《心臓手術数No.1病院》国立循環器病研究センター、理事長の「パパ活写真」でドロ沼の内紛が勃発していた

2025年4月27日(日)12時10分 文春オンライン

 ここに複数枚の写真がある。スーツ姿の男性が若い清楚系の女性とラブホテルに入るものや、別の茶髪女性と喫茶店で談笑するものだ。ただならぬ写真が撮影された背景には、権威ある大病院の“ドロ沼内紛”があった。


◆◆◆


“日本一として紹介された心臓外科”の理事長


 舞台は、国立循環器病研究センター(国循、大阪府吹田市)。病床は550床、職員数は約1300人を誇る。「週刊朝日」ムックの「手術数でわかるいい病院2024」の心臓手術部門で手術件数日本一として紹介された、心臓外科の権威である。



大津欣也氏(国循HPより)


 そんな“白い巨塔”で、21年4月から理事長を務めているのが、大津欣也氏(66)だ。


「国循は国立がん研究センターなどと同様に、法律によって設置された国立研究開発法人。理事長(旧総長)は厚労相から任命され、理事長経験者は叙勲の対象となるのが通例です。大津氏は長らくイギリスのキングスカレッジロンドンで教授を務め、国際経験が豊富との理由で理事長に任命されました」(厚労省担当記者)


理事長の不祥事が、立て続けに発覚


 だが、大津氏の理事長就任後、国循では混乱が続いているという。


「23年、大津氏が責任著者を務めた7本の論文に、画像の不適切な使用が指摘されたのです。さらに翌年には、大津氏の部下へのパワハラが第三者委員会に認定された。これだけ理事長に不祥事が発覚するのは異例です」(同前)


 大津氏は、自身の不祥事が次々と明るみに出ることについて、自身を追い落とそうとする“反大津派”の策謀だと疑っていたようだ。国循幹部が明かす。


「昨年7月には、厚労相経験者でもある加藤勝信氏(現財務相)を講演会に招きました。国循の幹部職員、約100人に出席が義務付けられ、大津氏が“自分が閣議決定で理事長になった時の官房長官が加藤氏だった”とあいさつ。大津氏は自身に近い関係者に『不満分子に対し、自分のバックに加藤氏がいることを示すために、知人を介して呼んだ』と本音を漏らしていた」


“パパ活”に励む大津氏の姿


 こうした仁義なき権力闘争により、理事長の意外な“裏の顔”も晒されることになった。それが冒頭の写真である。


「週刊文春」が入手したのは、国循関係者によって大津氏の行動確認が行われた際の報告資料とその写真だ。行動確認が行われたのは昨夏。そこには、“パパ活”に励んでいるとしか思えない大津氏の姿が記録されていた。


 順を追って見ていこう。8月13日の夕刻、国循を出た大津氏は電車に乗車。車内でスマホを取り出すと、なにやらアプリでメッセージのやりとりをしている。「シュガーダディ」というマッチングアプリで、パパ活を目的とした若い女性が使っていることで知られるものだ。


〈会えそうですか?〉


 とのメッセージに、


〈もちろんです〉


 と返事をする大津氏。その後、所用や知人との会食を済ませた大津氏は、午後9時半ごろに梅田地下街の「泉の広場」で、ロングヘアの清楚系女性と合流した。


清楚系女性をラブホテルにエスコート


 2人は連れだって歩きだし、時には大津氏が女性の腰付近に手をあててエスコートしながら、近隣のラブホテルへ。約1時間の滞在の後、並んでホテルから出てきたのだった。


 翌14日も、退勤後の電車内で「シュガーダディ」を熱心に眺めていた大津氏。JR大阪駅で、画面に表示されたメッセージに記載された通りの服装をした若い女性と合流した。この日は駅構内の飲食店に50分ほど滞在し、女性と別れた。


10日間のうちに3人の女性と会っていた


 8日後の同月22日。またも退勤後に大阪駅近郊で、前出の2人とはまた別の茶髪女性と合流。喫茶店に40分ほど滞在した。


 大津氏はアプリを駆使しながら、わずか10日間のうちに3人の女性と会っていたことになるのだ。


「大津氏がラブホ女性と待ち合わせをしていた『泉の広場』は、パパ活や売春の待ちあわせスポットとして知られる。マッチングアプリを頻繁に利用していることからも、パパ活を行っていたのは明らかでしょう」(前出・国循幹部)


今春に“政敵”が事実上の降格


 醜聞が相次ぎ、窮地に立たされているように見える大津氏。だが、その大津氏が今回、理事長の権限を最大限に利用して反撃に出たというのだ。前出の国循幹部が打ち明ける。


「4月1日付の人事異動で、大津氏が“政敵”を降格させたのです」


 その人物は、序列でいえば国循ナンバー3にあたる飯原弘二病院長(62)だ。


「飯原氏の任期は今年3月末まで。通常、病院長経験者は理事長に昇格するか、定年退職する。しかし飯原氏はまだ定年を迎えていないにもかかわらず、再任されることもなく、兼任していた別のポストだけを任されることになった。これは事実上の降格人事と見られています」(同前)


新任は論文不正を告発された人物


 じつは、もともと理事長就任が確実視されていたのは飯原氏だった。


「大津氏が21年に理事長に就任した際、国循から理事長に相応しい人物として厚労省に推挙されたのは、大津氏ではなく飯原氏だったのです。しかし結局、厚労省内でひっくり返され、閣議決定により理事長は大津氏に。これは、大津氏と同じ大阪大出身の元厚労技官が省内で強く働きかけた結果の人事だと囁かれています。この元技官はその後、国循の理事長特命補佐に就任。国循にはめったに来ないのに個室があてがわれ、リモート会議に参加するたびに日当が支払われている」(同前)


 さらに、ナンバー2の望月直樹研究所長も3月末で定年退職。大津氏にとって、この2人は“目の上のたんこぶ”だったという。


「大津氏の不祥事がネットメディアに取り上げられた際、大津氏はこの2人が裏で糸を引いているのではないかと疑っていました。政敵と目された2人に代わって、4月から新しく就任した研究所長と病院長は、いずれも大津氏と同様、論文不正が指摘されて文科省や厚労省に告発された人物でもあります」(同前)


「大津氏が理事長に相応しいとは思えません」


 一連の人事について、国循幹部OBは語る。


「これまでの実績を鑑みても、病院長の異動は明らかにおかしい。研究所長も定年とはいえ、実績からすれば慰留されてもおかしくない人材です」


 パパ活写真や降格人事について大津氏に見解を尋ねるべく携帯を鳴らし、ショートメールも送ったが、応答はなし。国循を通して尋ねても、期日までに回答はなかった。前出の幹部OBが嘆息する。


「国循でこれだけの混乱は、過去に見たことがありません。全国の名だたる医療機関の上層部からも呆れられています。自身の不祥事も明らかになっている以上、大津氏が理事長に相応しいとは思えません」


 ドロ沼内紛の終わりはまだ見えない。


(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月10日号)

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