「企業への情報提供があまりに乏しい」と不満も…対米“関税交渉”の最前線に立つ「経産省の牛若丸」って誰?

2025年4月21日(月)7時0分 文春オンライン


政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「 霞が関コンフィデンシャル 」。最新号から、ダイジェストで紹介します。



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試される牛若丸


 トランプ関税の猛威が日本企業を襲っている。3月10日、対日関税の引き上げを回避するため、ハワード・ラトニック米商務長官と会談した武藤容治経産相。だが、「例外は認めない」と突き放され、その後、全輸入車に25%の関税を課すことも発表された。



いわゆる“トランプ関税”の大統領令を手にするトランプ大統領 ©AFP=時事


 対米交渉の最前線に立つのは荒井勝喜通商政策局長(平成3年、旧通産省入省)だ。2月の石破茂首相とドナルド・トランプ大統領の会談では、外務省の河邉賢裕総合外交政策局長(同)らと共に様々なシナリオ作りの中心を担った荒井氏。その後も関税問題を巡り、「首相とは週に複数回、1、2時間かけてみっちり議論。米側とも密に連絡を取り、様々な布石を打ってきた」(官邸幹部)という。


 だが、その一方で不安が広がっているのが産業界だ。「企業への情報提供があまりに乏しい」(大手電機首脳)、「米国の関税政策が修正される見込みがないなら、はっきりそう伝えてほしい」(機械メーカー幹部)と愚痴がこぼれる。


 どの業界も高関税が長期化する見通しなら、現地生産へ切り替えなければならないから切実だ。日本が例外にならなければ、「経産省に批判が向かうかもしれない」(経団連幹部)という。


 荒井氏の政策立案能力や指示の素早さ、与野党の人脈には定評がある。「負けず嫌いだし粘り強い。ぎりぎりまで打開策を探しているはず」(局長経験者)とみられるが、相手はトランプ大統領だ。楽観できる材料は少ない。


 フットワークの軽さから「経産省の牛若丸」の異名を取った荒井氏は、省内でも胸中を明かそうとしない。「米側の対応は流動的で、確定的なことが言えないのは致し方ない」(前出・官邸幹部)が、産業界からは「もっと丁寧に企業側と意思疎通して、対米投資の判断材料を示してほしい」(有力財界人)と注文が付く。《 記事の続き では、対米交渉のキーマンについて、さらに言及しています》



※本記事の全文(約5500字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています( 霞が関コンフィデンシャル )。



(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年5月号)

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