<掛け捨ての保険はソン!><お金が戻ってくるほうがトク!>って本当?専門家「保険で得をしたいとの考えがズレていて、むしろ…」【2025マネー記事セレクション】
2025年5月9日(金)6時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
2024年に『婦人公論.jp』で反響を得た「マネー」に関する記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年11月22日)
*****「保険に入ろうと思っているけれど、何から手を付けていいかわからない」「保険選びってよくわからないから、誰かに相談したい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そんななか「保険は、人生の中でマイホームの次に高い買い物。ムダな保険を見直すだけで大きな節約になる」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんです。そこで今回は、長尾さんの著書『1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100』から、保険選びに役立つアドバイスを一部ご紹介します。
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保険は助け合いから始まった
お得な保険はありません。しかし、必要のない保障に入っていれば、損になるとは思います。
そもそも保険に「損」「得」は当てはまらないのです。
たとえば、60歳までの3000万円の定期保険に入っていたとします。60歳までに死亡しなかったら、損ですか? 得ですか?
保険金・給付金を受け取るということは、何らかの不幸や不運が起きたことを意味します。けっして喜べる事態ではありません、しかし、保険に入っていて助かった、最悪の状態から抜け出せたということはあるでしょう。
保険とはリスクヘッジなのです。
保険のもともとの役割は、多くの人からお金を集めて、困ったときにそのお金を役立てることです。「万人はひとりのために、ひとりは万人のために」という「相互扶助」が基本のしくみです。
とはいえ、みなさんにわかりやすいよう、本記事では「損」「得」という表現を使っています。
保険で得をするのではなく、ムダのない入り方といった感覚でとらえていただければと思います。
<『1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100』より>
貯蓄は三角、保険は四角の理由は
貯蓄は三角、保険は四角だと言われます。
この意味、わかりますか。
『1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100』(著:長尾義弘/自由国民社)
貯蓄は、コツコツ積み上げていきます。一般的に20代の貯蓄は多くありません。年齢を重ねるにつれてそれが増えていき、60代にはだいたい老後のための資産形成ができてきます。
右肩上がりで貯めていくため、三角なのです。
一方、保険は最初からドンっと大きい保障がつきます。保険期間中はそれがずっと続くので、四角と表現されるわけです。
三角の山を登り始めたころに大きなトラブルに見舞われたら、貯蓄ではカバーしきれません。そんなふうに大きなお金が必要になるリスクをフォローしたいときこそ、保険が役に立ちます。
上手な使い方は、少額で大きなリスクをカバーすること。たとえば、定期保険に加入すると、月額2000円くらいの保険料で、3000万円の保障を得ることができます。どのジャンルを選ぶのかも、重要になってきます。
そうやって保険で備えながら、同時にコツコツと貯蓄もしていきましょう。保険と貯蓄の両輪で備えるのが、賢い方法です。
<『1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100』より>
掛け捨ての保険は本当に「損」なのか
掛け捨ては「損」、お金が戻ってくるほうが「得」だと思っている人がいます。これは誤解です。
少ないお金で大きな保障を得られることが、保険のメリットです。本来の役割から考えると、掛け捨てのほうが「得」なのです。
掛け捨ての代表格「定期保険」と、解約返戻金がある貯蓄型の「終身保険」を比べてみましょう。
下の図は、どちらも40歳男性、死亡保険金1000万円です。
定期保険の保険料は月額2886円。対して、終身保険の保険料は月額3万4510円です。月に3万円以上違います。
もちろん、終身保険は解約返戻金があり、必ず受け取ることができます。定期保険は60歳までの間に死亡しなければ、何も戻ってきません。
保険料だけで単純に比較するのは難しいのですが、終身保険でリスクに備えると、家計を圧迫することになります。
健康祝い金は「得」なのか
また、医療保険などでは、健康祝い金を受け取れるタイプの商品もあります。
「健康だとお金がもらえるなら得!」だと思った方は早計です。これは得ではありません。
このタイプは保険料が少々高め。
健康祝い金は、自分で積み立てたお金が戻ってくるというイメージで考えてください。
※本稿は、『1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
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