「電車から降りた途端、後ろから呼び止められた中学生の私。振り返ると、老人に手を握られて...」（埼玉県・30代男性）

シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜　投稿者：Fさん（埼玉県在住・30代男性）

電車やバスで「席を譲るのが恥ずかしい」と思ったことはないだろうか。

Jタウンネット読者のFさんも、子供の頃はそう感じていた。そんな彼が中学生の時、乗っていた電車に一人の老人が乗り込んできたという。

しかし、席はすべて埋まっていて座る場所がない。その様子を見て、Fさんは小学生時代の担任教師の言葉を思い出していた。

＜Fさんの体験談＞

中学生の時の話です。その日は池袋に向かう西武池袋線の電車に乗っていました。

途中で一人の老人が乗車してきたのですが、ちょうど席が埋まったばかりで、その人が座る場所はありません。

でも私は当時、席を譲るのが恥ずかしかったのです。

担任の先生が教えてくれたこと

ところで私は小学生の時、道徳の授業で「ご老人に席を譲る」というテーマで学んだことがあります。

そこで「恥ずかしいから席を譲るのは難しい」という意見が出たのですが、担任の先生はこんなことを教えてくれました。

「駅に着いたときに降りたふりしてすぐとなりの扉から乗り直すんだ。そうしたら恥ずかしくないだろう？」

それを実践する機会だと思い、先生がおっしゃっていた通り、次の駅で降りてすぐ隣の扉から乗り直すことに。

それからは、扉側のポールに背中を預けて池袋に着くまで立っていました。

池袋に到着し電車を降りたところで、後ろから呼び止められました。

振り返るとそこには、席を譲ったご老人が立っていました。

私の手を握って...

ご老人は顔をくしゃくしゃにしながら私の手を握り「ありがとうねぇ、ありがとうねぇ」と繰り返すのです。

私は、恥ずかしいやら悪戯がバレたような気まずさがあるやらで、参ってしまいました。

ですが、それ以来そういったちょっとした親切をするのにも、堂々と親切をすることにも、迷いはなくなりました。それはあの時の先生の教えがあるからだと思っています。

先生、ありがとうございました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて！

誰かに言いたかった「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

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