「フワフワめまい」に悩んだら<自律神経>に目を向けて。専門医提案!大きな成果を上げた<セルフケア>紹介

2024年5月23日(木)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人あたり20.3人が「めまい」の症状を訴えているそう。ストレス社会の現代では、「体がフワフワするめまい」に悩まされる人が増加しています。川越耳科学クリニック院長・坂田英明先生と、めまい相談医・神崎晶先生は、「フワフワするめまい」に悩む患者さんを数多く治療してきました。今回は、お二人が「めまい」を撃退する方法をまとめた著書『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より、一部お届けします。

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「体温」「食事」「睡眠」が重要


フワフワめまいのセルフケアについてお話ししましょう。

フワフワめまいの主要な原因は、自律神経の乱れです。

これが内耳の障害などであったなら、耳鼻咽喉科で適切な治療を受ければよくなるでしょう。

しかし、自律神経の乱れの場合、生活の改善を行うことによって、直接、自律神経に働きかけ、その乱れを整えます。

実際、私たちのクリニックでは、フワフワめまいの患者さんに自律神経を整えるセルフケアを提案し、大きな成果を上げてきました。

では、その方法をご紹介しましょう。

自律神経の乱れを引き起こす最大の原因は、ストレスです。

もちろん、原因となるストレスをスッキリ解消できるなら、なんの問題もありません。しかし、ストレス社会に生きる私たちにとって、日々のストレスは簡単に解消できるものではないでしょう。

解消したいと思っても、どうすることもできない。また、知らず知らずのうちにたまってしまうのがストレスです。

私のクリニックでは、フワフワめまいの患者さんたちにさまざまなストレス解消法を試していただきながら、あわせて乱れた自律神経を整える方法を提案しています。

ポイントとなるのが、「体温」「食事」「睡眠」の3つの要素です。

体温の「日内変動」が大切


まず、体温について。

私たちの体温は、1日を通してずっと一定なわけではありません。1日のうちで、高くなったり低くなったりと変動しています。これを体温の「日内変動」といいます。


『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』(著:坂田英明・神崎晶/徳間書店)

一般的には、体温は朝方から次第に上昇し、午後2時頃に最も高くなり、夜から明け方にかけて下がります。最も高い体温と低い体温を比較すると、約1℃くらいの違いがあります。

この日内変動は、かなりの個人差があり、変動幅が少ない人もいれば、変動幅の大きい人もいます。

これらの体温をコントロールしているのが、自律神経です。

この体温の日内変動を見ていくと、自律神経の状態がどのようになっているのか、それを推測することができます。

当院では、初診の患者さんに対して、「体温記録表」を渡して、毎日の体温の変化を記録してもらっています。

1日のうち、朝食前、昼食後の午後2時もしくは帰宅後、就寝前の3回です。

記録を取ることで、ご自分の体温の日内変動を知ることができます。

当院の中村由美(なかむらゆみ)言語聴覚士がまとめたところによると、体温の日内変動のタイプには、「平坦型」「変動型」「夜間上昇型」の3つがあることがわかっています(下図参照)。

フワフワめまいの患者さんの体温を調べてみると、総じて体温が低い傾向にあります。

ちなみに、基礎代謝(安静にしているときに消費するエネルギーの量)が低い高齢者や、冷え症、低血圧の人も体温が低めです。

体温が1℃下がると、免疫力(体内に病原体が侵入しても発病を抑える力)が30%下がるともいわれています。

自律神経のバランスが乱れ、機能が落ちている結果として、体温の低下(それに伴う免疫力の低下)が起こっている可能性があります。

低体温であることがわかった場合、体温を上げる必要があります。

とはいえ、単純に体温を上げればよいということではありません。

1日のなかで理想的な曲線を描くように、体温を上げる必要があるのです。

体温で自律神経のバランスがわかる


「体内時計」という言葉を、どこかで耳にしたことがある人も多いことでしょう。

人には、体温やホルモンの分泌などのさまざまの体の働きを保つ機能として、24時間周期のリズム(概日(がいじつ)リズム=サーカディアンリズム)を刻む体内時計が備わっています。

体内時計の働きにより、意識していなくとも日中は活動的になり、夜になれば眠くなります。この体内時計のリズムに従って、私たちの体温は起床直後から上昇し、昼食後の午後2時頃にピークに達し、そこから徐々に低下して、睡眠時に最も低くなるように設定されています。

理想は、下にあるグラフの体温変化です。


<『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より>

実は、フワフワめまいの人の体温の日内変動を見ると、このような標準的な変動になっていないことが多いのです。

1日じゅう体温が低いままであったり、夜になって体温が上昇してしまったり、というような体温変動の変調がしばしば見られます。

例えば、めまいに悩む80歳の女性の体温の日内変動を見ると、夜になって体温が上昇していました。

また、やはりめまいに悩む47歳の女性は、昼に体温が下がっていました。

こうした体温の日内変動に変調が起こっているということは、すなわち体温をコントロールしている自律神経のバランスの乱れの現れと考えられます。

図の下にある体温変化のグラフは、めまいと耳鳴りに悩んでいた38歳の女性のものです。

それまでの食事では、体温の日内変動は、ある程度は山なりではあるものの、平坦な変化に留まっていました。

しかし、私の指導によって食事を変えると、体温は朝は低く、昼は以前よりも高くなり、夜は再び低くなるようになりました。1日の体温の変化に、明らかにメリハリがつくようになったのです。

こうした体温変化によって、自律神経の乱れが整い、めまいなどの症状も改善に向かいました。

体温変化の変調を改善するためには?


フワフワめまいの患者さんに体温を記録してもらうのは、こうした体温変化の変調がないかどうかを確認するためです。

体温変化の変調がある人は、自律神経が乱れているということ。体温変化の変調を改善する(=自律神経のバランスの乱れを整える)必要があります。

体温変化の変調を改善するためには、どうしたらいいのでしょうか。

体内時計は、脳の視床下部(ししょうかぶ)の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」と呼ばれる部分に、主(親)時計があります。

通常、体内時計は、朝、日の光を浴びることによってリセットされています。

ですから、自律神経が乱れがちの人は、できる限り規則正しく生活すること。

朝、起きたら、日の光を浴びることが勧められます。

それが体内時計をリセットし、自律神経を整えるのに役立つからです。

※本稿は、『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

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