【定番名品シリーズ】ビジネスからレジャーまで、大人が持つべきトレンドに左右されない名品トート5選

2024年12月27日(金)8時0分 JBpress

長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する。

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登

万能な使い勝手に加え流行にかかわらず愛用できる

 結局人は、使い勝手の良いものを選んでしまう。移動時の必需品となるバッグだが、21世紀の現代はそれこそ星の数ほど選択肢がある。しかしファッション化が著しい現代において、装飾が先行してしまい、見ばえは良いものの実用性においてイマイチな鞄も少なくない。しかしトートバッグはその万能的な使い勝手、優れた耐久性、そしてモデルによってはエイジングが味になることから、日常鞄として根強い人気を保っている。

 気になるのは「トート」という言葉だ。これはアフリカ系アメリカ人である“ガラ”の人たちが使うスラング「運ぶ・背負う」に由来するという。ガラの人たちは自らの伝統を大切にしており、植物繊維を用いた編みカゴなどを近年まで手作業で作っていた。おそらくはそういった手製のカゴ鞄が、トートバッグの発生元だと考えられる。しかし藁草等による編み物トートは耐久性や大量生産において難点がある。そこで帆布などのキャンバス素材に置き換えられていった経緯が浮上する。

 そんなキャンバストートの代表作として有名であるのが、米国のアウトドアブランド、L.L.ビーンが打ち出す「ボート・アンド・トート」だ。まだ電気冷蔵庫が普及していない1940年代に、氷の塊を運ぶ入れ物として生まれた「ビーンズ アイスキャリア」がそのオリジン。耐久性に全振りした手提げバッグは厚手キャンバスを用い、補強を入れた底までつなげたハンドルを設けることで、100キロを超える氷の運搬にも耐えたという。

 その機能性から世界に広まったトートバッグだが、21世紀に至るまで人気を維持しているのは、万能的な使い勝手も大きな理由である。広めの開口部をもつことに加え、基本的に荷室を分割しないトートは、大きな荷物の出し入れも自在だ。しかも極めてシンプルなデザインゆえに合わせる服装(ドレススタイルは別)を選ばないところも見逃せない。

 大きめサイズを選べば、荷物の多い日のビジネスを含めた作業用に始まり、買い物および旅行、それにピクニックやキャンプ等まで、幅広いシーンに活用可能である。そこで今回は、タフな素材を使用し縫製も頑強、そしてトレンドを気にせず使い続けられる名品トートを選んでみた。

1. L/UNIFORM


キレイめな装いに合わせたいヨーロピアン・トート

 トートの利便性をドレッシーなシーンで活用したい。そう考える人におすすめであるのがリュニフォームの新作だ。パリを拠点とするリュニフォームは、ワークなどの実用的なアイテムをエレガントにアレンジするバッグ・アクセサリーブランド。ショッピングカートやスクールバッグなど、過去の名品を見てもその独自性が見て取れる。

 このトートは色や形を長もちさせる目的で、フランスとイタリアにて厳密な基準を設けて織り上げた特注キャンバスを使用する。白糸と紺糸の2色織りゆえの上品さと爽やかさを備えたルックスも特徴。キャンバスらしいナチュラルなタッチがありながら、防水や撥水、それに防汚性をもたせるため特殊樹脂を両面コートしており、日々の手入れもじつに容易。また、ハンドルやキワ部分をレザーに替えているため、実用的かつクラス感ある仕上がりとなっている。

2. Hender Scheme


タフな機能性に加え経年の味わいまでも楽しめる

 2010年に始まったエンダースキーマは、デザイナーの柏崎 亮が手掛けるレザーシューズブランド。 名作スニーカーのオマージュし、革靴の製法で製作したベジタブルタンニンレザー製のシューズを打ち出し広く知られる存在となった。プロダクトに合わせて熟練職人を起用し、分業制にて作り上げるスタイルを貫いており、経年により味わいを楽しむことのできる確かな物作りが同ブランドの魅力。

 2010年に始まったエンダースキーマは、デザイナーの柏崎 亮が手掛けるファッションブランド。ナイキやバンズのオマージュによるヌメ革製作のスニーカーを打ち出し広く知られる存在となった。プロダクトに合わせて熟練職人を起用し、分業制にて作り上げるスタイルを貫いており、経年により味わいを楽しむことのできる確かな物作りが同ブランドの魅力。

 このトートバッグは2015年の初出から継続展開している人気の定番品。厚手の4号帆布(コットン100%)をメインに用い、ハンドルカバーやポケット、そしてリベット受けなどのディテールにエンダースキーマの代名詞であるベジタブルタンニンレザーのヌメ革を配している。この大型サイズのモデルは大容量ゆえに、手提げのみならず付属のストラップにより肩掛け持ちも可能。使い続けることで醸し出る帆布やレザーのエイジングも個性のひとつである。

3. L.L.Bean


キャンバストートのオリジンにして永遠の定番

 いわゆるキャンバストートの代表格として世界中で愛される大定番。本記事の導入でも触れたが、氷など重量物の運搬を目的に生み出されており、タフなキャンバス使いと頑強な縫製は、現代版であるこのボート・アンド・トートにも継承されている。

 厚手のジーンズが15オンス以上となるなか、このモデルは226㎏の重量テストをクリアした24オンスのヘビー・キャンバスコットンを採用。もちろん縫製も実用本位であり、主要部分にはステッチの劣化やほころびにくい丈夫なナイロン糸のダブルステッチで縫い上げる。また、底部分は色違いのキャンバスを加え、さらなる補強を添える念入り仕立てが貫かれている。滅多に壊れないバッグは、結果的に資源節約のサステナビリティにも直結。2017年には「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞している。

4. ORCIVAL


日本生産の4号帆布は美しいハリとコシをもつ

 フランスにて1939年に創業したオーシバル。当初は下着用シルクを主に生産していたが、1947年からフランス海軍へのコットン生地供給を契機に、現在に続く代表作、ボートネックのバスクシャツを生み出した。近年はその実用的かつ長もちする綿生地生産のノウハウを活かし、厚手キャンバスのトートバッグを展開している。

 写真のモデルは紡績から織りや染色行程まで、すべて日本にて行なわれる高密度の4号帆布を使用。貴重なレピア織機にて織り上げたコットン帆布は、丈夫ながら美しいハリとコシをもつのがポイントだ。定番的なオフホワイトも展開するが、このブラウンはシックで落ち着きがあり、大人の日常着とも相性の良いカラー。シーズン限定カラーなので、気になる方は早めの入手を!

5. TEMBEA


収穫用バッグをイメージした使いやすい大型トート

 2004年に誕生したテンベアは、日常に馴染む道具としての製品作りを旨とする日本発信のバッグブランド。キャンバス使いをアイコンとしており、写真のトートバッグも創業時から作り続けている、日々の使い勝手にフォーカスした定番品。特に使用素材に関してこだわりが深く、綿糸のなかでも繊維が長く均一かつ独特の光沢と耐久性を誇るコーマ糸を使用する。

 織り上げた生地にはワックスの一種であるパラフィン加工を施しており、防水性を備えているのも特徴。特にこのモデルは作物収穫のバッグをイメージした大型サイズであり、本体脇に補助ハンドルが付けられるなど、細かい使い勝手まで考慮した作りになっている。また長めのショルダーストラップにより、両手を空けつつ持ち運ぶことも可能だ。

筆者:長谷川 剛

JBpress

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