からあげのプロが選ぶ! 2022年上半期に食べて本当に美味しかった絶品「からあげ」BEST5

2022年9月4日(日)10時50分 食楽web


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 2022年も、引き続きからあげブームに後押しされ、美味しく、そして特徴あるからあげが続々と登場しています。

 そこで今回は、日本唐揚協会認定カラアゲニストとして日夜「から活=からあげ食べ歩き活動」に励み、本サイトでもからあげにまつわる記事を連載中の松本壮平氏が、2022年上半期にご紹介したからあげの名店の中から、特にオススメというからあげのお店を5軒、厳選してご紹介します!

 どのお店もこだわりを持ってからあげを作っています。みなさんの胃袋をつかむものはどれでしょうか?

味もボリュームも満足度100%! 老舗の「唐揚げライス」|『鳥割烹 大金』(日本橋浜町)


『鳥割烹 大金』の「唐揚げライス」、からあげ3個と竜田あげ2個が付いています

 東京・日本橋浜町の『鳥割烹 大金(だいきん)』は長い歴史と風格を感じるお店です。もともとは料亭などへの仕出し料理店として明治期に開業、昭和に入ってから鶏肉の販売を始め、昭和42年に現在の『鳥割烹 大金』を開業したそうです。


都営新宿線・浜町駅から徒歩数分のところにあります

 こちらの人気メニューは「唐揚げライス」と「竜田揚げライス」。5個、4個、3個と個数を選べるだけでなく、からあげと竜田あげのミックスも可能です。目の前に運ばれてくるからあげ&竜田あげを見れば仰天必至。とにかくデカい! 1個70gほどはあるでしょうか。平べったい形状も特徴的で、ひと口目で半分も食べ切れないサイズ。漬けダレの色が衣に出て濃い色合いのものがからあげ、やや白っぽいものが竜田あげです。

 からあげの衣は炙りたての新鮮な焼き海苔のようなパリッとした歯ざわりで、軽いおこげが香ばしい。弾力のある肉からショウガの爽やかな風味が口から鼻、のど一帯に拡散していきます。ニンニクは不使用。ショウガの風味と肉の旨み、そこに衣の香ばしさが加わって、ご飯が無限にすすみそうな濃厚な味に仕上がっています。


肉が薄めなので、衣と肉のバランスが常に一定で実に美味

 一方の竜田あげは、からあげに比べて衣がフワリとした食感。肉もソフトな歯ざわりで肉汁もたっぷり。こちらも旨み十分。2個だけですがビッグサイズなので満足感は十分です。両者とも味が異なるので、器にほぼ擦り切れ状態のご飯や味噌汁などで味覚をリセットしつつ食べるのがオススメ。


竜田あげの衣はやや白っぽく仕上がっています

 こちらのからあげと竜田あげの作り方は、肉を漬けダレに1日漬け込むところまでは同じ。からあげはその肉に片栗粉をまぶして揚げ、竜田あげは溶き卵にくぐらせたあとに片栗粉をまぶして揚げているそうです。竜田あげに溶き卵を使うのは、旨みや肉汁をよりしっかり閉じ込められるから。言われてみれば、竜田あげはからあげよりも旨みが強くて肉汁も多い印象。衣のフワリとした食感も溶き卵のなせる業でしょう。

●SHOP INFO

店名:鳥割烹 大金

住:東京都中央区日本橋浜町2-10-6
TEL:03-3666-6929

長野出身の店主が揚げる「山賊焼き」|『からあげ家いっちゃん』(松陰神社前)


真ん中に「山賊焼・200g」、手前左「甘辛手羽」、手前右「塩ナンコツ」、奥左「ニンニクからあげ」、奥右「しょうがからあげ」

 長野県の当地からあげといえば「山賊焼(さんぞくやき)」。松本市や塩尻市を中心とする地域で古くから親しまれている郷土料理のひとつで、鶏の一枚肉に衣を付け、豪快に揚げているのが特徴です。名前の由来は、一説によれば鶏を揚げる料理を、物を“取り上げる(=鶏揚げる)”山賊になぞらえ、そして少量の油で焼くようにして揚げたことから“揚げ”ではなく“焼”になったと言われています。


最寄り駅は東急世田谷線・若林駅。徒歩1分ほどで到着できます

 東京・世田谷、松陰神社近くの『からあげ家いっちゃん』はテイクアウト専門のからあげ店。長野県出身の店主・市川直美さんが揚げる本場の山賊焼が堪能できるお店です。こちらで味わいたいのが「山賊焼」(200g)。そして「ニンニクからあげ」「しょうがからあげ」(各100g)、「甘辛手羽」もマストオーダー。

