【ガンダム】なぜカテジナはクロノクルに惹かれたのか 「ストックホルム症候群だった」という説

2020年6月27日(土)8時0分 キャリコネニュース

今週もガンダムコラムのお時間である。今回は1993年放映の『機動戦士Vガンダム』について書いていきたい。

先日、ザンスカールのMSがかっこいいのに不人気なことについて駄文をアップしたばかりであるが、今回もザンスカール側に目線を向けて話をする。なぜカテジナはクロノクルを男性として意識するようになったのか? というテーマだ。

本作を語るうえで、この両名について外すことはできない。本当のところを書くと、僕が割と好きなアルベオ・ピピニーデンの話だけ書いていたいんだけど需要もなさそうなので……。(文:松本ミゾレ)

大人に幻滅をしていたカテジナにとって、クロノクルは当初一番まともな大人だった?

カテジナ・ルースという17歳の少女について今のオタクたちが語るとき、苛烈でエキセントリックな性格に変貌したトラウマキャラ、として扱われるのがほとんどだ。しかし元々の出自はザンスカール軍所属ではなく、カサレリア在住の令嬢である。

彼女は両親が不仲という関係で育ち、不倫をする父と母に苦悩をしていた。やがて成り行き上リガ・ミリティアに加わることとなったが、そこでは老人主導でゲリラ戦が展開され、大人たちはのらりくらり出撃を避け、女子供が戦場で命を懸ける有様であった。

主人公のウッソ・エヴィンは元々カテジナとは文通仲間だったが、カテジナにしてみればウッソはただの子供であり、この時点ではまだ“頼れる男”を感じる要素はない。

ダメな両親、子供をゲリラ戦に使う老人という、頼るには心許ない大人にばかり出会い、傍らには幼いペンフレンド。こういった境遇がのちにクロノクル・アシャーによって誘拐されてからの彼女の言動に影響を及ぼしたことは、そこまで理解に難しくないはず。

彼女から見たクロノクルは、最初こそ敵でありベスパのエースであったはずだが、同時に誰よりも行動的な若さを持つ、男の象徴に感じられたはずなのだ。不倫するばかりの両親に、おじいちゃんゲリラ軍団。そういった大人を見た後なら、いくら敵だろうとカテジナがクロノクルを男として意識しないわけがない。

若い女性は時に、はたから見ると「その男だけはやめたほうがいいよ」と忠告したくなるような男性に惹かれるもの。言動が粗暴でツーブロックで、ドンキに入り浸って川でBBQしてゴミも持ち帰らないような男に夢中になる娘が実際にいるものだ。

クロノクルを男性として意識しない年代ではないはずのカテジナにとって、一連の誘拐劇は大きな刺激であったに違いない。

生き残るためには変わらなければいけなかった、という側面も

似たようなテーマのスレッドが5ちゃんねるにもあった。それが「カテジナはなぜクロノクル程度の男に惹かれたのか」というものである。この中に、興味深い指摘がある。

「ストックホルム症候群みたいなもの。ベスパの人質になった時、セクハラされる中でクロノクルは聖人に見える態度を示した」

ストックホルム症候群。思わず「あ、そっちもあるか!」と唸ってしまった。このストックホルム症候群とは誘拐や監禁などの事件に巻き込まれた被害者が、生き残るために犯人グループとの間に絆を見出してしまうという状態を指す。

カテジナはまさにクロノクルらによって誘拐され、これまでとは違う環境での生きていかなければいけなくなった。ストックホルム症候群のような心理状態に移行した可能性は否定できない。

そのうえ、クロノクルはザンスカール帝国の女王マリアの実弟。今後の地位もある程度約束された生粋のスペースノイドでもある。カテジナという少女が、裕福ながらも薄幸の境遇のなか夜空を見上げていた時期もあったはず。その夜空の遥か向こうからやってきたクロノクルには、余計に惹かれる部分はあったかもしれない。

もっとも、僕は先に挙げたように、やはりカテジナはストックホルム症候群よりも女としてクロノクルという男に興味を抱いたと考える立場だ。

だからこそ、徐々にクロノクルに対してのフィルター、あるいはクロノクル自身の魔法が解けてしまい、最終的にはウッソと殺し合いをさせて高笑いするようになったんじゃないだろうか?

最終盤でのカテジナの狂いっぷりばかりが何かと話題にはなるけど、本作は意外とカテジナがなるべくしてああなったという理屈が描かれているように感じられる。


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