SNS詐欺対策…SIMカード本人確認や通信履歴の保存、事業者に義務付け検討
2025年4月22日(火)13時11分 読売新聞
首相官邸
SNS詐欺や特殊詐欺の被害急増を受け、政府は22日午前、犯罪対策閣僚会議を開き、昨年6月に策定した総合対策の改定を決定した。犯罪に悪用されるSNS対策として、データ通信専用SIMカードの契約時の本人確認や通信履歴の保存を事業者に義務付けることなどを検討する。口座売買の厳罰化など金融分野の対策のほか、新たな捜査手法も導入し、深刻化する被害の抑止を図る考えだ。
警察庁によると、昨年の詐欺被害は3000億円を超え、特に投資目的や恋愛感情に乗じて金をだまし取る「SNS型投資・ロマンス詐欺」と特殊詐欺の被害額は、過去最悪の約2000億円(暫定値)に上った。
昨年6月の対策は、SNS上で著名人になりすます投資詐欺などを想定していたが、犯罪組織は手口を巧妙に変化させており、SNSやマッチングアプリのダイレクトメッセージ(DM)で誘う手口が目立つ。
このため、政府は事業者が不審なDMを検知して、利用者に警告する取り組みを推進する。携帯電話不正利用防止法は、通信回線契約時の本人確認を義務付けているがデータ通信SIMは対象外で、契約時の本人確認義務付けを検討する。
犯罪組織の特定に向けた対策も進める。SNSのメッセージや通話などの通信履歴が残されていない場合があることから、SNS事業者や通信会社への履歴の保存義務化を検討する。
SNSのメッセージを暗号化して送信後に自動消去する機能が捜査の壁となっており、海外の捜査手法や法制度について研究を進める。事件に悪用されている秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」や「テレグラム」を想定した対応だ。
金融対策では、捜査員が犯罪組織に口座を提供し、摘発につなげる「架空名義口座捜査」の導入に向け、犯罪収益移転防止法を見直す構えだ。不正な口座が犯罪収益の受け皿となっており、口座譲渡の罰則引き上げも検討する。