ゆううつ)な気分になる」という意見もあります。
このほか、「賃貸物件は4LDK以上の数が少なく、家賃が高い」「騒音が気になるから、戸建てで」「車は5人以上乗れるファミリーカーへ買い替え。選択肢はミニバンがメインになる」という書き込みも。子どもは成長とともに食費が増えますから、経済面で大きな打撃を受けることは間違いありません。そうすると、「3人以上子どもがほしいけど、お金がかかるから難しい」とあきらめるのも、うなずけます。
子どもの人数が多いと、急な発熱などによる看護や授業参観などのイベントごとでの調整も必要です。保育園や幼稚園に通う際は送迎が必要ですし、卒園後も習い事の送迎でも親のフォローは必須です。
自治体の子育て支援を調べることも大切
キャリアの視点からも、子どもが3人いると教育費や生活費にお金がかかるため「正社員を辞めるわけにはいかない」「時短勤務からフルタイムへシフトしたい」と悩む方が多いようです。各自治体では子育て支援の一環として、きょうだいで保育園や幼稚園を利用する場合、最年長の子どもから順に保育料を半額あるいは無料にするといった方針を拡充させるほか、子育て優待カードを設け、協賛店で提示すると子育て応援サービスが受けられるシステムを導入しているケースがあります。
東京都の場合は、多くの自治体で公立小学校、中学校の給食費を無償化。2024年度からは高校の授業料実質無償化などを実施しています。3人目の壁を乗り越えるには、子育て支援の厚い自治体を調べ、「どこで子育てをするか」を考えることも必要なのかもしれません。
この記事の執筆者:結井 ゆき江
中学受験雑誌の編集者として勤務したのち、フリーランスの編集者・ライターとして独立。教育や生き方、地域情報などを中心に取材・執筆を行う。グレーゾーンの小学生をサポートした経験も。(文:結井 ゆき江)