【お米の文化】暮らしから生まれた工夫と楽しみ

2022年10月1日(土)12時5分 ソトコト

前掛け


アジアで始まったとされる稲作は、縄文時代の後期に北九州へ伝わったと言われている。高温多湿な日本の気候に適した稲作は急速に全土へ拡大し、お米は日本を代表する主食となった。





そして、稲作の発展に伴い米問屋も生まれ、彼らが身につける「前掛け」が誕生した。その起源は15世紀に遡るともいわれており、16世紀以降に今のような形になった。前掛けの一番の役割は、重い米を運ぶ仕事で腰を守ること。体のバランスを整える骨盤、そして丹田をグッと締めることで、腰を悪くしづらいという。また、衣類の破れや怪我も防止するなど実用的であることや、お店の屋号を入れることで広告宣伝としても使われていたりと、前掛けは長方形の生地に紅白の紐が付いているというシンプルな形であるが、この中に先人たちのさまざまな知恵が詰まっている。





前掛けの特徴のひとつである一番下のフサは、神社のしめ飾りや相撲の化粧まわしなどにも関連、由来があるともいわれている。





米袋


秋に収穫され、年間を通じて全国に流通しているお米を包装、保管するための「米袋」は、保管している間に品質を落とさないように、袋にさまざまな工夫がなされてきた。
現在、私たちが目にするクラフト紙の米袋が誕生する以前は、米俵や藁で編んだ敷物を2つ折りにして縫い閉じた叺、麻袋など、さまざまな形態でお米を包装、保管してきた。クラフト紙は繊維の長い針葉樹を原料としたパルプから作られており、その長い繊維が絡み合うことで破れにくく、さらには漂白しないことで繊維を傷つけずに高い強度を実現している。元々は大正時代にセメント用の袋として製造されたのが始まりで、昭和初期にようやく米袋として使われるようになった。このクラフト紙の米袋は、主に玄米を各産地から消費地の精米工場などに運ぶために活用されており、強度だけでなく通気性や防湿性に優れているのも特徴。配送時には1トンを超える重量を積み上げることもあるので、お米の重量に合わせてクラフト紙を重ねるなどして、強度を高める工夫もされている。














photographs by Makoto Kujiraoka text by Akemi Kan

ソトコト

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