“名刺交換から始まる戦い”は続く! 5年目を迎えた社会人eスポーツ大会「AFTER 6 LEAGUE」の裏側
2025年5月22日(木)18時7分 マイナビニュース
企業間交流の機会創出を目指し、2020年7月に設立された社会人eスポーツリーグ「AFTER 6 LEAGUE」。TOPPAN株式会社を代表とする「AFTER 6 LEAGUE」実行委員会が運営を行い、現在は5年目を迎えています。
今回は、TOPPANのeスポーツプロジェクトでエグゼクティブプロデューサーとして「AFTER 6 LEAGUE」の運営に携わる、原田香織さんにインタビュー。TOPPANを含む実行委員会の各社が強みを活かし、徹底的に内製でつくりあげる大会制作の裏側や、社会人リーグならではの大会の工夫、そして大会に参加する“eスポーツに本気”な企業や自治体のエピソードなど、さまざまなお話をうかがいました。
多数の“eスポーツフレンドリー企業”が集う社会人リーグ
——最初に、「AFTER 6 LEAGUE」の概要を教えてください。
原田香織さん(以下、原田):「AFTER 6 LEAGUE」は、eスポーツをきっかけに企業間交流の機会をつくる、ビジネスマッチングの意図をもって立ち上げたリーグです。社内での肩書きや年次、性別などに関係なくチームを組み、ゲームで一緒に遊んだり練習したりすることで、業務外のコミュニケーションが生まれ、社内の風通しが良くなります。
そして、出場にあたっては皆さんに会社の確認を取っていただき、会社のロゴも出させてもらっています。所属する企業や自治体が出場を公認する大会にすることで、個人間の点と点だけでなく、企業同士が面で交流できることをコンセプトとしています。
——若手と上司が一緒にチームを組むなど、いい交流が生まれそうですね。
原田:そうなんです。なかには社長もいます。新入社員と上司がチームを組むと、たいてい新入社員のほうが上手いので、上司の方が「僕はキャリーされてるんです」とおっしゃることも多いです(笑)。
出場企業さんから、「AFTER 6 LEAGUE」のキービジュアルやロゴの使用許諾の申請をいただく数も年々増えています。さまざまな企業さんが、社内広報誌や会社のホームページ、ニュースリリースなどで、eスポーツ部の設立や「AFTER 6 LEAGUE」への出場、大会実績をアピールされています。
——そういったアピールは、企業目線でどういったメリットがあるのでしょうか?
原田:2020年にシーズン1を開催したころは、まだeスポーツへの理解がない企業も多くありました。そのため、「会社の名前を出して変なことをしないでくれ」と言われてしまい、出場できなかった企業さんも結構いたんですよ。
でも、今はゲームやeスポーツで活動している会社であることが、若い世代への効果的なアピールになります。近年の就活は売り手市場ですから、良い人材を取りたい会社さんが、若い層に向けて自社をアピールするために活用されています。
——当初のエピソードは、なかなかリアルな会社の反応ですね……。
原田:我々の会社も最初はそうだったので、気持ちがすごくわかります。我々も最初は部活として活動を始めたのですが、まだ2019年の初めごろだったので、配信に社名が出ると広報に伝えたときには、ものすごく心配されました。今では、全社の運動会にeスポーツを取り入れるくらいゲーマーに優しい企業になりましたが、最初はそんな感じでしたね。
——それが今では、いろいろな企業がeスポーツをアピールに使うようになったということなんですね。
原田:そうなんですよ。最近、そういうゲーマーに優しい会社のことを、“eスポーツフレンドリー企業”と呼んでいます。ゲーマーに優しい会社が集っているのが、まさに「AFTER 6 LEAGUE」で、毎年100社以上のチームが出てくださっています。
大会制作のあらゆる部分を内製し、コストを抑えて継続
——「AFTER 6 LEAGUE」が始まったきっかけについて教えてください。
原田:もともとは凸版印刷株式会社(当時の社名)、株式会社電通、株式会社サイバー・コミュニケーションズ(当時の社名)という、eスポーツに参入したての3社で、2019年に「eSPORTS TRINITY」という異業種交流会を立ち上げたのが始まりでした。前半はビジネスセミナーをして、終業時間の6時になったらみんなでeスポーツ大会をする。その後半の時間を、「AFTER 6 LEAGUE」と呼んでいました。
その形式で2回ほど開催していたのですが、コロナ禍に入ってしまい、人を集めることができなくなってしまいました。でも、ゲームはオンラインでもできます。なので、「AFTER 6 LEAGUE」をスピンオフする形で、2020年7月に設立を発表。8から9月にプレ大会を行い、10月にシーズン1をスタートさせました。
——これまでいろいろな企業がeスポーツに参入するものの、施策が続かないケースも見てきました。この大会が着実に5年目を迎えた理由は、どんなところにあるのでしょうか?
