地方の生活コストは本当に安いのか? - FPが地方に移り住んで感じたこと 第164回 地方移住を考えているなら、「交通費支援制度」を利用して、現地に行ってみよう!

2025年5月21日(水)11時0分 マイナビニュース


「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。
お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
地方からの人口流出により、労働力不足による事業の生産性低下や後継者不足につながり、地域全体の経済活動が低下する恐れがあります。経済状況だけでなく、人口減少が進むことによって、医療機関や介護施設の経営が厳しくなり、住民が必要な医療を受けられなくなるリスクもあります。また、道路や水道などのインフラは、一定の人口によって利用されることを前提に維持されています。人口減少により利用する住民が減ると、維持管理する費用が不足し、インフラの老朽化や住民が負担する維持費用の大幅な増額が懸念されます。
そこで、地方の各自治体は、自らの地域の魅力を発信し、移住者への支援を手厚くするなど、さまざまな方法で、人口を増加しようとしています。
その支援の1つとして、移住希望者に対する「交通費支援」があります。実際に現地に行き、就職先を探す、住居を探すなど、移住に向けた具体的な活動を行うことにより、都心部からの交通費を一定額まで援助してもらえる制度があります。その一部を紹介いたします。
○<対象者>
現に日本国内に居住している人であって、福井県内への移住を希望し、または検討している人とその家族
なお、対象者に関する注意事項は下記のとおり。
・移住等の経緯に関する問い合わせに回答することが可能であること。
・対象となる家族は、同居かつ同一世帯の人に限る。
・6歳未満の子は、対象外である。ただし、子が3人以上いる場合、3人目からは1歳以上6歳未満および小学校入学前の6歳児は、対象となる「こども」として取り扱う。
・1世帯当たり原則、利用は1回まで。
○<対象となる活動>
下記の【1】〜【3】のいずれかに該当する活動
【1】福井県での就職に向けての活動(県、市町が主催する就職活動イベントへの参加、企業等への見学、採用試験の受験など)
【2】移住後の住居探しのための活動(不動産業者を介しての物件下見、市町が運営する空き家バンクの物件下見など)ただし、入居物件等への引っ越し作業や入居物件に関する契約後の打ち合わせ、内見などは対象外となる。
【3】移住を前提とした福井県の情報収集のための活動(ハローワーク等の公的機関での面談による相談、県または市町が主催する移住のための相談会や移住体験ツアーへの参加など)
○<交通費支援額>
都道府県により、3,000円から15,000円まで支援額が異なる。
各都道府県からの1人当たりの交通費支援額(一部抜粋)
15,000円:東京都、神奈川県、千葉県、北海道など
14,000円:埼玉県、鳥取県
13,000円:群馬県、新潟県、香川県
12,000円:静岡県、岡山県
なお、同行者のうち、6歳以上12歳未満の「こども」は上記定額の半分とする。
【参考】福井県のホームページ
○<対象者>
鳥取県への移住や就職を考えている鳥取県外の在住者で、「鳥取砂丘コナン空港」、「米子鬼太郎空港」発着の国内便を利用する人
○<対象となる活動>
下記の【1】〜【4】のいずれかのために鳥取県に来る人
【1】鳥取県内の「お試し住宅」を利用するため
【2】鳥取県、鳥取県内市町村、公益財団法人ふるさと鳥取県定住機構またはこれらが取
り組みを支援する民間等の団体が実施する「移住体験ツアー」、「婚活イベント」などに参加するため
【3】移住のための「具体的な手続き」および「引っ越し」等を行うため
【4】就職のための面接や試験、説明会などへの参加のため
○<交通費支援>
・航空運賃の2分の1(ただし、1人当たり3万円まで)
○<利用制限>
・1人当たり年2回(往復)。ただし、片道のみの利用も可能である。
【参考】鳥取県のホームページ
○■終わりに
2つの自治体の移住に関する「交通費補助制度」をお伝えしました。今回は支援の概要を一部お伝えしましたが、各自治体によって、支援する条件等の詳細が異なります。例えば、福井県の支援に関して、「【2】移住後の住居探しのための活動」として、入居物件への引っ越し作業は、対象外となります。一方、鳥取県では、支援の対象となります。(<対象となる活動>【3】参照)また、支援を受けるには、事前の申請や活動報告が必要です。
まずは、県担当部署に問い合わせをして、申請スケジュールや注意事項を確認しましょう。漠然と地方に移住したいと思っているだけでは、不安ばかりが大きくなってしまいます。まずは、現地に足を運んで、その地域の方々と触れ合ってみましょう。自分と合う地域が見つかるかもしれません。
高鷲佐織 たかわしさおり ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。 資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。資格の学校TAC講師(プロフィール一覧)。一般社団法人理想の住まいと資金計画支援機構(相談員)。 この著者の記事一覧はこちら

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