ここはプラモショップ?→団子屋です マニアックすぎる品揃えで話題「だんごの美好 深谷店」に行ってみた

2020年6月13日(土)8時0分 Jタウンネット


関東圏を中心に展開する団子のチェーン店「だんごの美好」。売っているのは昔ながらの串団子や大福などだ。

しかし埼玉県深谷市にあるだんごの美好では、老舗の団子店にはまずないであろう意外なものが売っている。

それは「ガンプラ」だ。

ガンプラを集めているファンは多いだろうが、それがなぜ団子屋で販売されているのだろうか。

気になった筆者は2020年6月11日、だんごの美好・深谷店に向かった。

天井に届きそうな「ガンプラ」の山

JR深谷駅から3キロほど離れた場所にその店はあった。

年季の入ったオレンジの看板には「だんごの美好」。その下には「Nゲージ」「ガンプラ」と書かれたスペースがあり、並べられたプラモデルたちがこちらを見ている。横に倒れた水まんじゅうの看板(?)が気になるが、さっそく中に入ってみよう。

中に入るとおいしそうな団子が並んだショーケース...よりも、天井近くまで積み上げられたガンプラに目が行く。それはショーケース上まで侵略しており、団子の立場が少し危うい。よく見るとどれも値段が付いており、売り物のようだ。

ガンプラの販売を始めたのは山田浩弥さん(41)。母と2人でこの店を経営している。

1994年7月に母が店を開業、当時高校1年生だった山田さんも手伝い始めた。ガンプラの販売は8年ほど前に始めたという。

「皆さんそうだと思うんですけど、ガンプラっていつか作ろうと思って積んじゃうんですよ。ガンプラを買えるお店も近くになくなってきていたので、自分で始めちゃえと思って始めました」

ガンプラの販売を始めたきっかけをこのように話す山田さん。当初は高校生のころから買い集めていたガンプラを売っていたが、そちらはすでに完売。現在はバンダイ公認のプロショップとして商品を仕入れ販売している。

在庫は5〜600個ほど。仕入れるガンプラは1週間に50個ほど。販売価格は「定価より高くしない」をモットーにしていることやその他の大人の事情により、ガンプラによる収入はあまりない。

「一番いいのが、お客さん同士がつながってくれること」

最初は団子を買いに来た小中高生にガンプラをすすめていたという山田さん。その結果、子供の母親がガンプラにハマることもあったという。

テレビアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の放送時は小学生なども訪れていたが、終了してからはめっきり来なくなってしまい、現在のお客さんは20〜30代が中心。県外から訪れる人もいるようで、三重から19歳の女性が来たこともあったという。店内にはお客さんからのメッセージが飾られている。

「うちとして一番いいのが、お客さん同士がつながってくれること。商品を見ている人に、その場にいる人を『あの人が詳しかったよ』とつなげてみたり。人見知りする人もいますが、そういう時はこちらから声をかけることで交流できればと思っています」

ここを訪れるお客さんが近くの商業施設でイベントを開催することもある。窓際に並んでいるガンダムたちも、お客さんが他の人のプラモデルを募集してここに展示しているものだという。

鉄道ファンも必見?

すでに団子屋の域を超えているが、なんとここに置かれているのはガンプラだけでない。ショーケースの横には大きな線路のジオラマがあるがこれはいったい...?

「本当は鉄道模型をやりたいんですよ。本業はこちらです」

実は3歳のころから鉄道が好きだという山田さん。その愛情はガンプラより深い。数は少ないが鉄道模型も、ガンプラより早い18年ほど前から販売している。

「ジオラマはホームセンターや100均で材料をそろえ、自分で作りました、小学生が電車を持ってきて走らせたりしています。鉄道の方はお小遣いためて買いに来る子供が多いです」

つまりこの店にはガンプラ好きと鉄道好きが集う。「団子は大丈夫なのか」——失礼ながらこんな不安がよぎった筆者だが、団子も1日300本ほど朝早くから仕込んで売っているとのこと。

店によって材料が違うが、深谷店は本店と同じものを使っているという。

3つの顔を持つだんごの美好・深谷店。今後も続けていくのか聞いてみると、「そうですね。今更やめられないですし」と山田さんは話していた。

(Jタウンネット編集部 笹木萌)


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