原田:いくつか要素がありますが、まず我々はこのリーグ単体で大儲けしようとか、そういうことは考えていないんですね。スポンサー様からの協賛をいただいているものの、出場無料の大会ですから、非常に限られた費用内で運営しています。費用的にはトントンだとしても、人の稼働を考えたら赤字かもしれません。
ただ、我々はBtoBの企業なので、ここで得た人脈やノウハウがさまざまな形で事業に還元されています。ですので、プロモーション的な意味合いも大きいんですね。
また、「AFTER 6 LEAGUE」は実行委員会で運営していて、我々のほかに株式会社ディスクシティエンタテインメントさん、eS-Leagueさん、京王電鉄株式会社さんが参加しています。各社eスポーツ事業における立場や戦略があり、それぞれの意図を持って携わっています。
もう1つは、実務的な話になりますが、制作を外注せず、すべて自分たちで内製していることが大きいです。ディスクシティエンタテインメントさんがスタジオや機材を持っていますし、弊社は印刷会社なのでデザインができるメンバーが多く、配信やSNSで使う制作物も自分たちで作っています。
さらにシーズン4からは、フォントブランドを展開するダイナコムウェア株式会社さんに協賛に入っていただいています。なので、配信や画像でかっこいいフォントが使いたいなと思ったら、「DynaFont」の有料フォントを使わせていただいています。
——たしかに外注していたら、大会を開催するたびに毎回かなりの費用がかさみますよね。そこまで内製していると聞くと、この大会が安定して続いていることにも納得です。
原田:そうなんです。スタジオも、1回借りるだけで何十万とかかります。なので、できる限り自分たちの持つリソースを使って、自分たちでやっていく。機材も大部分はスタジオにあるものを使っていますし、進行台本も私や実行委員会メンバーが分担して書いています。
ほかにも、例えばシーズン5から京王電鉄さんが実行委員会に参加しているので、シーズン5の開幕戦に合わせて京王線と井の頭線に中吊り広告を掲示しました。京王電鉄さんは交通広告媒体を持っていますし、弊社はポスターのデザインも印刷も超得意分野です。なので、我々がポスターを作って、京王電鉄さんに中吊り広告を出してもらう。そうやって、みんな自分たちの持っているものを使ってやっています。
——「AFTER 6 LEAGUE」といえば、シーズン1から続く“ゲーミング名刺交換”のキービジュアルが印象的ですが、これに登場する2人もTOPPANの社員さんだとお聞きしました。
原田:はい、2人ともeスポーツプロジェクトのメンバーです。弊社は撮影スタジオも持っているので、そこで写真を撮りました。デザインもロゴも、メンバーが作ったものです。
——聞けば聞くほど、あらゆるところでTOPPANさんの強みを活かして運営されていますね。
原田:弊社のeスポーツプロジェクトには、いろいろな部署からゲーマーたちが集まっています。TOPPANは大規模イベントの仕事もたくさんやっているので、そういったイベント系のノウハウから、制作系、配信系のノウハウまで取り入れています。
ほかにも、例えばシステムにくわしいIT部門のメンバーが大会のテクニカル責任者をしたり、メーカーさんの担当営業が大会協賛について相談してみたりと、みんなそれぞれ所属する部署の特性を活かしながら関わっています。
徹底して実行委員会メンバーでつくりあげる大会配信の裏側
——今回、実際に大会配信中のスタジオを見学させていただきました。配信の際、全部で何人くらいのメンバーが稼働しているのでしょうか?
原田:ファイナルの週は少し人数を減らしていたので、14人くらいですね。人数はタイトルによっても変わります。
——スイッチャーやオブザーバー(ゲーム内カメラマン)の方も含めてですか?
