男と女で産まれた二卵性双生児に聞く、ちょっとした生きづらさ

2024年6月26日(水)11時0分 ソトコト


「女の子らしく育ってね」。男女の双子として生まれた私は、大人になってもその言葉に戸惑い続けている。多様性に向かうフェーズの中で、同じルーツを歩んできた男女の二卵性双生児の体験談から見る、「〇〇らしさ」の未来を考えてみました。


二卵性双生児とは?



二個の卵子が同時に受精してできた双子のことを指します。性別は同性の場合や異性のこともあり、血液型も同じになるとは決まっていません。男女の二卵性双生児に限っては容姿や性格も違うことがほとんどですが、遺伝子は平均して50%同じものを持っていると言われています。そのため、当の本人たちには”そうでない人たち ”とは違った苦労や体験があるようです。


兄妹(姉弟)の恋愛が身近すぎてモヤっとする



「中学生の頃に付き合っていた人が、兄の友人ということもあったせいか、距離の縮め方が難しかったです。女の同級生からは兄にバレンタインチョコを渡してほしいと頼まれることもしばしば。引き渡し手数料として、チョコのおすそ分けをもらってました」 Aさん(33歳、女性)


「双子の姉の恋愛事情が耳に入るのが嫌だった。学校は同じだし、田舎だから噂はすぐ広まる状況だった。当時の連絡手段は家電だったので、姉の恋人からかかってくる電話を受けた時は、複雑な心境でしたね」 Rさん(45歳、男性)


共有する時間や環境が同じだと、双子の兄妹(姉弟)の恋愛にはどうしても関わってしまう事があるそう。互いの事情を気軽に話せる仲だと協力できることがあるかもしれませんが、思春期だとなおさら、双子とはいえ家族の恋話とは距離を置きたい人も少なくないでしょう。


大人になっても起こるシンクロニシティ



「それぞれ実家を出て同棲を始める時期や、会社を辞めてフリーランスになるタイミングが一緒でした」 Aさん(33歳、女性)


「全く同じ日に風邪を引いてるというのは姉のツイッターで知りました。最近、普段興味のない大河ドラマだけど不思議と観てみようかなという気になり、ふとひらいたツイッターには『大河ドラマデビュー』の姉の呟きが。アカウントは閉鎖しました」 Rさん(45歳、男性


「休日に渋谷の街に出かけると、道でばったり会う事が何度もあった。職場は別々なのに。」Mさん(35歳、男性)


どうやら、男女の二卵性双生児にも偶然の一致があるんですね。鳥肌が立つような出来事でも、このようなシンクロニシティを不気味と感じるか、幸運と捉えるかで物事が変わっていきそうです。


真逆すぎる価値観と性格で「らしさ」が目立つ



「兄は、小学生にあがるくらいまでは常にぼーっとした様子で、とても穏やかな性格。おもちゃもロボットよりかは、猫のぬいぐるみを抱えている子。私はどちらかというとおてんばな性格で、よく傷を作る子供でした。ディズニープリンセスには興味がなく、強くてカッコいい美少女戦士に憧れていました」 Hさん(36歳、女性)


「18歳まで同じ環境で育ったけれど、東京に出て20年弱、相方はものすごく根暗な性格で、価値観が全く違う。美術系の学校まで一緒だったので、絵の話しをしている時だけは唯一楽しいと感じるかなぁ」 Rさん(45歳、男性)


子供の頃は、興味を示すものに対して「女らしさ」や「男らしさ」などは一切考えずに遊んでいましたよね。筆者は女ですが、シルバニアファミリーのおままごと遊びよりかは、公園で泥団子を大量につくる遊びに夢中でした(笑)。大人になってからは、料理や家事が好きなので、泥団子遊びが、今やりがいを感じることの基盤となっているかもしれません。


☓年後の「〇〇らしさ」について考える



人の価値観や性格は、環境やその後の進路によって多種多様に形成され、そして変化していく。双子だからといって全く同じアイデンティティを持つことは、当たり前だけど、ひとつもない。


男女の二卵性双生児は、この世に産まれた時は女と男で産まれてくるわけですが、「女の子だから」「男の子だから」「双子だから」などの言葉を浴びてきた場合、これらの言葉によって起こるアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)は、どのようなものだろう、と想像します。もちろん、男女の二卵性双生児に限ったことではありませんが、性が対になってほぼ同時に生まれてきたが故に、周囲から「らしさ」を意識的、あるいは相対的に見られることが多いのかもしれません。


「ジェンダーの壁」や「〇〇らしくあれ」など、社会問題の弊害になっている固定概念は、自分の脳内も含め、様々に存在しているのも事実です。これからは、「女らしさ」や「男らしさ」、その他の多くの「〇〇らしさ」の呪縛の解放にむかうために、社会がつくった「らしさ」の仕組みをそれぞれが理解し、新しい価値観へとアップデートしていく必要があると感じました。生きる環境や状況が異なる誰かの「生きづらさ」を知ることは、その助けになるのではないでしょうか。


そうすれば多様性の時代、男女の二卵性双生児という言葉も消える時代もやってくるかもしれません。

ソトコト

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