【衝撃事件】「まだ高校生だぞ」16歳の女子高生が“バツ2の無職男性(38)”と交際していた理由とは…娘を助けるため「交際相手を殺した」父親のその後(2009年の事件)

2025年4月26日(土)18時30分 文春オンライン

「娘はまだ高校生だぞ」


「娘さんとは真剣に交際しています。本当に愛しているんです」


 なぜ16歳の娘はバツ2の無職男性(当時38)と交際していたのか? 彼女を助けようとした父親がとった驚きの行動とは? 2009年の殺人事件の顛末を前後編に分けてお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の1回目/ 後編 を読む)



なぜ16歳の少女が22歳も年上の男と付き合っていたのか…? 写真はイメージ。©getty


◆◆◆


なぜ父親は「娘の交際相手」を刺したのか?


「娘の交際相手を包丁で刺した。まだ息をしている。救急車を呼んでほしい」


 興奮した男の声で、こんな110番通報がかかってきた。地元署員が現場の民家に駆け付けると、青山博(38)が血まみれになって倒れていた。現場にいた熊野駿介(42)が「自分が刺した」と認めたため、殺人未遂容疑で逮捕された。青山は病院に運ばれたが、3時間後に出血性ショックで死亡した。


 熊野の娘のミユキ(16)は中学を卒業する頃、携帯電話のゲームサイトで青山と知り合った。青山は年齢を隠し、サイト内のミニメールを通じて頻繁にミユキに連絡を取り、言葉巧みにミユキを誘い出した。


 会ったその日にホテルに連れ込み、肉体関係を持ち、写真を撮った。そして、今度はそれをネタにして交際の継続を迫り、会うことを強要するようになった。


 青山には子どもが2人いたが、バツ2の生活保護受給者だった。ミユキは青山とデートする度に金を無心され、お年玉貯金を切り崩して、なけなしの数万円を貸していた。ミユキが「もうお金がない」と断ると、「親の金を盗め」と強要された。青山はミユキから父親が経営する自動車整備工場を聞き出し、客を装って偵察にも出かけていた。


「お父さんに会ったよ。真面目そうな人だね。オレと付き合っていることが分かったら、何て言うかな?」


 そんな秘密の付き合いを半年ほど重ねていたのだ。


 地元の花火大会の夜、ミユキは青山に呼び出され、午後10時過ぎまで付き合わされた。娘の帰りが遅いのを心配した母親が電話すると、「男の人と一緒にいる」と返事が返ってきた。母親はてっきり同世代の男友達と一緒にいると思い込み、「一緒に連れて帰りなさい」と叱りつけた。


 ところが、家に現れたのは圧倒的な年齢差がある中年男で、ミユキの母親は仰天した。だらしない服装で、腕には入れ墨があり、無数の根性焼きもあった。


「娘は高校生だぞ」


 父親である熊野とも対面し、熊野は1カ月ほど前に自分の自動車整備工場に訪ねてきた男だと気付いた。


「キミはいくつなんだ?」


「38です」


「仕事は?」


「無職です」


「結婚はしているのか?」


「していません」


「娘はまだ高校生だぞ」


「娘さんとは真剣に交際しています。本当に愛しているんです」


 ミユキはその横で何も言わず、うなずいているだけだった。動揺した両親は、とりあえずその日は青山の連絡先だけを聞いて、すぐに帰らせ、ミユキを問いただした。


「どこで知り合ったんだ?」


「半年ほど前に、携帯電話のゲームサイトで……」


「彼のどこが好きで付き合っているんだ?」


「……」


「肉体関係はあるのか?」


「……ない」


 ミユキはそれ以上、何も話さなかった。熊野は「とにかく年齢差がありすぎる。青山との交際は反対だ」と説得したが、ミユキは押し黙るばかりだった。


 翌日、熊野はミユキの祖父にあたる実家の父親を訪ね、昨夜の出来事を話した。


「よりによって、何であんな男と……。ミユキはたぶらかされているとしか思えない」


「それならミユキを連れて警察の生活安全課へ相談に行けばいい。青山は後からワシが警察に連れて行こう」


「お父さんとお爺ちゃんが殺される!」


 熊野夫婦はミユキを連れて、さっそく地元警察署に相談に訪れた。一方、祖父は別行動で、青山の自宅を訪ねた。


「お宅の息子さんに孫がお世話になっているようです。ちょっと息子さんに会わせてもらえませんか?」


「また、何か息子が迷惑をかけたんですか……」


 応対に出てきた母親によると、青山は子どもの面倒も見ず、働きもせず、借金まみれで困っているとのことだった。


「親にも暴言を吐くので、手に負えない。警察でも何でも突き出してほしい」


 しばらくすると、青山が「オレに何か用か?」と言って玄関口に出てきた。祖父は冷静な口調で説き伏せた。


「成人を過ぎた男が16歳の娘を連れ回したらアカンだろう。悪く言えば、犯罪にも等しい。ちょっと警察まで付き合ってくれるか」


 青山は祖父の車に乗せられ、警察署に連れて行かれる途中、なぜか激しく動揺し、大声で泣き出した。


「もう二度とお孫さんには会いません。去年も別の女の子に同じことをして、警察に取り調べを受けました。今度捕まったら刑務所行きになる。勘弁してください!」


 祖父は泣きじゃくる青山が哀れになり、「もう二度と会わない」と約束させて、息子の熊野に電話した。


「本人は反省して、もう会わないと言っている。今回だけは警察に連れて行くのは勘弁してやろうと思う。お前はどうだ?」


「お父さんがそう言うなら、それでいいです」


 こうして青山は警察に突き出されるのを免れたが、警察は「娘さんからも事情を聴きたい」と言って、青山と性交渉があったかどうかを尋ねた。しかし、それでもミユキは真実を話さなかった。


 ところが、それから1カ月後、ミユキが突然、「お父さんとお爺ちゃんが殺される!」と言って泣き出した。

〈 《懲役は…》「もう二度と娘には近づかないと約束しろ!」大事な娘(16)を守るため交際相手(38)を包丁で殺した「父親のその後」(2009年の事件) 〉へ続く


(諸岡 宏樹)

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