原田:はい。そういった役割も、ディスクシティエンタテインメントさんやTOPPANのメンバーがやっています。
——試合中のやり取りを見ていて、てっきり公式大会などでオブザーバーをしている人たちを呼んでいるのだと思いました……。
原田:シーズンを追うごとにこなれてきて、みんな育ちました。逆に、今では公式大会などで裏方をするようになった人もいますね。カメラもディレクターも、みんな実行委員会のメンバーです。ディレクターが体調を崩して欠席したときは、私がフロアディレクターとしてカンペを出していたこともあります(笑)。
——そこまで内製しているとは驚きです。スタジオには、見学に来ていた学生たちもいました。そういった試みも普段からされているのでしょうか?
原田:高校や大学、特に通信制高校のeスポーツコースには、大会制作などの裏方に携わりたい生徒たちがいるので、そういった学生向けによく見学ツアーをしています。ディスクシティエンタテインメントさんには、専門学校のeスポーツイベント制作コースなどで講師をしているメンバーもいるので、教え子たちが見学に来ることもあります。
クライアントワークだと、こうした試みはなかなか難しいですが、「AFTER 6 LEAGUE」は我々が主催している大会なので、コントロールが効きやすいんです。日本のeスポーツ市場を拡大していくにあたって、制作に携わる人はまだ足りていません。やる気のある若者たちに興味を持ってもらい、少しでも人材育成に寄与したいという思いから、そうした取り組みも行っています。
社会人リーグならではの大会形式、実力差に配慮した工夫も
——「AFTER 6 LEAGUE」は、毎シーズン4〜5部門で開催されています。どのように採用タイトルを決められているのでしょうか?
原田:我々としては、やはりコミュニケーションを重視しているので、2人以上のチームプレイタイトルを採用しています。『eFootball』シリーズは、1人でもプレイできますが、2人1組のチーム戦にしました。今後、個人プレイのタイトルを採用するとしても、「星取戦」などチームでの対戦にしたいと考えています。
毎年の採用タイトルに関しては、募集に対してどれくらいのチーム数が集まるかをチェックしたり、終了後のアンケートで次回の出場意向や希望タイトルを聞いたりして、少しずつ調整しています。
——『PUBG MOBILE』と『Apex Legends』は、シーズン1から今まで変わらず採用され続けています。バトルロイヤル系のゲームとは相性がいいのでしょうか?
原田:バトルロイヤルは、1試合の時間が決まっていることが大きいです。平日夜に開催するため、1試合にかかる時間が長かったり、終わる時間が読めないゲームはなかなか運営が難しいんですね。では週末の開催にするかというと、社会人の場合は週末それぞれの事情があり、平日夜の開催を希望する声が多いんです。
また、出場したい企業さんも多く、がんばって枠を増やしても、どうしても平日夜だと時間的にできる試合数が限られます。枠を超えた場合は抽選になるので、バトルロイヤルだと、より多くの企業さんが出られるというメリットもあります。
——リーグ期間中は、どれくらいの頻度で試合を行っていますか?
原田:シーズンによっていろいろ日数を変えてきたのですが、今シーズンは隔週で計3日の試合を行う形に統一しました。隔週にしているのは、毎週同じ曜日に定時退社するのが大変だといった声があったからですね。また、隔週にすることで、タイトルによっては間にスクリム(練習試合)を挟んでいます。
——社会人リーグでは初心者から上級者まで、さまざまな人が参加すると思います。プロシーンではないeスポーツ大会では実力差の大きさが課題になりがちですが、そうした部分への工夫はありますか?