 まずは「山賊焼」。台湾鶏排のような大きなサイズです。袋入りで提供されるので、手で持ってガブリといくのがいいでしょう。肉厚で食べごたえはバツグン。醤油、酒、ニンニク、ショウガで味付けしているそうで、味もしっかり、旨みもバッチリ。何より肉の柔らかさにメロメロ。舌の上でとろけそう…というより、強烈な肉の旨みをたっぷり残しつつ、とろけながら舌に吸い込まれていくようです。見た目はワイルドですが、やさしく上品な味わいで、山賊というより“山の女神”とでも言いたくなるようなイメージです。


「山賊焼」。箸で持ち上げるとその重量感がわかります

「ニンニクからあげ」と「しょうがからあげ」は味付けだけでなく、食感がまるで違います。ニンニクからあげは数種類の粉をブレンドしているそうで、衣がややふんわり食感。しかも味付けに白ワインを使っているのが特徴。白ワインに含まれる糖分は保水効果もあるので、しっとりとやわらかい食感に仕上がっています。一方の「しょうが」は片栗粉のみで、カリッとした歯ざわりです。ニンニク不使用で、ショウガの香りが非常にさわやかな逸品です。

 また、「甘辛手羽」は、手羽元の肉を開いて揚げて、甘辛いタレをからめたもの。このタレが抜群の美味しさ! 濃厚で食欲をそそる味わいです。タレをからめているのに衣のカリッとした食感もしっかり感じられます。ご飯が欲しくなる味ですが、ビールのアテとしても超優秀です。

●SHOP INFO

店名:からあげ家いっちゃん

住:東京都世田谷区若林4-3-9 101

味も揚げ具合も百点満点のの絶品「ムネ肉からあげ」|『鶏ちゃん』(幡ヶ谷)


『鶏ちゃん』の「ムネ肉からあげ」

 東京・甲州街道沿いにある、テイクアウト専門の『からあげ専門店 鶏ちゃん 幡ヶ谷駅前店』はムネ肉からあげが絶品。こちらの「むねからあげ」は1個から購入可能で、無理せず好きなからあげを好きなだけ購入できます。

 オーダーして待つこと6〜7分。大ぶりのからあげが登場します。衣に歯を当てると一瞬「ガリッ」という感触がありますが、それはすぐに「ジャリッ」に変わり、肉に吸い込まれるようにじわじわと溶けていきます。衣にはオリジナルの特製からあげ粉を使用しているとのことで、心地よい歯ざわりに仕上がっています。


京王新線・幡ヶ谷駅から徒歩1分ほどの場所にある『鶏ちゃん』

 醤油ベースの特製漬けダレにしっかり漬け込み、さらにもみ込んでいるという肉は、ムネ肉とは思えないほどのやわらかさ。肉の旨みをしっかり感じられるだけでなく、醤油の風味がそこに加わり、和のテイストが際立つからあげ。これはとめどなく食べてしまうキケンな味です。

 モモ肉からあげと同じ方法で調理しては、こうはなりません。大ぶりなサイズも、固さの原因となる繊維質をカットすることを意識したものでしょう。ムネ肉からあげを美味しくするポイントを押さえていますね。


ムネ肉なのにこのしっとり具合。肉汁がにじみ出てきます

 ちなみに、「ももからあげ」も期待を裏切らない美味しさ。大ぶりで旨みがしっかりと閉じ込められた肉からは肉汁がとろ〜りと流れ出てきます。ムネ肉とは違った、フワリとやわらかい肉質。ガリッとした衣との相性もいい。

 ちなみに『鶏ちゃん』では、ムネ肉、モモ肉のほか、手羽先や鶏皮、やげん軟骨のからあげも提供しています。部位ごとに異なる調理法を研究し、さまざまな部位のからあげを自信を持って提供している点も、そのお店のクオリティの高さを示すひとつの指標と言えるのではないでしょうか。

●SHOP INFO

店名:からあげ専門店 鶏ちゃん 幡ヶ谷駅前店

住:東京都渋谷区幡ヶ谷2-7-12
TEL:03-3374-9321

危険なほどウマいビアパブの「鶏の半身揚げ」|『ON TAP 江戸東京ビール』(住吉)


醸造所併設のビアパブの極上の半身揚げ

 東京・江東区にある『ON TAP 江戸東京ビール』は醸造所を併設したビアパブで、できたてのクラフトビールを楽しめるお店。ビールの美味しさは言うに及ばず、こちらの「鶏の半身揚げ」が絶品なのです。


