備蓄米「停滞」の一因、卸売業者の段階で精米・袋詰めに時間…処理能力追いつかず「さばききれない」

2025年5月10日(土)7時0分 読売新聞

倉庫に積まれた備蓄米

 政府備蓄米の大半を落札した全国農業協同組合連合会(JA全農)の卸売業者への出荷が滞っている。政府は2月に備蓄米を放出する方針を発表し、3回の入札ですでに計31万トンが落札された。だが卸・小売りサイドには十分に出回っておらず、コメの価格高騰に歯止めがかからない一因となっている。

 「期待された効果が出ていないことについては申し訳ない」

 江藤農相は9日の閣議後の記者会見で、備蓄米の放出による効果が思うように出ていないことに言及し、陳謝した。

 3月中に入札が行われた備蓄米計21万トンのうち、4月13日時点で小売業者に届いたのは1%強どまり。農林水産省は今月2日、備蓄米の流通量が一部にとどまっていることから、JA全農に対して速やかに取引先との調整を進め、供給を拡大するよう要請した。

 ただ、備蓄米の流通には事務手続きやトラックの輸送手配のほか、卸売業者の段階で精米や袋詰めに時間がかかっていることが遅れの要因という。「精米工場の処理能力が追いつかず、さばききれない」(コメ卸)との声も聞かれる。

 備蓄米の流通が停滞する中、政府は入札に参加する業者の条件を緩和する方向で検討しているが、価格の低下につながるかは不透明だ。入札は高い価格で応札した業者から順番に落札する方式で、参加業者が増えれば価格がつり上がる可能性も指摘されている。

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