NHK『クローズアップ現代』の出家詐欺報道にBPO勧告「放送倫理上重大な問題あり」

2015年12月11日(金)16時23分 BIGLOBEニュース編集部

NHK『クローズアップ現代』の出家詐欺報道にBPO勧告「放送倫理上重大な問題あり」

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放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は12月11日、NHKの報道番組『クローズアップ現代追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜』に対し、放送倫理上重大な問題があるとの判断を示した。


『クローズアップ現代追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜』は2014年5月14日に放送。多重債務者を出家させて戸籍の名前を変えて別人に仕立て上げ、金融機関から多額のローンをだまし取る「出家詐欺」の実態を伝えた。


この放送に対し、番組内で出家を斡旋する「ブローカー」と紹介されたA氏(申立人)が「申立人はブローカーではなく、ブローカーをした経験もなく、自分がブローカーであると言ったこともない。申立人をよく知る人物からは映像中のブローカーが申立人であると簡単に特定できてしまうものであった」として、番組による人権侵害、名誉・信用の毀損を訴える申立書を委員会に提出した。


これに対し、NHKは、映像・音声の加工による匿名化が万全に行われており、申立人であることは本人をよく知る人も含めて視聴者には分からないと反論していた。


放送人権委員会は、放送内容について「明確な虚偽を含むもので、全体として実際の申立人と異なる虚構を伝えるものだった。NHKは必要な裏付け取材を欠いたまま、本件映像で申立人を『出家詐欺のブローカー』として断定的に放送した」「放送倫理上重大な問題がある」と指摘。NHKに対して、本決定を真摯に受けとめ、その趣旨を放送するとともに、今後こうした放送倫理上の問題がふたたび生じないよう、『クローズアップ現代』をはじめとする報道番組の取材・制作において放送倫理の順守をさらに徹底するよう勧告した。


一方で、人権侵害については「申立人は体型としぐさの特徴などによって本人を特定できると主張するが、本件映像を詳細に検討しても、申立人と特定できるものではない。申立人と特定できない以上、本件映像は人権侵害には当たらない」とした。

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