東京メトロ半蔵門線・住吉駅。地上出口を出て徒歩8分ほどで到着(食楽web)

 オーダーから15〜16分ほどで半身揚げのお出まし。香ばしく上品な香りが漂い、これだけで食欲にエンジンがかかります。カラアゲニストとして、これまでいろんなお店の半身揚げを食べてきた筆者ですが、ここまで香り高い半身揚げは初めてです。

 ムネ肉はしっとり柔らかく、一瞬「モモ肉?」と思ってしまうような食感。旨みも十分で、しかも味に深みを感じるのは、岩塩やニンニク、ショウガ、昆布などを使った漬けダレに2日間漬け込んでいるから。一般的な半身揚げの味付けは塩のみ、という店も多いのですが、そこまでさまざまなものを使っているとは! 肉の旨みだけではない、豊かな味わいが口の中で踊るようで、食欲が加速していきます。ムネ肉のジューシーな食感も、十分な漬け込み時間の賜物でしょう。


お願いすれば、食べやすく切り分けてくれます。半身揚げは素揚げなので、当然ながら衣はついていません。しかし表面の鶏皮が、それを補って余りある美味しさ!

 モモ肉を食べると、さらに納得。豊潤な味わいの中に、かすかに上品な甘さも感じます。舌も心もほっこりさせてくれるような癒やし系のナチュラルな甘みです。歯ざわりがとても軽やかで、肉は骨からホロッとはがれ、絹ごし豆腐に歯を入れたときのようにスルリと歯が肉に入っていきます。

 こちらのお店、メニューには常時10種類のクラフトビールが並んでおり、店員さんに聞けば、半身揚げに合うビールをオススメしてくれます。この半身揚げと、フルーティで爽やかなクラフトビールがまたよく合うんです! 合間にビールを飲むと、口の中がさっぱりするだけでなく、爽快な余韻をしっかりと残して、それが次の半身揚げのひと口へといざなってくれます。

●SHOP INFO

店名:ON TAP 江戸東京ビール

住:東京都江東区千田16-2

プロントの夜の新業態で味わえる「チューリップからあげ」|プロント 銀座コリドー店(銀座)


「チューリップカラアゲ・ザク辛」

 おなじみのプロントが、2021年から夜の時間帯を「サカバタイム」と銘打って、新業態『キッサカバ』(喫茶+酒場)をスタートさせています。ひと昔前の懐かしい酒場をイメージしており、おつまみメニューもハムカツやポテトサラダ、タコサンウインナーなど郷愁を誘うものがたくさん。


プロント・銀座コリドー店。昼間はカフェタイムで、17時にキッサカバに変身

 こちらの一番人気が「チューリップカラアゲ」。ひと昔前はお弁当やパーティーなどでお馴染みだったチューリップからあげ。切れ目を入れた手羽から骨を1本抜き、肉をクルリとひっくり返して形状を整えて揚げるものです。作るのに手間がかかるため、飲食店などで見かけなくなった不遇の時期もありますが、ここ最近は再び脚光を浴び始め、提供するお店も徐々に増加傾向にあります。

 1本からオーダーできる「チューリップカラアゲ」は、「プレーン」、「ザク辛」、「危険なのり塩」の3種類から選べます。「プレーン」はザックリとした衣はやや厚め。昨今は“薄衣”にこだわるからあげが主流ですが、かつてはこんな厚衣も一般的でした。これ、昭和生まれには懐かしい! ザックザクの歯ごたえが爽快で、香ばしさもあります。ショウガベースの味付けの肉とうまくミックスされて、メリハリある食感が楽しめます。


「チューリップカラアゲ・プレーン」

 続いて「ザク辛」。オリジナルスパイスがたっぷり振りかけられていて、口から火を吹きそうな激辛を想像しましたが、食べてみると、不思議なことにほとんど辛くない!唇や舌を突き刺すような刺激を覚悟していましたが、プレーンの味にマイルドな旨みが加わった印象。唇をやさしくなで、舌にそっと舞い降りるような旨みがあります。

 そして「危険なのり塩」。オリジナルののり塩がたっぷりかけられたからあげは、香りがとにかくイイ。ひと口食べれば、磯の風味が炸裂し、衣の香ばしさ、肉の旨みに爽やかな味わいをプラスしてくれます。これは3種類のチューリップからあげの中で、筆者の一番のお気に入りでした。

●SHOP INFO

店名:プロント 銀座コリドー店

住:東京都中央区銀座6-2

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