JR北海道で線路立ち入り違反、10保線管理室で発覚…「列車来ないと分かる」との理由も
2025年5月1日(木)8時57分 読売新聞
北海道の鈴木知事(右)に改善措置の状況などを報告するJR北の綿貫社長(30日、道庁で)
JR函館線砂川駅構内で保線作業員が見張員を配置せずに作業していた上、社内に虚偽報告した問題で、JR北海道は30日、全34保線管理室が2024年度に実施した作業のうち、10保線管理室で社内規定に違反する行為があったとする調査結果を明らかにした。JR北は同日、国土交通省北海道運輸局に改善策などを盛り込んだ報告書を提出した。
JR北によると、調査は24年12月下旬〜25年1月中旬、保線管理室の社員約500人を対象に違反行為の有無などを尋ねた。回答は無記名で、10保線管理室の社員が「保安体制を取らずに線路内に立ち入る違反行為があった」と答えた。違反を認めた社員の多くは経験年数を重ねており、「列車が来ないと分かる」「作業時間を確保したい」などを理由に挙げた。
JR北はアンケートと併せて、今年2〜3月に工務部門の全現業職場で、ルールを守るための仕組みづくりなどについて議論。現場からは「ルールが複雑で負担となっている」などの声が複数あったという。
砂川駅構内での問題を巡っては、運輸局が3月31日、JR北に改善指示を行い、講じた措置を4月30日までに報告するよう求めていた。報告書はルール順守に関する教育内容の充実や内部監査体制の構築などを盛り込んだものの、具体的な内容については示されなかった。JR北は今後、報告するという。
鉄道の安全管理に詳しい関西大・梅田キャンパス長の安部誠治名誉教授は「現場の作業員たちの『この程度なら大丈夫』という勝手な判断が大きな事故につながる。こうした意識の
JR北海道の綿貫泰之社長は30日、道庁で鈴木知事に改善措置について報告した。席上、綿貫社長は「深くおわび申し上げ、早急に安全な鉄道を再構築していきたい」と述べた。鈴木知事は「できるだけ早期に具体化を図った上で、必要な情報を利用者の方、道民の方々にお伝えいただきたい」と注文した。