人間の尊厳を踏みにじる現代の拷問9選! 苦痛を与え、傷跡を刻み、人権を侵害する邪悪な手法

2022年11月6日(日)20時0分 tocana

 2000年、国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」とアフリカの社会科学団体「CODESRIA」は、拷問が疑われる刑務所を監視する監視グループ向けのハンドブックを発行した。このハンドブックで解説される5種類の拷問に他の4種類を加えて、現代における一般的な9種類の拷問を紹介しよう。世界中で今も行われている非人道的な拷問法を知り、人権尊重の大切さを見直したい。


火傷

 2011年夏、リビアのカダフィ家で乳母として働いていた女性、シュワイガー・ムッラーは、カダフィの息子の妻から、夫婦の子供たちを大人しくさせなかったという理由で拷問を受けた。妻はシュワイガーに熱湯をかけて火傷を負わせたとされる。火傷はシュワイガーの全身に及び、顔はほとんど認識できないほどだった。


 火傷を負わせる拷問の起源は紀元前2000年にまでさかのぼる。犯罪者の身体に罪の証を永遠に残すため火傷が用いられた。


 近年では、スウェーデン・ストックホルムにある「拷問・外傷生存者センター」の専門家が、バングラデシュで拷問を受けた83人の政治難民のうち、78%が火傷を負っていたことを報告した。拷問の被害者は、化学物質や極度の寒さによって火傷を負うこともある。これらの火傷は、適切に治療しないと感染症を発症しやすく、拷問による傷跡が一生残ることも少なくない。


貫通性外傷

 刺し傷や銃創などは特に外傷になる可能性がある。ボストン大学の研究によると、このような外傷は、永続的な神経学的損傷を残すための拷問でよく見られるという。銃やナイフは多くの場合、加害者が意図しない方法で、深刻な内部損傷を与える。たとえば、銃弾や刃物による傷は、脊髄を切断したり、靭帯や腱を破壊したりして、永続的な障害を引き起こす。さらに、被害者は必要な医療を受けられないことが多く、感染症や治癒の遅延につながりやすい。


 人権NPO「国際人権協会」は、中国における拷問の犠牲者は、背中の皮膚を竹、針、その他の鋭利なもので突き刺され、小さな棒で鼓膜を破られたと報告する。バングラデシュからの難民の検査では、調査対象のグループの79%が、ナイフ、剣、針、ガラスなどの道具による傷を負っていた。


窒息

 アイオワ大学の研究者は、マウスが二酸化炭素濃度の高い空気を吸うと、その場で動きが止まるという反応をすることを発見した。さらなる研究の結果、二酸化炭素濃度が上昇すると、マウスの体のpH値が高くなり、生存のために脳の一部で強い恐怖反応を引き起こすことも発見された。これらの研究から、窒息が残忍な拷問方法である理由が明らかだろう。


 拷問者は、さまざまな方法で犠牲者の空気供給を遮断できる。窒息は発作や意識の喪失を引き起こす可能性があり、他の拷問よりも犠牲者を死に至らしめやすい。また、犠牲者は液体の吸入による慢性気管支炎や、記憶喪失や昏睡に至る永久的な脳損傷なども考えられる。


身体部位の除去

 ナチスの医師たちは、強制収容所の収容者たちを被験者として、手足や組織の移植実験を行ったといわれる。医師たちは、犠牲者の腕、脚、その他の体の一部を切除し、他の犠牲者に移植しようとしたが、結果は悲惨だった。


 切断や組織の除去は昔から拷問の手段とされてきた。拷問者は通常、犠牲者から爪、歯、指を取り除くが、それ以外の身体部位を取り除くことがあった。イスラム法は、犯罪者が罪を犯すために使用した身体部位を取り除く刑を含む。2007年には、複数の強盗で有罪判決を受けたイラン人男性が4本の指を切断された。中世を通じて、英国の犯罪者は死刑執行人によって手、耳、その他の身体部位を切断された。こうした拷問は、一生消えない身体的障害を負うだけでなく、その障害のせいで社会から排除されることもある。


