8歳の少年、誕生日プレゼントの金属探知機で200年前の難破船を発見!

2025年5月19日(月)17時5分 カラパイア


Photo by:iStock


 例えビギナーズラックだとしてもこれは感極まるだろう。考古学者への道が開かれた瞬間かもしれない。


 カナダ・オンタリオ州の州立公園で、当時8歳だったルーカス・アチソンくんが、家族に誕生日のプレゼントとして贈られた金属探知機を使ったところ、砂浜で19世紀の難破船の一部を発見した。


 2023年に発見されたこの船は、のちに大変貴重なものと判明。2025年5月より正式な発掘作業が開始された。


初めての金属探知機でまさかの歴史的遺物を発見


 2023年、カナダ・オンタリオ州ゴドリッチ近郊にあるポイント・ファームズ州立公園で、当時8歳だったルーカス・アチソンくんは、金属探知機を使って砂浜を探索していた。この金属探知機は、彼の誕生日に贈られたものだ。


 探索中、金属反応に気づいたルーカスくんがそれを父親に報告。父親は最初、それが船を係留するためのスパイク(鉄杭)だろうと考えた。


 実際に地中から掘り出されたのは、鉄のスパイク1本だったが、さらに掘り進めると、それが大きな木製の部品の一部であることが判明した。部品には同様のスパイクが多数打ち込まれていた。



ルーカス君が金属探知機で発見した鉄のスパイク Youtube


200年前の木造帆船の可能性


 アチソンさん一家は、公園のスタッフおよびオンタリオ海洋遺産委員会にこの発見を報告した。その後の調査で、専門家はこれが「スクーナー」と呼ばれる2本以上のマストが張られた木造帆船の一部である可能性が高いと判断した。


 見つかった構造は「二重フレーム」と呼ばれるもので、当時、五大湖で貨物を運搬するために使用されていた丈夫な船の特徴である。


 ただし、船体の一部しか発見されていないため、現時点では船の正確な名前や由来は特定されていない。



ルーカスくんと発見した難破船の跡地 Youtube


2025年5月、発掘作業が開始される


 この難破船が発見されたのは2年前だが、正式な発掘許可を取得するまでに時間がかかった。掘削作業は2025年5月に入ってようやく始まり、現在は初期調査段階である。


 研究者たちは発見された構造物を詳細に記録しており、図面を作成しながら、構造上の特徴を分析している。


 また、19世紀当時の海上保険記録をもとに、使用されていたスパイクの数や構造を比較することで、船の特定につなげる作業が進められている。



2025年に発掘作業が開始される Youtube


有力候補は「セント・アンソニー号」


 現在、有力な候補とされているのは「セント・アンソニー(St. Anthony)」号である。


 このスクーナーは1856年に建造され、当時シカゴからバッファローへ小麦を輸送中にヒューロン湖で座礁したとされる。


 1856年当時の新聞には、「エリー出港のスクーナー『セント・アンソニー号』がゴドリッチ近郊で座礁した」との記述がある。引き揚げが試みられたようだが、少なくとも一部は湖底に沈んだままだった可能性がある。


 なお海洋史家のパトリック・フォークス氏は、今回見つかった構造がセント・アンソニー号だったとしても、それは船全体ではなく、ごく一部の可能性が高いと述べている。


 研究者たちは、発掘された船の部分を「嫌気性環境(酸素のない状態)」に再び埋設する予定だ。


 この処置によって、微生物やその他の生物による自然分解を防ぎ、今後の保存と研究を可能にし、更なる調査を進める予定だ。


カラパイア

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