訪日客が9割占める観光名所の霊園、バス停を「頭大仏前」にしたら大好評…海外SNSでブッダの丘と紹介

2025年5月17日(土)18時13分 読売新聞

大仏殿に向かう観光客。頭部がちらりとはみ出している

 約180ヘクタールの敷地に大仏やモアイ像、英国の巨石遺跡「ストーンヘンジ」を模した墓石などが立ち並ぶ「真駒内滝野霊園」(札幌市南区)で今春、園内のバス停の名称変更が行われた。一番人気の大仏殿に向かうインバウンド(訪日外国人客)に降り間違いが多発していることを重く受け止め、「おもてなし」の精神からバス会社に掛け合ったという。(高橋剛志)

 滝野霊園は1981年に開園した公園墓地。それが観光名所に変じたのは、2006年に国宝の「鎌倉大仏」と同サイズの大仏像を建立したことがきっかけだった。11年に「開園30周年事業」と銘打ち、世界的建築家の安藤忠雄さん(83)に大仏殿の設計を依頼。16年には頂上から大仏の頭がはみ出ている奇抜なデザインの施設が完成し、すぐに「頭大仏」の愛称で呼ばれることになった。

 海外のSNSでも「Hill of the Buddha(ブッダの丘)」として紹介され、今では霊園の年間来訪者約15万人のうち、9割を外国人客が占めている。

 一方、霊園では昨冬、墓参りに訪れる日本人客の利便性向上のため、北海道中央バスに依頼して供花などを扱う売店の近くにバス停を追加してもらった。ただ、この配慮が外国人客の混乱を招くことにもなる。

 新設の「管理事務所前」停留所は、札幌市営地下鉄・真駒内駅と霊園を結ぶ「真108系統」の終点であり、大仏殿の目の前でもあった「真駒内滝野霊園」の一つ手前に置かれた。その結果、「管理事務所前」で降りてしまった外国人客が大仏殿まで何百メートルも歩くケースが相次いだのだ。

 「一目で大仏殿の最寄りと分かるようにしたい」。霊園側はこう考え、「真駒内滝野霊園」の名称を“そのものズバリ”の「頭大仏前」にできないか中央バスに打診。社内会議で了承を得られたため、4月からの改称が実現した。合わせて「管理事務所前」は「真駒内滝野霊園前」となり、路線図の表記も一新された。

 「より多くの人に観光を楽しんでもらえるようになった」と霊園の担当者。夫と大仏殿を訪れた米国籍の女性(51)は「バスがとても便利だった」と語り、「降りた時は小さな頭しか見えなかったけど、中に入った瞬間に圧倒的な迫力を感じた」と大喜びだった。

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