スマホをかざすと、読めるんです! 鳥取の美術館が作った「QRコード砂像」のクオリティがヤバすぎる
2023年5月29日(月)17時0分 Jタウンネット
「これは語彙力失う
『やばい』しか出てこない」
鳥取砂丘のすぐ近くにある「砂の美術館」(鳥取市)を訪れたツイッターユーザーがそんな感想を呟いた。
同館は「砂で世界旅行」をコンセプトに、世界各地の名所等を砂像で再現し、展示している。2024年1月3日までは「エジプト編」を開催中で、アブ・シンベル神殿やスフィンクス、ピラミッドなどが彫刻家の手によってかなりリアルに形作られているが......投稿者「Mei 街角の照明」(@m_light_00)さんが感心したのは、エジプトとは関係のない展示物。我々の生活に極めて馴染み深いものの砂像だった。
なんと、QRコードの砂像である。
しかもこれ、QRコードリーダーをかざすと実際に読み込んで、「砂の美術館」の公式ホームページへと飛べるようになっているというのだ。
確かにこれは、クオリティの高さに語彙力を失ってしまう。
「多くの人に砂の博物館を知ってほしい」
12日、Jタウンネット記者の取材に応じた投稿者の・Meiさんによると、砂の美術館を訪れたのは5日だった。驚くほど緻密な砂像が並んでいて、素晴らしい体験ができたと語る。
「圧倒的な砂像を見た後に、砂で作られたQRコードを発見し、思わず笑ってしまい、撮らずにはいられませんでした。
QRコードから砂の美術館のHPに進めた時は、スタッフの方々の技術力と遊び心に感動しました」
一体なぜ、QRコードを砂像にしたのか。そもそもどうやって砂像にしたのか。
記者は22日、砂の美術館を取材。制作を担当したスタッフに話を聞くことが出来た。
担当スタッフによれば、この「QRコード砂像」は企画展示の入れ替わりのため休館していた2022年2月下旬から3月にかけて制作したもの。多くの人に「砂の美術館」を知ってほしいとの思いで、制作することとなったのだという。
「ほかの仕事も並行して行いながらの制作であったため、期間としてはそのぐらいですが、実際は5日程度でひとまず完成させました」(制作担当スタッフ)
しかし、最初の完成時はQRコードを読み取ることが出来なかった。
読み取れなかった原因は...
QR砂像の作り方は、次の通りだ。
砂と水を混ぜて押し固めた「砂の土台」を作る。その砂の土台を削り出してQRコードを彫刻していく。その際、紙に印刷して黒い部分をくり抜いたQRコードを土台に当てているという。
制作担当者は最初の砂像が読み取れなかった原因を「彫りの浅さ」だと推測する。
「自分ではかなり深く彫ったつもりだったんですが、まだ彫りが浅く、QRコードの黒い部分が読み取れなかったのだと思います。そこで、そこからまた3日ほどかけて深く彫り、影をつけ、今度こそ完成させました」(制作担当スタッフ)
QR砂像を正常に読みとることができるかどうかは、陰の濃さ、彫りの深さ、場合によっては置かれている場所の光の加減も影響があるのだとか。
「彫りが浅すぎると陰として認識されず、かといって深く彫りすぎると崩れてしまうのでそこに苦労しました。崩れてしまったところは水を含ませると再度くっつけることができるので、そうして微調整をしながら完成させました」(担当スタッフ)
なお、一度押し固めてしまえば屋内で展示する分には、手で触れたりしない限り、あまり劣化等をすることはない。年に1、2回ほどメンテナンスを行っているという。
そもそもこの砂像を美術館のスタッフが制作していたということが衝撃だが、担当スタッフは駐車場にある「ウェルカム砂像」や館内にある「ミニ砂像」の制作も手掛けている。また、現在開催中の展示「砂で世界旅行・エジプト編」の一部として屋外に展示されている動物の砂像も、スタッフらが制作したものとのこと。砂の美術館で働く人たちにとって、砂像を作ることは当然持っている技術なのかもしれない。
QRコード砂像は現在、館内(取材時点では同館3階)に展示されている。今後の館外での展示も検討中とのことだ。