子どもの入学式で有休申請 →「考えが甘い」と却下された男性 転職時には「裏切り者」とも言われ......

2023年12月3日(日)23時29分 キャリコネニュース

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真面目な人ほど過酷な労働環境で頑張ってしまうものかもしれない。かつて金型部品メーカーで営業と設計を兼務していたという40代男性は、当時働いていた会社について


「子どもの入学式などで有休をお願いしたところ社長から『考えが甘い』と怒鳴られ却下されました。結局、子どもの卒園式や小学校の入学式には行けませんでした。2人目の子どもが生まれた時は、届け出などが大変でした」


と語り肩を落とす。基本的には完全週休二日制だったが、7時45分に出社し22時30分頃に退社が常態化、つまり連日15時間拘束に近い長時間労働だった。


「非常に激務で残業時間は毎月100時間近かったです。でも残業代は25時間分のみ、しかも計算が合いませんでした。基本給から計算すると少ないのです」


とブラックぶりを振り返る。男性が、編集部の取材に語った。


祖母が亡くなったのに休めず…「仕事終わりに通夜に行け」



男性が、およそ14年前に社員数30人足らずだったその会社に入った経緯はこうだ。


「リーマンショックで前職から退職したためハローワークで設計募集を探していたところ待遇等が良く応募し、入社が決まりました。それから7年ほど働きましたが、決して待遇はよくありませんでした」


営業と設計を兼ねていたため仕事量は膨大で、長時間労働の上に前述のように家族のために有休を取ることも認められなかった。


「子どもの行事に参加できなかっただけでなく、祖父母や叔母の葬儀の休みも取れず参列できない事がありました。母方の祖母が亡くなり参列したいと告げたときには、当時40代半ばの社長から『仕事終わりに通夜に行け』と言われ、有休は取れませんでした」


ちなみに、「社長のお気に入りの経理担当は、通夜と葬儀で休みが取れていました」というから、えこひいきも甚だしい。


「5年以上勤めましたが有休は1日も取れず、退職時の有休消化や買い取りもありませんでした」


社員の有休消化が義務化される前の話とは言え、理不尽にもほどがある。


「挨拶などの声が大きくないと怒鳴ってくるパワハラ社長」


一方で、経営陣の働き方といえば、とことん自分に甘いやり方がまかり通っていた。


「社長と役員は親族なのでやりたい放題でした。社長は11時頃に出社し、夕方16時に退社していました。腰が痛いといった理由で欠勤し、業務に支障をきたす有様です。しかも、挨拶などの声が大きくないと怒鳴ってくるパワハラ社長でした」


ほかにも、インフルエンザで熱が出た営業に出社を強要するなど、社長の行動には目に余るものがあったという。極め付けは理不尽な人事だ。


「最も社歴が長い製造部長が社長に意見したところ、課長へ降格されました。逆にお気に入りは、5年以内に平から係長へ。社長に意見しない古株は常務になりました」


こんな環境で社員のモチベーションが上がるはずもなく、男性が入社したときには25人ほどだった社員は、7年後の退職時には10人に減っていた。


さすがについて行けなくなり、男性も辞めることにした。


「外回り営業を兼務していたので、打ち合わせの予定にして転職先へ面接に行きました。退職するときは、経理の係長に『裏切り者』と言われましたが……。社長は『次でも頑張れ』と言っていましたが、内心はどうでしょうね」


零細企業なのに取引先が異様に多いのは要注意?


転職後は、年収アップできたのだろうか。


「当時の年収は営業も設計もやって500万ちょっとですが、いまは設計担当のみで、年収は550万円です」


待遇もよくなり、転職は成功と言えそうだ。他方、男性は「私がいた問題の会社はまだ社員を募集しています」と語る。


「HPでは、多数の大手メーカーとの取引がある優良企業をアピールしていますが、零細企業なのに取引先が500社以上と不自然に多いです。10数人の社員で回せるわけがありません」


そして、現在転職や就活をしている人に向けて、次のように語っていた。


「最近では有給取得率や退職率が調べられ、退職者のクチコミサイトもあります。情報収集をしっかりすれば、ブラック企業に入らずに済むと思います」


と呼びかけた。その口調からは、自分と同じ苦しみを味わう人が出ないでほしいという男性の生真面目さがうかがえた。

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