夫婦関係にも休日があっていい。家事の分担から外れ、食事も自分ですませる。定年後の「夫婦週休2日制」自由な日があるだけで…
2025年5月25日(日)13時15分 婦人公論.jp
(写真はイメージ。写真:stock.adobe.com)
人生100年時代、現役世代を駆け抜けた後はどのように過ごせばいいのでしょうか。精神科医の保坂隆先生いわく、人生後期は無理をせず「ほどほど」をキーワードに過ごすことが大切とのこと。『精神科医が教える 人生を楽しむ ほどほど老後術』より、日常生活を元気で楽しく暮らすための知識をご紹介します。
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定年を迎えた夫婦
夫婦そろって公務員というカップルで、それぞれ定年まで勤め上げ、現在は文字どおり悠々自適の日々を送っている先輩がいます。
ご子息は大学院生の頃から南米のボリビアに行ったきり。じつは、旅先で現地の女性と出会って結婚。
現在、相手の女性の家族と一緒に、日本人相手のペンションを営んでいるそうで、当分、日本に帰ってくる予定はないとか。
2人ともそれぞれ自分の年金があり、経済的に余裕のある暮らしをしていますが、じつは、あくせくしていないのは経済的な理由だけではなく、2人が採用している「夫婦週休2日制」というユニークな取り決めにあるようです。
「夫婦週休2日制」
夫が2歳年長なので、妻が定年を迎えるまでの2年間は、夫が家にいる暮らしを経験しました。
そのときに夫は、たとえば、ゴミ出し一つにしても細かく分別しなければならないことを初めて知ったそうです。
共働きの期間中、家事のほとんどを妻がこなしていたことに改めて感謝の思いが湧いてきました。
そこで、妻も定年を迎え、2人とも家にいる時間が長くなってからは、「家事はできるだけ分担する」と、夫のほうから申し出たのです。
ここまでは、そんなに珍しい話ではないかもしれません。このカップルが見事なのは、それに加えて、「夫婦週休2日制」も採り入れた点です。
これまで何十年もの間、日中はそれぞれ自分の世界を持って生きてきた2人が、定年後に一年365日、朝から晩まで顔を突きあわせるのは、けっこう大変なこと。
そこで、毎週木曜日と土日のどちらか1日、つまり週に2日は、終日自由に行動していい日と決めたそうです。
夫婦の休日には思いがけない効用も
この日はお互いに家事の分担からも外れ、もちろん昼食も夜の食事も、それぞれ自分ですませるのがルール。ゴミ出しはするそうですが、掃除も洗濯も翌日回し。
2人の暮らしなのですから、それで十分なのでしょう。もちろん、その日、先に出かけたほうから電話があって、
「○○にいる。いい店を見つけたから出てこないか」というような誘いもあるとか。
「外で待ちあわせすると、デートみたいでいいものよ」と奥さん。夫婦の休日には思いがけない効用もあるようです。
週休2日制にするかどうかはともかくとして、ときどき夫婦関係にも休日を設けるのは、意外なアイデアといえるかもしれませんね。
そういえば、フランスの小説家アントワーヌ・プレヴォは、「夫婦を結びつける絆が長く続くためには、その絆が弾性ゴムでできていなければならない」という言葉を残しています。