チームをバラバラにするリーダーが見過ごしている、「褒めそやし」の3大弊害

2025年5月29日(木)7時0分 マイナビニュース


この記事では、2万人以上のリーダーと向き合ってきたエグゼクティブコーチが、現場で使える超実践的なメソッドを紹介する『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(林健太郎/明日香出版社)から一部を抜粋してご紹介。今回のテーマは「チームがまとまるリーダーは『承認』で成長を促し、バラバラのリーダーは『褒めそやし』で病ませる。」
○チームがまとまるリーダーは「承認」で成長を促し、バラバラのリーダーは「褒めそやし」で病ませる。
10年ほど前まで、「褒め」は最強のモチベーションアップ法だとされてきました。しかし近年、「褒めにはリスクもある」ことが気づかれつつあります。
部下を褒めればやる気が出る、という効用については、私も否定しません。しかし、頻繁に褒め言葉を言ったり、過剰に褒めそやしたりしているなら要注意。
そこには、主に3つの弊害が生じます。
○(1)部下の忖度を生む
部下が「これをすれば褒められる」と認識して繰り返す。これは一見いいことのようですが、そのとき部下には「自分で考えるより、上司の気に入ることを」という受動スイッチが入っています。目立たなくとも大事な業務を「別に褒められないし」と放置したり、上司が面倒だと思いそうな提案をひっこめたり、重症になると「褒めてもらえるなら」とコンプライアンスに抵触する行動をとることも起こりえます。
○(2)褒めることがないとき困る
「褒め」をコミュニケーションの主軸に置くと、褒めることが特にないとき、言葉に詰
まります。褒めないときの言葉がイコール「ダメ出し」になりやすく、グッドorバッドの極端なフィードバックになりがちです。
○(3)中毒性が高い
「褒め」には依存性があります。最初は「1」褒めれば目を輝かせてくれた部下が、やがて2、3、4と増やさないと満足しなくなる、つまり「褒め中毒」になりやすいのです。
これは「褒められないと不安」という、心理的安全性の低い状態。「最近褒めてもらえない!」と、病んでしまう危険もあります。
というわけで、「褒めすぎ」「褒めそやし」は控えるのが吉です。
ここは褒める代わりに、承認をしましょう。
グッドであろうとバッドであろうと関係なく、ただ「○○だね」と事実を認めるだけ。褒めより刺激は低めですが、心理的安全性ははるかに上です。
こまめな承認は、「きちんと見てもらえている」という安心感を醸成します。
「でもグッドで褒めないのは抵抗がある」と思った方、もちろん「褒めは全面禁止」などと言うつもりはありません。
ただ、自分が送りたい「褒め量」よりも少し抑えましょう。「えっ、もうできたの!? すごーい(狂喜)」→「お、2時間で完成か(ニコ)」
くらいのトーンが適量です。
「バッドのとき、承認しちゃっていいの?」と不安な方もご安心を。承認しても、承諾したことにはなりません。「確かに、そういう考え方もあるね」は、賛成ではありませんね。「そうか、そう思ってたんだ」もそうです。
賛同は示さないけれど否定にはならないという、絶妙なフラットさです。
ここだけの話、このフラットさは、少しばかり意地悪でもあります。「確かに、そういう考え方もあるね(賛同はしないけど)」「そうか、そう思ってたんだ(共感はしないけど)」という、相手に言わない「沈黙の後半」があるのです。
内心は賛成も共感もしていないことを、「受け取ったよ」と伝えて、さりげなくスルー。でも相手に伝わるのは「受け取ってもらった」という事実だけなので大丈夫。
ちょっぴりダークな側面は、「ウソをつかずに済む」という効用でもあります。無理に褒めなくていい、共感しなくていい。上司も部下も、安心・安全です。
○『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(林健太郎/明日香出版社)
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