「魚ってこんな飛べるんや!」X絶賛の「遡上」再現展示 姫路市立水族館のこだわりを聞いた
2025年5月21日(水)18時22分 J-CASTニュース
「水位が下がるとここを魚たちが飛び越えます」──。
兵庫県の水族館「姫路市立水族館」が魚の生態を引き出すような展示工夫をしているとして、2025年5月ごろからXで注目され、「考えた人天才」などと絶賛されている。同館に詳しい話を取材した。
「面白い展示の仕方してんな」「ずーっと見ちゃう」
話題になった水槽は約30分間隔で水位が上下する仕組みで、冒頭のような張り紙がされていた。Xでは、銀色の魚たちが水の流れに逆らって泳ぎ、岩場を飛び越えて次々と上流へ向かう姿を映した動画が拡散され、「面白い展示の仕方してんな」「魚ってこんな飛べるんや!魚すげぇ!可愛い!!」「ずーっと見ちゃう」「ひめすいのこの展示本当に好き」「考えた人天才!!」などと好評だ。
20日にJ-CASTニュースの取材に応じた姫路市立水族館の飼育係によると、今回注目されたのは淡水魚の展示水槽だ。川の中流を模していて、水位が上がった状態では魚が自由に水槽内を移動できる。
一方で水位が下がると、3段の階段状に水が流れるようなレイアウトに。水の通り道が限られることで、魚が流れに逆らって段差を飛び越え、自然環境さながらに川を「遡上」(そじょう)する動きが再現されるというわけだ。
数種類の魚が一緒に展示されているうち、遡上するのは主に「アユ」や「オイカワ」。アユは寿命が1年で、春先に生まれて現在は10センチほどのまだ小さい段階。夏に向けてどんどん大きくなるという。
Xの反響は「当館としては狙った通りの反応で、見られた方に喜んでいただけるのは、すごく嬉しいことです」と受け止めた。ただし、魚が大きくなると遡上がやや緩やかになるうえ「生き物なので必ず見れるかは正直分からない」と来館者に理解を求めている。
地域の生き物だけでなく...ウミガメにも展示のこだわり
魚が遡上する理由も説明した。いわく、前提として先の水槽で展示している魚の多くが、基本的には流れのあるところに住んでいる。自らが流されないために、流れに逆らって常に泳いで一定の位置を維持できるようにしているうえ、餌や空間を求めて、飛び越える動作をしてまで移動できる、必要があってするのだという。
1966年に開館した姫路市立水族館。地域性を重視した展示を中心に、これまでに播磨地方で身近に見られてきた生き物のほか、海の生き物ではペンギンやウミガメも展示している。「イルカみたいな『水族館っぽい』目立つ生き物はなかなかいない」とするも、展示にはこだわっている。
例えば、ウミガメや淡水のカメに関しては産卵場所となる砂場を設けて、展示エリア内で繁殖も行えるようにしている。前者は産卵シーンが夜のため来館者は見ることが出来ないが、後者はタイミング次第で日中に目撃することが可能だという。
そのほかには標本などを手に取って観察できる「ハンズオン」の展示や、ドクターフィッシュ、サメ、エイ、ヒトデ、ウニといった生き物と触れ合える「タッチプール」もあるとアピールしている。