青い坑道、まるで天の川…岐阜・下呂の笹洞鉱山でミネラルハンティングツアー
2025年5月4日(日)11時37分 読売新聞
記者が採取した蛍石
発光する蛍石、鉱山跡で採取
岐阜県下呂市の廃鉱となった「笹洞鉱山」で、発光する蛍石の採取ができると聞きつけた。キラキラしたものが大好きな記者。「自分だけの蛍石を見つけたい!」と、宝探し気分で「ミネラルハンティングガイドツアー」に申し込んだ。(杉本奏)
■長靴に履き替え
集合場所は、同市金山町菅田桐洞にある旧菅田小学校(2021年閉校)を活用した交流施設「菅田集学校」。受け付けを済ませ、蛍石を光らせるブラックライトも借りた。
ガイドの山口善史さん(42)から、虫よけスプレーをして、暑さ対策で水分を取ることなど注意事項を聞き、長靴に履き替えた。山口さんの車で他の参加者たちと10分ほど移動した。
ここからは森林の中を歩いて進む。「この辺りは鉱山がいくつもあり、記録によると笹洞鉱山は、昭和30〜46年(1955〜71年)に平均で1日約16トンの蛍石が産出されていました」と山口さん。フッ素を主成分にカルシウムと結合してできた蛍石は、製鉄で不純物を取り除くために使われていたという。高度経済成長期に入ると安価な輸入品に押され、笹洞鉱山は71年に閉山した。
■ブラックライトで照らすと
歩くこと約15分。「ここです」と幅数メートルの川に案内された。川底や川沿いの斜面から蛍石を探すという。見たところ、ただの石が転がっているだけ。そもそも昭和の時代に採り尽くしてしまったのではないか……という疑問も湧く。ところが、ブラックライトで足元を照らすと青くきらめく小さな石が散らばっていた。「これは見つかりそう!」。一気に体のエネルギーが励起された。
とはいえ、斜面でしゃがみながら左手でライトを照らし、右手のシャベルで掘り続けるのはなかなかしんどい。1、2ミリほどの細かな蛍石はあるが、大きな塊はなかなか見つからない。「どうしたら大きいのが採れますか」と山口さんに尋ねると、「運ですね」ときっぱり。
「誰かが掘った跡がある場所から見つかるかも」とアドバイスを受け、飛び交うハエと格闘しながら、必死に掘り続けた。「これかな」と掘り出した石を川の水で洗うと乳白色や緑がかった部分が現れた。紫外線を発するブラックライトで照らすと青く光る。汗を流して見つけた特別な蛍石だ。
■旧理科室で実験
採取後は楽しみにしていた坑道ツアー。ヘルメットをかぶり、水の滴る真っ暗な坑道をおそるおそる進む。
ブラックライトをつけると、坑道の奥まで青くキラキラと蛍石が輝き、「うわー」と思わず歓声をあげた。いつまでも見ていたい気分になる。天の川のように無数の蛍石が輝く光景はスマートフォンでもきれいに撮影でき、大満足だった。
菅田集学校に戻ると、なぜ蛍石が光るのか、山口さんが説明してくれた。紫外線を当てることで蛍石の中にある特定の不純物が光るほか、熱でも発光する。試験管に入れた蛍石をアルコールランプで熱して青く光らせる実験も見せてくれた。
ここは旧理科室。小学生の頃に戻ったような懐かしさを感じながら山口さんの解説に耳を傾け、蛍石の魅力に心を躍らせた。