殴打

 69人の難民を対象としたデンマークのある調査では、生存者の97%が殴打されたと報告していることが判明した。「拷問の医学的記録」の著者であるマイケル・ピールとヴィンセント・イアコピノ氏は、著書の中で「殴打は万国共通だが、手段は異なるかもしれない」と書いている。殴打は、犠牲者を殴ったり、平手打ちしたり、蹴ったりするのと同じくらい簡単である。


 殴打にはいくつかの特殊の方法がある。「ファランガ」と呼ばれる拷問は、足の裏を鞭や棍棒で叩く。ファランガでは、犠牲者の足に持続する激しい痛みをもたらし、歩行に困難を引き起こす可能性が高い。



電気ショック

 電気ショックは、19世紀後半に人類が電気を利用する方法を理解してから誕生した拷問方法だが、瞬く間に普及した。一般的には、スタンガン、牛用突き棒、電気けいれん療法 (ECT) 装置を使用して行われる。


 電気ショックでは、車のバッテリーに取り付けられた、電気ショックを与えるように設計された棒などが使われることもある。安価で効果的であるだけでなく、犠牲者にはっきりとした身体的痕跡をほとんど残さない傾向がるため、拷問方法としてしばしば採用される。


性的虐待

 強姦は、特に戦時中の拷問で一般的である。1990年代初頭のルワンダでは、推定2万5千人の女性が強姦された。1990年代のバルカン戦争では、イスラム教徒のボスニア人女性がセルビア人兵士による組織的な強姦の被害に遭った。コンゴでは、2000〜2006年だけで、4万人以上の女性と子供が強姦された。


 女性だけでなく男性も性的暴行を受ける可能性があるが、男性は性的虐待を報告するのをためらう傾向があるため表面化しにくいといわれる。加害者が自分の体を使って危害を加えたり、犠牲者の体に挿入するための器具を使ったりする場合、その行為は強姦である。そのため、一部の専門家は、犠牲者の体が侵害されるすべての拷問は一種の強姦であると主張する。


手足のぶら下げ

 ベトナム戦争中、南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)は「ロープ」と呼ばれる拷問を行った。 捕虜になったアメリカ軍兵士は、ひじを背中の後ろに回して触れるまで締められたか、足から喉まで伸ばしたロープで背中をアーチ状に曲げられた。この姿勢によって筋肉に生じる緊張は、犠牲者を手足からぶら下げることによって悪化し、永続的な神経損傷を引き起こしたという。


 反体制派のトルコ人女性グルデレン・バラン氏は、20代前半のときに警察から拷問を受けた。さまざまな拷問を受けたが、その1つは、木製の十字架に両腕をのせられ、体の後ろで縛られた手首から吊るされるというものだった。その結果、バラン氏は腕に長期的な損傷を受け、片方の腕を動かしにくくなり、もう片方の腕は完全に麻痺した。


模擬処刑

 模擬処刑とは、犠牲者が自分の死、または他人の死が差し迫っていると感じたり、すでに起こっていると感じたりする状況を作り出す拷問である。犠牲者の命を奪うような脅しを口にすることから、犠牲者に目隠しをして銃弾の装填されていない銃口を後頭部に当てて引き金を引くことまでが含まれる。


 米陸軍では、兵士が模擬処刑を行うことを明示的に禁止している。しかし、一部の米兵がイラク戦争で模擬処刑を行ったと報告されている。2005年には、武器庫から金属を盗んだとして尋問されたイラク人男性が、彼の息子たちの一人を処刑するのでその一人を選ぶよう要求された。息子の一人が連れて行かれ、銃声が鳴り響いたとき、男性は息子が処刑されたと信じた。また、自分の墓を掘らされたイラク人もいる。


 模擬処刑は国際法違反だが、拷問の手段として現在も行われている。この拷問が犠牲者の人生に及ぼす影響は大きい。自らの死がフラッシュバックするという拷問経験者もいる。



参考:「HowStuffWorks Science」、ほか

tocana

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