「女性の単身赴任」を嫌がる婚約者。私が希望するキャリアなのに!

2025年5月12日(月)6時0分 大手小町(読売新聞)

「女性の単身赴任について」と題する27歳の女性からの投稿が、ユーザー投稿サイト「発言小町」に寄せられました。社会人4年目で、学生時代から交際している男性と近々結婚予定というトピ主さん。会社では、以前から転居を伴う異動先を希望しており、先日、上司から「1年後に異動の可能性がある」と打診を受けたそうです。「ぜひ行きたい」と思ったトピ主さんが彼にそのことを伝えたところ、猛反対され、話し合いは平行線の状態に。「気持ちの整理がしたい」として読者にアドバイスを求めています。

写真はイメージです

トピ主さんは単身赴任の可能性について、以前から彼に伝えていたそうですね。しかし彼は、なかなか真面目に取り合ってくれず、「現実的になったら教えて」と言うばかりだったとのこと。「以前から伝えてきたことに向き合ってこなかったのは彼自身なのに『今更何事?』と正直思います」と納得いかない心境がつづられています。

この記述から推測するに、彼は内心では「いざとなったら、トピ主さんは転勤を断るだろう」、あるいは「転居を伴う異動を、会社が女性社員にさせることはないだろう(非現実的な話だ)」などと思っていたのかもしれません。異動の方針は、業種や会社によって異なります。あくまで可能性の話ですが、彼が勤める会社では、ライフステージの変化や体力差などを(かんが)み、女性社員は転勤をさせないのが常識なのかもしれません。

ともあれ、今回の異動はトピ主さん自身が希望したキャリア。念願だった異動の打診があり、トピ主さんとしてはむしろ、「彼にも一緒に喜んでほしい」くらいの気持ちだったのかなと想像します。

しかし、「トピ主さんが単身赴任する」という案に、彼は「嫌だ、自分勝手だ」という反応。「彼も異動先に一緒に引っ越す」という案も、彼は「絶対ない」と拒否したといいます。

トピ主さんとしては、彼が引っ越しを嫌がるのは理解できるし、トピ主さん自身が覚悟の上で希望したことなので、単身赴任が現実的な選択肢だろうと考えているようですね。確かに、女性が単身赴任をして、休日にお互いのところを行き来しあっている夫婦やカップルの例は実際にあり、彼が納得すれば不可能ではないと思います。

話し合いの出発点として、まずは彼がトピ主さんの単身赴任を嫌だと思う理由を、彼にヒアリングしてみましょう。以下のような理由のいずれか、あるいは複数の理由が挙がってくると予測します。

(1)「遠距離だと気持ちが離れそう」「心変わりが不安」などの感情的な理由(2)「いつも近くにいてほしい」などの物理的な理由(3)「世間的な体裁が気になる」「彼女の方が出世するのは嫌」などの社会的な理由(4)「早く結婚したい」「早く子どもが欲しい」などライフプラン上の理由

(1)のような理由の場合は、「毎日必ず連絡する」「居場所をちゃんと教える」といった約束を持ちかけてみると良いと思います。「寂しい」といった感情は素直になれないと口にしづらいので、柔らかい場の雰囲気を作るようにするといいでしょう。

続いて(2)の場合。彼が「恋人と物理的に離れることが耐えられない」というタイプである場合は、お金や時間をかけてでも定期的に会おうと約束し、「離れているからこそ、毎回新鮮な気持ちで会えるかも」と話をしてみるといいかもしれません。

そして(3)の場合。彼がパートナーである女性の社会的活躍に対して否定的な価値観を持っているとすれば、「仕事を頑張りたい」というトピ主さんとは根本的に相いれないということになります。長い目で見れば、お互いに価値観の合う別のパートナーを選んだほうが、結婚の満足度は高いかもしれません。本音を言いづらいテーマではあるので、トピ主さんの方から「私がバリバリ働くのは、あまり良いことじゃないと思ってる?」とはっきり聞いてみると良いと思います。

最後に(4)の場合。投稿内には「彼は2、3年で子どもが欲しいと言っている」という記述があります。単身赴任は「必ず何年で終わる」という確約がないことが多いので、結婚や子どもを持つ人生プランが先延ばしになりかねないことが、彼は気になっているのかもしれませんね。

これについて、トピ主さんは「キャリアを犠牲にして子どもを持て、と言われているように感じてしまいます」と訴えつつ、その後の投稿では、「仕事なのか彼との未来なのか、正直迷う自分もいる」と心境を明かしています。

性別役割分業の傾向が強かった時代には、「男性の生き方に女性が合わせる」という夫婦のスタイルがメジャーでした。最近は、「女性の生き方に男性が合わせる」という夫婦の例も少しずつですが増えてきている印象がありますが、投稿内の記述を見る限り、トピ主さんの彼はそういった生き方は望んでいないようです。

住む場所、生活スタイル、家計や子どもの教育方針など、カップルが共に人生を歩もうとするときには、足並みをそろえなければ前に進めない局面が時々あるもの。意見が食い違うときに一つの方向を向くためには、“持ちつ持たれつ”の意識が肝要だと思います。つまり、「これについてはあなたの意見を優先するから、これについては私の考えを尊重して」といった形でバランスを取るのですね。自分に合わせてくれたことを感謝する気持ちが双方にあれば、うまくいきやすいです。

これにならい、トピ主さんも交換条件を提示してみてはいかがでしょうか。たとえば、「どうしても単身赴任はさせてほしい。その代わり、結婚の時期はあなたの希望に合わせる」といったものです。それぞれが「絶対に譲れないこと」と「場合によっては譲っていいこと」を整理した上で、折り合いがつくポイントを話し合っていくと良いと思います。

結婚の時期は決められますが、子どもは授かりものなので、出産の時期については計画通りに進めるのはなかなか難しいでしょう。トピ主さんが「単身赴任中に遠距離結婚をする計画もあり」だと思っているならば、事前に会社に対して「もしも転勤した後に結婚して子どもができた場合、赴任先でも産休や育休を取れるのか。また、育休から復帰する際のポジションは相談できるのか」といったことを確認しておくといいかもしれません。

直接上司に言うとチャンスがなくなりそうで不安ならば、信頼できる先輩社員や人事部、あるいは守秘義務を守ってくれる社内の相談先などに聞いてみるのは一案です。今の状況で彼との結婚をどうするかを考えるための判断材料の一つになると思います。応援しています。(フリーライター 外山ゆひら)

大手小町(読売新聞)

「単身赴任」をもっと詳しく

「単身赴任」のニュース

「単身赴任」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