原田:実際に5年も続けていると、『Apex Legends』と『PUBG MOBILE』の2タイトルでは特に、定期的なスクリムと試合によって、長く出場されている企業さんの実力がかなり底上げされています。
なかでも、例えば富士通株式会社さんはグループ全体で700人くらいのeスポーツ部員がいて、『Apex Legends』部門だけで100人くらいいるんですよ。「AFTER 6 LEAGUE」にはその100人の中の実力トップの3人が出てきます。だからチーム3人全員がマスター以上、プレデター(ゲーム内最高ランク)経験者もメンバーにいらっしゃいます。
そういった企業さんがいる一方、「eスポーツ部を立ち上げたので、今回初参加です!」という企業さんもいます。そうすると、ランドマークによっては、本当にあっという間に倒されてしまいます。ですので、シーズン5の『Apex Legends』部門では、大会形式を工夫しました。
前回のシーズン4は、全60社を3グループに分け、各グループの上位チームがファイナルに進出する形式でした。今シーズンの出場は、全69社。最初に60社を3グループに分けて「トーナメント#1」を戦い、各グループの上位3社がファイナルへ勝ち抜けます。そして、「トーナメント#2」からは9チームが追加され、ここで各グループの上位3社に入ったチームもファイナルに進出。勝ち抜けた計18社で最終週のファイナルを戦います。
つまり、「#2」では強い上位チームが抜けた状態での試合になるんですね。ただ、これによって「#2」から入る9チームは試合が少なくなってしまうので、それをフォローする意味でも、間に「#2」出場チーム向けのスクリムを行っています。
——なるほど、強すぎるチームがいても先に勝ち抜けるようになったんですね。ちなみに、「#2」から参加する9チームはどのように決まるのでしょうか?
原田:『Apex Legends』部門の場合、前シーズンのファイナルに出場した企業さんには、優先出場権を付与しています。なので、出場チーム数を上回る応募をいただいた場合、まずは優先出場権を持っているチームの出場が決まり、残りのチームは抽選になります。
「#2」からの出場チームは、その抽選での補欠当選のような枠にあたります。当選をお知らせするメールで確認するのですが、どの企業さんからも「#2からでも出たい」という回答をいただきました。
実は思った以上にいる、eスポーツに本気の企業や自治体
——先ほど富士通さんの例がありましたが、そのほかにも強いチームや特徴的なチームはありますか?
原田:シーズン5の『Apex Legends』部門でおもしろかった例を挙げると、NTT西日本株式会社さんとNTT東日本(東日本電信電話株式会社)さんが同じグループになって東西対決になる場面がありましたね。ほかにも、「東京消防庁と荒川区役所が撃ち合ってる!」とか、「福岡市役所が群馬県庁を攻めた!」みたいな、普段は絶対に言わない言葉が飛び交いました(笑)。
『Apex Legends』部門だとシーズン4は富士通株式会社さん、シーズン5は楽天グループ株式会社さんが優勝されました。どちらも長く出場いただいている企業さんです。あとは、一般財団法人関東電気保安協会さん、ビーウィズ株式会社さん、株式会社グランツアセットさん、福岡市役所さん、荒川区役所さん、群馬県庁さんあたりがファイナル常連企業です。なかでも群馬県庁さんは、最初にシーズン2に出場されたときに比べて、メキメキ強くなっていますね。
——ほかにも、社会人リーグならではのエピソードがあればぜひ聞きたいです。
原田:別部門では、「AFTER 6 LEAGUE」内転職がありました。シーズン3に出場していた人が、次のシーズンに別の会社で出場していて、話を聞いてみたら「この大会で知り合って転職したんです」と。ほかの企業さんでも、面接のときに「AFTER 6 LEAGUEで御社を知りました」と言われた話があったりと、eスポーツフレンドリー企業が活きているなと思うエピソードを耳にします。
「AFTER 6 LEAGUE」では各部門ごとに、出場企業が参加するDiscordサーバーがあります。そこでスクリムをしたり、ランクを一緒にまわす人を探したりして、みんなどんどん仲良くなっていくんです。そこから仕事の話につながり、一緒に仕事をするようになった例もあります。
この大会を通じて、お互いの結婚式に呼び合うくらいの親友ができたという人もいました。大人になると、なかなか友達が増えにくくなるものですが、この大会では全国に友達が増えます。例えば、地方の会社さんが東京出張に来たときには、出場企業の皆さんで集まってごはんを食べたりとか。オフラインでは初対面でも、オンラインでは話しているのですっかり仲良しです。
