柚香光が劇団☆新感線「紅鬼物語」の主演に...「うれしくてワクワク」

2025年5月1日(木)15時0分 大手小町(読売新聞)

華のある圧倒的な存在感とキレのあるダンス、深みのある芝居で絶大な人気を誇る元宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光(ゆずかれい)さん。退団後初の本格的舞台となるのが5月13日に開幕する劇団☆新感線の舞台「紅鬼(あかおに)物語」です。真っ赤なドレス姿の柚香さんに会ってきました!

【紅鬼物語STORY】昔々、そのまた昔。都に鬼が現れ、人々を襲っていたころ。貴族の源蒼(みなもとのあお)鈴木拡樹)は10年前にこつ然と姿を消した妻の紅子(柚香光)と娘の藤(樋口日奈)を捜していた。ある日、蒼の家臣、坂上金之助(さかがみきんのすけ)喜矢武豊)が鬼に襲われるが撃退する。金之助がそのことを蒼に知らせると別の家臣、碓井四万(うすいしま)(千葉哲也)が、紅子と藤の神隠しも鬼の仕業ではないかと言い出す——。

大阪・SkyシアターMBSで5月13日〜6月1日、東京・シアターHで6月24日〜7月17日。作・青木豪、演出・いのうえひでのり。他に出演は鈴木拡樹、早乙女友貴、喜矢武豊、一ノ瀬颯、樋口日奈、粟根まこと、千葉哲也など。

柚香光さん

派手なセットと衣装に怒とうのアクション、けれん味あふれるストーリーと演出で知られる劇団☆新感線の舞台に柚香光さん! この組み合わせを考えた人は天才でしょう。なぜなら、柚香さんは宝塚歌劇団入団直後からどんな群舞のすみっこにいても名前の通り光を放ちまくっていた圧倒的オーラの持ち主。高い身体能力を生かすという点においてもぴったりでしょう。

柚香さん自身、新感線の大ファンだそうです。

「出演者の皆さんのエネルギーが飛んでくるようで、穏やかさもあって軽快で快活。オファーをいただき、うれしくてワクワクしました」

今回演じるのは妻であり母である紅子(べにこ)。ネタばれになってしまうので詳しく書けませんが「人ならぬ者」でもあるとか。新鮮な思いで役と向き合っているようです。「特に母親役っていうのは自分にとっても大きな挑戦」と語ります。一方で、妻や母親という立場を超えた“何か”を表現したいとも。

2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective「紅鬼物語」

「紅子自身、周囲から愛を受けて過ごし、人ではないことに葛藤している。どんな思いで生きてきたのか想像するたびに苦しくなるし、私自身も彼女のことが好きになっています」

人ならぬ者の物語では、2018年に萩尾望都さんの傑作漫画「ポーの一族」を宝塚で舞台化した時のことが思い出されます。柚香さんは、吸血鬼「バンパネラ」となってしまう金髪の美少年アランを演じ、「漫画から抜け出たよう」と絶賛されました。アランと紅子が重なったと伝えると、「あら! フフフ」と満面の笑み。

「寂しさや切なさを抱えるキャラクターたちが奏でる深い意味での人間賛歌という点で共通しているかもしれません」。

大きな瞳がきらりと輝きました。

宝塚を退団して約1年。自身のソロコンサートや宝塚OGが集結したショー、世界的バレエダンサーのガラ公演に出演し、多忙な日々が続いています。

「ありがたいことに色々やることが多くて……宝塚を辞めて以降もゆっくりしたことはないかもしれないです」

大の読書家ですが、いつか読もうと買った本が自宅の本棚に山積みになっているそうです。

今後は、海外ダンサーたちのアクロバチックな踊りが見もののショー「バーン・ザ・フロア」へのゲスト出演などが決まっています。

「これまでやってきたこととは違う文化に入っていくことで自分とは何か、自分はどんなパフォーマンスができるのか改めて考えるきっかけをいただいている。大きな学びとなっています」

芝居はこれからも続けていきたいそうです。「今までずっとやってきたので。自分の使命、責任というのを考えながら追究していきたいです」。ストイックで知的な話し方が印象的でした。どんな時代が来ても柚香さんが放つ光が弱まることはないでしょう。

退団後に出演した公演について柚香さん自身に振り返ってもらいました!

宝塚OGが集結した「RUNWAY」に出演した柚香さん(写真・松本和子)

優しくてかっこよくて◇「RUNWAY」(2024年12月)

宝塚OGによるショー公演で、100周年(14年)の頃のトップさんが集結し、私は元トップの最下級生として出演しました。皆さん優しくてかっこよくてきれいで、舞台上でも楽屋でもとってもかわいがっていただきました。「こんな私が出ていいのかな」と思いながらも本当にありがたかったですね。

自分史上最短の稽古で◇「マチュー・ガニオ スペシャル・ガラ ニューイヤーコンサート」(今年1月)

世界的バレエダンサーであるマチューさんのガラ公演への出演。自分でも信じられない思いでした。とはいえ、お稽古が大変で。言っていいのか分かりませんが、「RUNWAY」の公演後の時間を使って、3日間の稽古で仕上げたんです。自分史上過去最短かもしれません。大変ではありましたが、マチューさんの人柄、器の大きさに感動しました。穏やかで誰もが好きにならずにはいられない方でした。

柚香さんに、お気に入りの私物を紹介してもらいました。

◇自作の器 「土を触るの楽しい」自分で作った器です。陶芸のろくろ体験で作った器が意外と使いやすくてお気に入りです。使用頻度もとても高いんです。実はスタッフの方が最終的に結構助けてくださるので完全な自作かと問われると怪しいんですけど(笑)。でも、土を触るのは楽しいですし、数を増やしていきたいです。

(文・読売新聞文化部/小間井藍子 写真・米山要)

プロフィル柚香光(ゆずか・れい)東京都出身。1992年3月5日生まれ。杉並区立和泉中を卒業後、宝塚音楽学校に入学。2009年、宝塚歌劇団に95期生として入団し、花組に配属される。「はいからさんが通る」の伊集院忍少尉役、「ポーの一族」のアラン・トワイライト役、「花より男子」の道明寺司役など漫画原作の舞台化で当たり役を連発し、注目を集める。19年に花組トップスターに就任。24年の舞台「アルカンシェル」をもって退団。今年7月にダンスエンターテインメントショー「バーン・ザ・フロア 2025」にゲストアーティストとして出演予定。12月に開幕するミュージカル「十二国記—月の影 影の海—」への主演が決まっている。

大手小町(読売新聞)

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