そうやって皆さん友達になったり、ときには仕事の相談をしたりしています。それは我々も同じで、たくさんの企業さんと仲良くつながれることは、それ自体が大きなメリットです。「その会社の人知ってるよ、その人経由で聞いてみよう」といえる企業さんが、これだけあるということですから。
——大会の存在がとても大きなきっかけを生んでいますね。社会人リーグだと、スポンサー企業にも特徴が表れそうです。
原田:シーズン5のスポンサーは6社で、その半分がBtoB企業です。会計システム「勘定奉行クラウド」の株式会社オービックビジネスコンサルタントさんや、総合人材サービスの日研トータルソーシング株式会社さんがそうです。「DynaFont」のダイナコムウェア株式会社さんは、BtoBとBtoCの両方ですね。
スポンサー枠があるので、日研トータルソーシングさんは出場もされているのですが、日本で2番目くらいにeスポーツ部の規模が大きいと思います。部員が700人くらいいらっしゃるんですよ。オービックビジネスコンサルタントさんもリーグに出場いただいてますし、2025年3月には「勘定奉行クラウドCUP Powered by AFTER 6 LEAGUE」という企業交流eスポーツ大会を主催されました。こちらの大会はTOPPANとAFTER 6 LEAGUE実行委員会が制作運営を担当しております。
——想像以上に規模の大きなeスポーツ部が、いろいろな企業内にあるんですね。
原田:福岡市役所さんは、最初は「AFTER 6 LEAGUE」に出るために有志でサークルを立ち上げ、出場実績などから部活に昇格して、今では300人くらいの規模になっています。政令指定都市とはいえ、eスポーツ部に入るほど熱いメンバーが市役所に300人もいると思うと、福岡はゲーマー都市ですよね。
名刺交換で始まるオフライン大会、より活発な交流に期待
——ここまでのお話でも、TOPPANさんが社会人リーグを運営するメリットについて触れられていましたが、ほかにも狙いなどがあれば教えてください。
原田:さまざまな事業に活かしていくうえで、「AFTER 6 LEAGUE」という自分たちのブランドを持っていることは強みだと思っています。実際に、我々以外の企業や団体が主催する大会に「Powered by AFTER 6 LEAGUE」としてライセンスアウトし、制作に入らせていただいている事例も複数あります。
また、これだけたくさんのeスポーツフレンドリー企業とのつながりがあるので、そこをうまく活用していきたいと思っています。最近では、採用や広報、社内交流などにeスポーツを活用したい企業さんに向けて、GLOE株式会社さんと一緒に「企業交流会eee!!」というイベントも開催しています。
eスポーツは、例えば教育などもそうですが、いろいろなものとかけ合わせることで、差別化できたり付加価値が生まれたりします。今やっている我々のBtoBのビジネスに、eスポーツをアドオンしていくというのが、TOPPANとして考えている戦略です。
——それでは最後に、「AFTER 6 LEAGUE」の今後の展開として考えていることを教えてください。
原田:「AFTER 6 LEAGUE」では、平日夜にオンラインで行うリーグタイトルのほかに、オフラインやオンオフ併用で行う1DAY大会も開催しています。1DAY大会は、コロナが落ち着いたシーズン3の終わりごろから取り入れているのですが、今後よりいろいろなタイトルを試していきたいですね。
大きな会場で複数タイトルの大会を開催する、フェスのようなイベントもしてみたいと思っています。もちろんさまざまなハードルもありますが、5年という節目で、よりおもしろい方向にアップデートしていきたいなと。ただ、方向性としては本格的な競技というより、そこで生まれる交流や楽しさを大切にしていきたいと思っています。
あとは、外部のコミュニティとの連携ですね。例えば、昨年は『Pokémon UNITE』の大手コミュニティ大会「じろカップ」さんに協力する形で、「ピカ ピカ ピカチュウチャレンジフェス」というオフライン大会を開催しました。そのご縁から、「AFTER 6 LEAGUE」の『Pokémon UNITE』部門の運営について「じろカップ」さんに相談に乗ってもらっています。
やはりeスポーツというのは、コミュニティの方々が盛り上げて大きくしていっているもので、コミュニティとは切っても切れない関係にあります。ですから、こういったコミュニティとの連携は、今後も取り組んでいきたいと思っています。
——オフライン大会が増えると、交流がさらに活発になりそうですね。
原田:そうなんですよ。それから、我々のオフライン大会ならではのセレモニーがあって、必ず試合の前に名刺交換をするんです。これはオンラインではできないので、オフラインならではの見どころの1つになるかなと思います。我々の「AFTER 6 LEAGUE」は、やはり名刺交換から始まる戦いなので。
——今後この光景がたくさん見られることを楽しみにしています。本日はありがとうございました!